強豪校同士の勝敗が“振り逃げ3ラン”で決まった07年神奈川県予選準決勝

強豪校同士の勝敗が“振り逃げ3ラン”で決まった07年神奈川県予選準決勝

強豪校同士の勝敗が“振り逃げ3ラン”で決まった07年神奈川県予選準決勝

 夏の甲子園を目指す戦いも佳境に入っているが、過去にその予選で振り逃げが3ランとなったことが両チームの明暗を分けたという出来事があった。

 その事件が起きたのは07年第89回大会の神奈川県予選準決勝でのこと。しかも東海大相模対横浜という強豪校同士の顔合わせだった。

 4回表の攻撃で東海大相模は3点を先制。なおも2アウト一、三塁と追加点のチャンスを迎えていた。ここで東海大相模のバッターは2ストライク後にワンバウンドのボールを空振りし、スリーストライクが宣告されたのだが、これで3アウトと勘違いした横浜のキッチャー・小田は打者へのタッチを怠り、同時に守っていた他の選手たちもアウトと思い込んで全員がベンチに引き揚げてしまった。

 これは、確かに記録上は三振なのだが、この時の投球はワンバウンドしており、実は打者の振り逃げが成立するケースだったのである。それに気づいた東海大相模の門馬敬治監督はバッターと2人のランナーに「走れ!」と指示。こうして3人は無人のダイヤモンドを回ってホームインしたため、東海大相模にさらに3得点が認められ、6‐0となったのだ。直後に横浜の渡辺元智監督は猛抗議したものの、当然判定が覆ることはなかった。

 横浜はその後の反撃で2点差まで詰め寄ったものの、この“振り逃げ3ラン”が大きく響き、結局4‐6で敗れ去った。この時に東海大相模のバッターとして打席に立ち、振り逃げをした選手こそが、今年のプロ野球で両リーグ最速で二ケタ勝利を達成した菅野智之(巨人)。その菅野、この横浜との試合直後に振り逃げの際のことを聞かれ、こう答えている。

「何が起きたのかわからなかったけど、ベンチからの指示なのでとにかく走りました」

 プロで記録を作る男は、高校野球でも記憶に残る試合をしていたのだ。

(高校野球評論家・上杉純也)

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