さらば!「ハマの番長」三浦大輔…最後のホエールズ戦士を支えた“モノ”

さらば!「ハマの番長」三浦大輔…最後のホエールズ戦士を支えた“モノ”

引退記者会見をする三浦大輔投手=横浜市西区、9月20日 (c)朝日新聞社

 プロ野球はレギュラーシーズン終了が近づき、去就を明かすベテラン選手が増えてきた。現役最年長のDeNA三浦大輔投手(42)は20日、今季限りの引退を発表した。「ハマの番長」が記した、25年の現役生活を振り返る。

 三浦がドラフト6位指名されたのは1991年秋。大洋ホエールズに入団した最後の現役世代となる。同期の1位は東北福祉大から入団し、昨年まで楽天で現役として活躍していた斎藤隆だ。三浦の同学年にはイチロー、中村紀洋、石井一久、松中信彦、小笠原道大らプロで活躍した選手が多くいるが、高田商時代に甲子園出場もなく、三浦の知名度は高くなかった。

 プロ1年目から1軍で1試合に登板した。2年目には3勝を挙げているのだから、順調な滑り出しだ。当時の投手コーチは小谷正勝氏(現ロッテ2軍投手コーチ)。「己を知れ」という言葉を授けられ、これを愚直に守り続けた。どういうことか。自分がプロの投手として目指すタイプ、持ち味を知り、ライバルより優れている点と劣っている点を正確に把握することだ。

 三浦は若い当時から、時速150キロを計測するような剛速球を投げることができなかった。ただし、狙ったところに投げる制球力を磨き続けた。1992〜2015年まで、セ・リーグの投手は9回平均で3.05個の四球を与えているが、三浦はこの間、2.42個のみ。プロ8年目以降は、1度も3.0を超えておらず、2.0以下の年も6度ある。

 筋力トレーニングが今ほど盛んではなかったひと昔前、投手の球速は一定以上になるには「天賦の才が必要」とみなされていた。ただし、制球力は「練習で磨けば上がる」。だからこそ、三浦は後者を求め続けてきた。小谷コーチの門下生には巨人の内海哲也、ヤクルト石川雅規らがいるが、いずれも球速よりも制球力を身上とするタイプだ。球速は30代後半を迎えると急降下することが多いが、制球力は球速ほどに変わらない。だからこそ、長く現役を続けられたのだろう。

 リーゼントスタイルの髪形から怖そうな風貌に見えるかもしれないが、実は穏やかで優しい性格だ。子供のころから阪神ファンだったが、FAで阪神から誘われた2008年オフも、ファン感謝デーで聞こえた「残ってくれー」の声に残留を決心した。少年ファンへのグラブプレゼントは10年を超え、報道陣に対しても、いつも丁寧な対応。通算172勝の実績を残しても、誠実な人柄は際立っていた。

 29日の最終戦では、現役最後の登板が予定されている。プロ野球記録を更新する24年連続勝利がかかるが、巨人の勝敗次第では、CSの開催権も左右する大一番となる。現役最後の“クジラ”が、横浜の港で大きな潮を吹いて終われるか。(文=日刊スポーツ・斎藤直樹)

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