屈辱的な2年連続Bクラスが濃厚に…2023年の巨人軍を振り返る
2023年09月28日 07時00分WANI BOOKS NewsCrunch
■接戦に弱く似たような試合展開の繰り返し
今シーズンも残り数試合となったが、原辰徳氏が率いる巨人は2年連続Bクラスが濃厚になりつつある。
原氏が就任してからは、2019年・2020年と連覇を達成したが、2020年の後半からチーム全体で戦力の陰りが見えていたのは間違いない。

▲2019年から自身3度目の巨人監督を務める原辰徳氏 写真:AP/アフロ
2019年は坂本勇人や丸佳浩、岡本和真を中心としたチームで優勝したが、坂本や丸はベテランに差し掛かる年齢ということもあり、2020年から今シーズンのあいだで見ると、苦しんだ時期は少なからずあった。
本来ならその時期に中心選手として成長が期待された吉川尚輝は、打撃面が伸び悩んでいる状況だ。
捕手の大城卓三が今シーズンキャリアハイの活躍を見せているなかで、吉川の成長は必要になっていくだろう。
また、試合展開に関しては2020年の後半から、似たような試合を繰り返しているだけのように思えた。
チーム全体が2019年をピークに、戦い方を含めて時代に追いつけていないように感じている。
今シーズンを振り返ると、阪神に歴史的な負け越し(6勝18敗1分)を喫したが、力の差は歴然だった。
その他の上位のチームとの戦いも、接戦ではことごとく白星を取りこぼしており、典型的な弱いチームの試合運びなのは間違いない。
今シーズンだけを見ると、ロースコアの接戦試合で苦しんでいるのが現状だ。
具体的には、阪神との試合を見ても、ロースコアゲームの弱さが顕著に現れていたように見えた。接戦だからとか追い上げたから惜しかったではなく、大事なカードの接戦を1つも拾えないのは典型的に弱いチームだ。
リーグ優勝や日本一になる強いチームは、どんな相手でも勝ち越しており、接戦の試合に勝利している。
また、1点差リードの試合を逃げ切れる力や、1~2点差のビハインド試合をひっくり返す力が強いチームにはあるが、今年の巨人はそれがなかったと言っていいだろう。
今シーズンに限らず、接戦試合に勝てなければ優勝するのは厳しいため、大きな課題になった投手陣のテコ入れが必要になっていく。
■台頭し始めている若手と外国人選手の去就
現状の巨人の若手投手陣は、山﨑伊織、横川凱、赤星優志、菊地大稀、直江大輔、田中千晴 、船迫大雅などが今シーズン一軍でそれなりに投げていた。
その他の若手を見ると、平内龍太、堀田賢慎、戸田懐生、井上温大といったあたりも期待値がある投手たちである。
山﨑に関しては二桁勝利目前まで勝ち星を積み重ねており、来シーズン以降も期待できるピッチングの内容だ。
横川は一軍定着直後は試合を作れていたが、根本的な体力不足や2巡目以降に対応されたため、来シーズンに向けた課題は明確になった。
実績のある投手を見ていくと、WBCの疲れもあり長期離脱をしていた大勢は、残り少ない数試合は無理させず、来シーズンを見据えたほうがいいだろう。現状は、投げているボール含めて、状態が悪化するだけにしか見えないため、大事に起用をしていきたいところだ。
また、野手陣も一気にレギュラーにまで上り詰めた秋広優人やルーキーの門脇誠、浅野翔吾といった選手たちが一軍で活躍したことにより、来シーズン以降が大いに楽しみだ。
秋広に関しては、夏場以降はバテてしまったが、3番に定着するなど期待されつつ中軸として打線を引っ張った時期はかなり頼もしかった。
浅野は、高卒ルーキーながらも一軍の試合に出場し、初ヒットはもちろんのこと、初ホームランまで記録している。
巨人の歴史を振り返っても、生え抜きスター選手への階段を着実に歩んでいるのがわかる。
これらの選手が、来年以降も力をつけていき、復活を遂げた坂本やキャリアハイとなるホームランを40本台に乗せた岡本とうまくマッチすると、強力な打線ができあがるだろう。
また、坂本を中心に世代交代の途中ということもあり、整備しきれていない部分が多々あるが、坂本を三塁手にコンバートさせて、門脇を遊撃手として育成していくプランも見られた。
プロの中でもトップクラスの守備力を誇る門脇の加入は、大きなプラスになっているのは間違いない。後半戦から打撃力も向上しているため、課題だったバッティングが改善されれば、さらに大きく飛躍できるだろう。
近年の巨人は、アレックス・ゲレーロやグレゴリー・ポランコ、チアゴ・ビエイラをはじめ、優良外国人選手を解雇したしわ寄せもきているのがわかる。
ゲレーロが退団後の2020年は打線の火力不足が顕著に現れ、昨年解雇したポランコはロッテに移籍し、パ・リーグで本塁打王争いをしている。
さらに、ビエイラはメジャーに昇格するなど解雇した外国人の活躍が目立つ。
また、新加入のヨアンダー・メンデスが一定水準以上の活躍を見せているが、C.C.メルセデス(現ロッテ)を解雇したのも理解ができなかった。
そのため、今年のチーム状況などを考えると、ルイス・ブリンソンを解雇にしないことがポイントになっていくだろう。
以上のようなポイントを押さえれば、優勝争いができるメンバーは揃っているはず。来シーズンの巨人の巻き返しに期待したい。
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