山梨学院が初優勝! 熱戦が繰り広げられた2023年選抜高校野球
2023年04月06日 07時00分WANI BOOKS NewsCrunch
2023年3月18日(土)から甲子園で行われていた第95回記念選抜高校野球大会。今年も熱戦が繰り広げられた。

▲高校球児たちの聖地・甲子園 写真:アラヤシキ / PIXTA
全国から集まった36校のなかから優勝を掴み取ったのは、山梨県代表の山梨学院。山梨県勢で春夏を通じて初の優勝となった。
今回は優勝した山梨学院、準優勝の報徳学園、昨年秋に行われた明治神宮大会で強さを見せていた大阪桐蔭、広陵、仙台育英を中心に大会を振り返っていく。
■エース1人にマウンドを任せた山梨学院
2020年から日本高校野球連盟の決定により球数制限が設けられてから、各高校が2番手から3番手の投手を育成に力を入れている。そんななかで、山梨学院(山梨)はエースの林謙吾(3年)が全6試合に先発し、51回2/3を投げた。
現代の高校野球では非常に珍しい投手起用だったが、準決勝終了時点で決勝戦は160球まで投じることが可能だった。
これは日程も林を後押しした部分が大きい。
山梨学院は、開幕日の第一試合だった。また雨による雨天順延も重なり、連投は準決勝と決勝の2試合のみ。
その林はコントロールの良さがずば抜けていた。56回2/3を投げて四死球はわずか6。落ちるボールと外角の直球で三振を奪っていった。
決勝では、山梨学院とは真逆の投手運用(継投)を見せていた報徳学園の投手陣を5回に打ち崩して、7対3で逆転勝ち。見事、初優勝を成し遂げた。
山梨学院は夏に向けて、追われる立場になるが、この林以外の投手陣の底上げができるかが鍵になっていくだろう。
■劇的な勝ち上がりを見せ準優勝に輝いた報徳学園
準優勝に輝いた報徳学園(兵庫)は、山梨学院とは真逆で継投策で勝ち上がってきたチームだ。
エースの盛田智矢(3年)や今朝丸裕喜(2年)、間木歩(2年)の3投手を先発からリリーフまで、バランス良く登板させながら勝ち上がった。
初戦の健大高崎(群馬)戦は、盛田と間木の継投で勝利し波に乗る。チームは3回戦で当たった東邦(愛知)との対戦から接戦続き。
東邦戦は序盤から試合を優位に進めていたものの、疲れが見え始めた先発の今朝丸が打ち込まれ、試合終盤に追いつかれる展開。
しかし、間木や盛田の好リリーフもあり、10回にサヨナラ勝ちで準々決勝進出を決めた。
準々決勝の相手は仙台育英(宮城)。育英は昨年夏の甲子園優勝メンバーを揃え、投手陣の層も厚かった。
ただ、序盤に先発の仁田陽翔(3年)から3点を奪い、試合を優位に進める。
最終回に追いつかれ、タイブレークも仙台育英に流れが行きつつあるなかで、最後は相手のエラーと山増達也(3年)のタイムリーで、逆転サヨナラ勝ちを決めた。
準決勝の大阪桐蔭(大阪)戦は、大逆転勝利だった。
5点差をつけられた3回裏の攻撃で2点を返す。その後は、間木と今朝丸の好リリーフで相手の勢いを食い止めた。
大阪桐蔭の南恒誠(3年)に疲れが見え始めた7回に一気に攻め立て、同点に追いつく。さらに、8回には近畿大会決勝で完封された前田悠伍(3年)から2点を奪い、逆転勝利。
この試合を見ると、2試合連続サヨナラ勝ちをした報徳学園を球場の雰囲気が後押ししていたのも、大きかっただろう。
■長年強さを見せる近畿勢が9大会連続ベスト4入り
報徳学園が準決勝、大阪桐蔭がベスト4入りしたことで、センバツにおいて9大会連続で近畿地区の高校がベスト4入りしたことになる。
下記が過去9大会の結果だ。(左から、優勝、準優勝、4強)
2014年 龍谷大平安(近畿) 履正社(近畿) 豊川(東海) 佐野日大(関東)
2015年 敦賀気比(北信越) 東海大四(北海道) 大阪桐蔭(近畿) 浦和学院(関東)
2016年 智弁学園(近畿) 高松商(四国) 龍谷大平安(近畿) 秀岳館(九州)
2017年 大阪桐蔭(近畿) 履正社(近畿) 秀岳館(九州) 報徳学園(近畿)
2018年 大阪桐蔭(近畿) 智弁和歌山(近畿) 三重(東海) 東海大相模(関東)
2019年 東邦(東海) 習志野(関東) 明石商(近畿) 明豊(九州)
2021年 東海大相模(関東) 明豊(九州) 天理(近畿) 中京大中京(東海)
2022年 大阪桐蔭(近畿) 近江(近畿) 浦和学院(関東) 国学院久我山(東京)
2023年 山梨学院(関東) 報徳学園(近畿) 広陵(中国) 大阪桐蔭(近畿)
今回のセンバツを含めると、9大会中6大会は近畿地区から複数の学校がベスト4入りしており、さらに2014、2016、2017、2018、2022の5大会では優勝している。
関東勢が5大会連続でベスト4以上を記録したなかで、安定の強さを見せている。
また、夏の甲子園に関しても近畿勢は、2017年から5大会連続でベスト4に入っており、2018年から2021年までの3大会で甲子園制覇している。(2018年・大阪桐蔭、2019年・履正社、2021年・智弁和歌山)
2010年代半ばから現在まで「近畿勢の時代」が続いているといっていいだろう。
夏の甲子園では、さらに成長した強さを見せてくれることに期待したい。
■優勝候補3校は優勝を逃す…夏の巻き返しに期待!
今大会の優勝候補だった大阪桐蔭と広陵(広島)は準決勝で敗れ、仙台育英は準々決勝で姿を消した。
大会前の下馬評では、この3校が優勝候補筆頭であったのは間違いない。
昨年の明治神宮大会に関しても大阪桐蔭は2連覇、広陵も2年連続で準優勝、仙台育英はベスト4と順調な勝ち上がりを見せた。
大会序盤は順調に勝ち上がった3校だったが、大阪桐蔭と仙台育英は報徳学園に敗れ、広陵は山梨学院に敗れた。
番狂わせというほどではなかったが、大会前から優勝候補と騒がれていた3校には少なからずプレッシャーはあっただろう。
全国の舞台でベスト4とベスト8な立派な成績だが、夏の甲子園ではこの悔しさを糧に全国制覇を目指して欲しい。
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今年の夏の甲子園でも、熱戦が繰り広げられることだろう。高校球児たちが見せる熱い夏が、今から待ち遠しい。
■プロフィール
ゴジキ(@godziki_55)
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