2023WBC初戦前夜! 大谷翔平を中心としたチームでいざ初陣へ!!

■強化試合でメジャートップクラスの実力を見せた大谷翔平

2023年のWBC開幕まで残りわずかとなった。大会に向けた強化試合では、やはりこの男がスゴかった。

大注目の大谷翔平がメジャートップクラスの実力を見せてくれた。

3月6日(月)に行われた阪神タイガースとの強化試合で、2打席目に膝をつきながらバックスクリーンに飛び込むホームランを放つ。さらに、3打席目にはバットを折りながら2打席連発となるホームランを放った。

試合前のフリー打撃でも日本人離れした飛距離の打球を見せていたが、実戦でもメジャートップクラスのパワーを見せた。

すでに強化試合で活躍を見せた大谷だが、これで後ろを打つ打者の重要性がさらに高まった。大谷をどの打順に組み込むかも注目である。

初戦の中国戦から二刀流で出場すると言われている大谷のプレーが、日本チームの鍵を握る。

▲チームの柱として活躍が期待される大谷翔平 写真:アフロ

■ヌートバー・吉田正尚のメジャー組も健在ぶりをみせる

そのほかのメジャー組も強化試合で活躍を見せた。

一番打者として期待されるラーズ・ヌートバーは、強化試合の初戦は積極的にスイングを仕掛けており、頼もしさを感じた。初戦からマルチヒットを記録するなどの活躍を見せるなど、仕上がりに問題はなさそうだ。

吉田正尚はボストン・レッドソックスに移籍したことにより、代表への合流が直近となった。強化試合では初戦からタイムリーを放ち、東京五輪と同様の活躍が期待できる結果を出した。

強化試合を見ると、トップバッターのヌートバーが出塁し、大谷、または吉田が打点をあげる得点パターンは非常に効果的だった。本戦までの実戦が2試合のみと不安があったメジャー組だが、結果を見せてくれて頼もしい限りである。

■大会直前に鈴木誠也が怪我で辞退・・・

今大会は複数人のメジャーリーガーを招集し、国内組含めて投打ともに歴代最強と呼ばれる布陣である。

しかし、大会直前に鈴木誠也が脇腹を痛め、代表を辞退することになった。

そのため、主力打者はメジャーリーグでも活躍する大谷翔平はもちろんのこと、三冠王・村上宗隆や吉田正尚など左打者に偏る傾向になった。

ここまでトップクラスの左打者が並ぶとなると、山田哲人や牧秀悟、山川穂高、岡本和真といった右打者がポイントになっていくだろう。

鈴木の場合は、山田と同様に2017年WBCからプレミア12、東京五輪といった大会に出場していることから、国際大会の経験があるメンバーとしても期待されていた。

貴重な右打者、かつ国際大会の経験が豊富な鈴木を欠いた日本は、少なからず新しい戦い方を強いられることになるだろう。

■打力に定評があるユーティリティプレイヤー・牧原大成

鈴木が辞退したことにより、牧原大成が追加招集された。今大会の代表ではユーティリティと呼べる選手が、足のスペシャリストとして期待される周東佑京のみだったため、大きな戦力になりそうだ。

牧原の場合は、ユーティリティプレイヤーでありながら打力も代表レベルで、昨シーズンは規定打席に2打席届かなかったものの、打率.301を記録した。

この牧原を起用するのも、一つの手段として面白い選択肢だろう。

ただ、急な招集のために調整も急ピッチにしていかなければならない。この状況でも牧原の思いきりの良さや高い水準で各ポジションを守れる守備力は、大きな武器になるに違いない。

■打線の調子とメジャー組の試合勘の兼ね合いは?

現在の代表を見ると、打線の調子が心配なのは否めない。

プロ野球のシーズンの性質上、春先は生きたボールについていけないことは多々あるが、WBCがあるシーズンは早めの調整が必要である。打者たちは、この時期に強度があるボールに対応できるようにしなければならない。

ここまでの実戦を振り返ると、主砲として期待される村上の調子が上がらないことが懸念材料だ。昨シーズン三冠王に輝いた主砲は、代表としては初の主軸となる大会である。

東京五輪の決勝では、金メダル獲得を大きく手繰りよせるホームランを放ったが、打順は下位だった。そのときの代表は、坂本勇人や柳田悠岐、菊池涼介、浅村栄斗、山田哲人といった中堅からベテランが主軸としてチームを引っ張った。

今回は主軸としての役割もあるため、大きなプレッシャーが足枷になっていないかも心配な点である。オリックス戦のようにプレッシャーがかからない6番あたりに置いて、伸び伸びと打たせるのも一つの手段だろう。

またメジャー組の実戦が、実質ぶっつけ本番なのも懸念材料の一つだ。

慣れない春先に生きたボールを打席で見られないまま大会に臨むとなると、身体がついてこないまま一次ラウンドが終わることも可能性としてはなくはない。

そのため、初戦の中国戦でどれだけ打席に立てるかがポイントになっていくだろう。ライバル韓国も二遊間がぶっつけ本番に近い状態となるが、実戦の場数が少ないメジャー組が初戦でどれだけ慣れるかが、日韓戦のポイントになっていくと見ている。

■投手陣もWBC球への対応・シーズン前の調整に課題

投手陣に関しては、ボールへの対応力に差が生じている。

そのなかで、昨シーズンの新人王に輝いた大勢は、ボールに適応しながら強度のあるボールを投げられている。そのため、大勢から栗林良吏へのリレーは完璧な状態でつないでいきたいところだ。

先発陣を見ると、ダルビッシュ有が実戦形式で不安を残す内容だった。

先発が予想される韓国戦は、2009年のWBCでも登板していた。その試合では、初回に連打やエラーでいきなり3点を失い、負け投手となった。また決勝戦にも登板したが、最終回に追いつかれている。残りの時間で調子をあげていき、韓国戦で圧倒的なピッチングを披露してほしいところである。

また、フォームを変えた山本由伸も不安が残る内容だった。山本に関しては、プレミア12や東京五輪も経験しているため、ボールへの適応は問題ないと思われる。しかし、クイックに近いフォームに変える前のほうが良かったように見える。

初戦となる3月9日(木)の中国戦で登板が予想される大谷は、世界を相手にどれだけ圧巻のピッチングを見せるかが注目だ。さらに、この試合は二刀流としての出場が濃厚となっている。二刀流として国際大会の出場は初となるため、投打でのパフォーマンスに期待していきたい。

そして、国際大会デビューが迫る佐々木朗希は、強化試合で自身最速となる165km/hを記録するなど調子は上々である。ただ、若さゆえに力みなどが出た際に甘く入ったボールを痛打されることには注意が必要だ。

■ライバル・韓国は代表常連組とメジャーリーガーで構成

日本は3月10日(金)の2戦目に韓国と対戦となる。

一次ラウンドでの日本のライバルは、なんといってもプレミア12や東京五輪でもしのぎを削った韓国だろう。これまでのWBCを見ても、第一回大会や第二回大会では、日本にも勝利している。

韓国は2013年大会と2017年大会、2年連続で一次ラウンド敗退となった。そうしたなかで臨む今大会はメジャーリーガーを招集する。

そのメジャーリーガーとは、金河成(キム・ハソン/サンディエゴ・パドレス)と韓国系米国人の母を持つトミー・エドマン(セントルイス・カージナルス)だ。この2人が二遊間を組むとも言われている。

エドマンはメジャーでゴールドグラブ賞獲得の経験がある選手だ。

金河成は遊撃手でありながら、KBO時代はシーズン30本塁打を記録している。国際大会の日本戦では、2019年のプレミア12の決勝戦で山口俊からホームランを放っている。

ちなみに、メジャーリーグではダルビッシュとチームメイトである。そのため、韓国戦で先発が予想されるダルビッシュとの対戦は注目度も高くなるだろう。

この二遊間が中心となるが、実戦にはほとんど出場できないまま開幕することが懸念材料である。センターラインが実戦から間もないなかで開幕することになり、2戦目の日本戦でどこまで試合勘を取り戻せるかがポイントとなりそうだ。

また、かつて中日に所属していた李鍾範(イ・ジョンボム)の息子である李政厚(イ・ジョンフ)にも注目だ。

類稀なセンスを持った野手で、2017年に韓国リーグで新人王に輝き、プロ入りから3割を常に記録。KBOで2年連続首位打者に輝いている。

東京五輪では、山本由伸からフェンス直撃のヒットを含む2安打を放っており、初見でも難なくコンタクトできる能力はずば抜けているだろう。

さらに、2度の五輪やWBC、プレミア12を経験している元メジャーリーガーの金賢洙(キム・ヒョンス)は、国際大会を知る選手である。

ボールへのコンタクト力が抜けており、厄介な打者である。北京五輪では岩瀬仁紀から決勝タイムリーを放ち、2009年のWBCではベストナインにも輝いている。

さらに、2015年のプレミア12では大会MVPに輝いており、国際大会での勝負強さは頭ひとつ抜けている。間違いなく、注意すべき打者だ。

投手は国際大会で経験豊富な金廣鉉(キム・グァンヒョン)が牽引しそうである。金廣鉉に関しては、北京五輪で日本打線を徹底的に抑えたが、その後の2009年WBCや2015年プレミア12の日本戦で打ち込まれている。

宿敵・韓国にどういった戦いを日本が見せるかも大きな注目の一つだ。

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メジャー組が合流した強化試合の阪神戦・オリックス戦では、打線の調子が上向いているように感じた。

本戦では一次ラウンドは全勝で、準々決勝に勝ち進みたいところだ。

いよいよ明日から熱戦の火ぶたが切られる。第二回大会以来となる優勝に向けて侍ジャパンがどんな戦いを見せてくれるのか、非常に楽しみである。

■プロフィール

ゴジキ(@godziki_55)

自身の連載である「ゴジキの巨人軍解体新書」「データで読む高校野球 2022」をはじめとした「REAL SPORTS」「THE DIGEST(Slugger)」 「本がすき。」「文春野球」などで、巨人軍や国際大会、高校野球の内容を中心にコラムを執筆している。今回、新たに「WANI BOOKS NewsCrunch」でコラムを執筆。Twitter: @godziki_55

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