「何の実績もないただの選手」5球団競合右腕、ホークス田中正義の危機感

「何の実績もないただの選手」5球団競合右腕、ホークス田中正義の危機感

悲壮な覚悟を胸に秘めトレーニングを続けるソフトバンク・田中正義【写真:福谷佑介】

「自分を変えたい」先輩・和田の自主トレに弟子入り

 悲壮な覚悟を胸に秘め、自己研鑽の日々を送っている。現在、福岡・筑後市にあるソフトバンクのファーム施設「HAWKS ベースボールパーク筑後」で和田毅投手が行っている自主トレ。笠谷俊介や育成の伊藤祐介、斎藤誠哉とともに、2016年のドラフト1位である田中正義もまた、球界を代表するベテラン左腕とともに、ハードなトレーニングに汗を流していた。

 5球団が競合した末に、ソフトバンクの門を叩いて迎えたプロ1年目は、とにかく苦しく、もどかしい1年だった。右肩の不調で開幕前に離脱すると、リハビリの日々が続いた。1軍登板がなかったどころか、2軍戦でさえも、終盤に1試合に投げただけに終わった。

「自分を変える、というか。当然このままじゃいけないというのは思いました。色々と和田さんとお話をさせていただく中で、一緒にやらせていただけるのであれば、と思いました」。自分を変えたい――。この思いが強かったのだろう。厳しいトレーニングを己に課すことで知られた和田の自主トレへと“弟子入り”することを願い出た。

 少しばかり遅れて合流した自主トレ。練習を進める中で、田中は痛感した。「やっぱり改めて自分の足りないところであったり、和田さんとの差を感じます。分かってはいたんですけど、体の使い方、強さの部分でも負けないようにやっていかないといけないと思います。体幹部分の弱さだったりですね。(和田さんは)強いです。自分が弱いというのもあると思うんですけど」。

37歳和田の肉体の強さに「本気で勝ちにいかないと、自分の成長はない」

 今年24歳になる田中と、2月に37歳となる和田。それだけ和田がこれまで厳しく体を鍛えてきた証でもあるのだが、年齢を重ね、ベテランの域に達している和田の方が肉体の強さを持っているのだという。「まだまだですけど、本気で(和田さんにも)勝ちにいかないと、自分の成長はない。しょうがないってやっていたら、それまでになってしまうので」。

 5球団競合、鳴り物入りでプロの世界に飛び込んできた。それから1年。もはや、田中の中に1年前の感情はない。「新人ではないので。ただの選手、何の実績もないただの選手になっているので。言ってしまえば、マイナスからのスタート。アピールするしかない立場なので。結果ですよね。そう(危機感を持って)やるのは当たり前のこと。結果が求められてくると思うので、そこに応えられるように頑張りたいです」。そう語る言葉の端々には危機感がありありと伝わってきた。

「やるしかない。とにかくガムシャラにアピールするしかない。それだけですね」。“和田塾”でのトレーニングを終えると、1人再び室内練習場へと姿を見せる。ボールケースを用意すると、黙々とネットスローを繰り返した。「当たり前っちゃ当たり前ですよね。個人的な課題は、個人的にやるしかないので」。和田が家路に就いた後も、それは続いた。

「間違いなく良くはなっている。もっと成長出来るように、あと10日間くらいですけど、1日も無駄にしないようにやっていかないといけないと思っています。1年間1軍で、まずはキャンプでアピールして、開幕1軍に残れるようにやって、そこからはずっと1軍にいられるようにしたいですね」。2017年、苦しみもがいた田中正義にとって、2018年は明るい1年となるだろうか。(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)

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