【MLB】ダルビッシュへのささやかな反抗 専属捕手との深い信頼関係が滲み出た“速い返球”

【MLB】ダルビッシュへのささやかな反抗 専属捕手との深い信頼関係が滲み出た“速い返球”

ジャイアンツ戦に先発したパドレス・ダルビッシュ有【写真:AP】

■捕手カラティニが決勝2ラン「いつも嬉しそうに僕のところに来るから嫌なんですけど」

■パドレス 3ー1 ジャイアンツ(日本時間7日・サンディエゴ)

 パドレスのダルビッシュ有投手が6日(日本時間7日)の本拠地・ジャイアンツ戦で今季2度目の先発登板。6回を投げ失点はソロ本塁打による1点のみ。7三振を奪う力投を見せたものの、3者凡退に仕留めた同点の6回で交代。今季初勝利はお預けとなったが、「全体的に調子がいいわけではなかったですが、粘り強く投げられました」と89球を振り返った。試合はビクター・カラティニ捕手が勝ち越し2ランを放ち3-1で勝利。「僕にとっても彼にとってもとてもすごくいい日だったと思います」と、カブスから共に移籍した捕手と勝利に貢献した登板を喜んだ。

 1-1の同点で迎えた7回、8番・カラティニが右翼ポールを巻く2ランで試合を決めた。昨季まで共にカブスに在籍し、専属捕手を務めてきた相棒が放った一打にダルビッシュはこんな感想を言った。

「ホームランを打つといつも嬉しそうに僕のところに来るから嫌なんですけど、チームにとってはいいので、すごく複雑な思いです」

 連敗を2で止める値千金の一打を放った相棒に贈った皮肉たっぷりの言葉には、深い信頼関係が滲み出ている。キャンプイン後、初会見が行われた2月18日、ダルビッシュは「カラティニがいなかったらちょっとどうなっていたかわからない」と、新天地での不安を取り除いてくれる女房役の存在に感謝の気持ちを隠さなかった。

■思い出す元エンゼルス監督のソーシア氏が語っていた話

 スプリット、カッター、スライダー、カーブそして直球。決め球に5球種を使い7個の三振を奪ったダルビッシュを、阿吽の呼吸で導いたカラティニ。その好リードの一端が強打者を一飛に打ち取った打席で見られた。4回2死走者なしで対峙したのは直近4試合で3本塁打を放っている5番・ロンゴリア。直球とスプリットでカウント1-2と追い込んだ4球目だった。カラティニは腰を浮かせ内よりにミットを構えたが、投球は対角線に向かう外角低め。高低も違う逆球をなんとか捕球すると、カラティニは力を入れてダルビッシュに返球した。直前のスプリットがベースの手前でワンバウンドしていただけに、あの速い返球にはある種のメッセージが込められていたはず。

 大谷翔平の二刀流を後押しし、3年前にエンゼルスを退いたマイク・ソーシア元監督がドジャースのベンチコーチを務めていた頃、現役時代にバッテリーを組んだハーシュハイザーへのリードで「たまに強い返球をしたもんだ」と話していたのを思い出す。その理由を、大事な局面で気を引き締めさせるための意思表示だったと言い、天才的な勝負勘を持ったハーシュハイザーが悪びれるふうもなくサインと違う球を投げてくることもあったと明かしている。その際には「怒気を込めて投げ返した」と名将は苦笑した。

 今季2登板目も粘投で踏ん張ったダルビッシュは次回に向け「まだ直さなきゃいけないことはあると思います」とフォームの微調整を行うが、6回を1失点で先発の責任を果たした登板を「お互い考えながらゲームを組み立てられたと思います」とカラティニとの共同作業に納得した。

 リードに忍ばせた“ささやかな反抗”――。ダルビッシュにとって、7つ年下のビクター・カラティニの存在はますます貴重になる。(木崎英夫 / Hideo Kizaki)

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