MLBの”新速球王”169キロ右腕に独占インタ「1年で球速が8キロもアップした」!?

MLBの”新速球王”169キロ右腕に独占インタ「1年で球速が8キロもアップした」!?

カージナルスのジョーダン・ヒックス【写真:Getty Images】

カージナルスのジョーダン・ヒックスは今季105.1マイル(約169キロ)をマーク

 今季メジャーで“二刀流”大谷翔平投手と並ぶセンセーションを巻き起こしている新人がいる。カージナルスの21歳右腕、ジョーダン・ヒックス投手だ。何がスゴいのかと言えば、その投げる球だ。5月20日のフィリーズ戦では、アロルディス・チャップマン(ヤンキース)に並ぶメジャー、いや人類最速105.1マイル(約169キロ)を記録。6月15日現在、MLBデータ解析システム「スタットキャスト」の計測によると、今季102マイル(約164キロ)以上を叩き出した投手はヒックス(27回)とチャップマン(14回)だけ。103マイル(約166キロ)以上に限れば、ヒックスは8度計測しているが、チャップマンは1度に留まっている。

 デビューは今年3月29日。セントルイスの地に降り立った超新星が、電光掲示番に「100」の数字を踊らせるたびに、球場には歓声と驚嘆の声が入り交じる。2015年にドラフト3巡目(全体105位)でカージナルス入りした21歳右腕に「100マイル」の世界について直撃した。

――初めて100マイルに達した時を覚えていますか?

「初めて100マイルを投げたのは、確か1Aのピオリアだったから…去年(2017年)だね」

――去年!? それで今年はもう105.1マイル?

「そうなんだ。1年で球速が5マイル(約8キロ)もアップして、自分でも驚いているくらい(笑)。高校では90マイル台後半は出ても、100マイルに達することはなかった。プロになってから、しっかり体作りができたことが球速アップにつながったと思うんだ。去年から今年に掛けてを考えてみても、体をしっかり使えるようになってから、継続して100マイルを投げられるようになってきたよ」

――子供の頃から、いつか100マイルの剛速球を投げることは目標にしていた?

「もちろん。いつの日か100マイルを投げられたらいいと思っていたけど、高校時代にはそこまではいかなかった。だから、正直なところ100マイルの壁は高いなって思っていたんだ。それが去年、初めて100マイルを投げた時には『ワォッ、僕にもこんなことができるんだ!』って(笑)、不思議な感覚でしかなかった。日々成長する中で、体がシャープになると同時に、体の使い方の理解も深まってきている。だから、今では100マイルどころか101マイルも普通に出るようになったんだと思うんだ」

――99マイルと100マイル。2桁と3桁の世界はまったく違うものと聞きます。

「僕もそう思うよ。自分にとって、というより、対戦打者にとって全然違うんだと思う。電光掲示番に『100』と3桁の数字が出ると、打者によりプレッシャーが掛かるというか、怖じ気づく感覚が生まれるらしい。そういう意味では、99マイルと100マイルの与える影響力は大きく変わるね」

――100マイル、105マイルを投げた時はどんな感覚なんですか?

「100マイルを超える時は、体の中の歯車が全てカチッとハマった感じがするんだ。力みすぎていないというか、上半身、下半身、骨、筋肉…そういったものが全部無駄なくつながった感じ。体の全てのパーツが完璧に動いた感覚かな。うまく言い表せないだけど、決して無理矢理投げている感じではないね。105マイルを投げた時は、少し力を入れてみようと意識したんだけど、自分でもちょっとビックリしたよ」

憧れはノーラン・ライアン「史上最高の投手」「誰でも憧れる」

――球界NO1の呼び声も高いモリーナ捕手がホームで構えていてくれる心強さもありますね。

「どんなボールでも逸らさずに止めてくれるし、野球を本当に知り尽くしている。彼が構えていてくれるだけで、ピッチャーはみんな安心してマウンドに立っていられるんだ」

――剛速球を投げると、肩肘への負担を心配する声が上がると思います。

「もちろん。だから、投げた後のトリートメントはもちろん、トレーニングのプログラムも細心の注意を払いながら進めているんだ。肩肘がどんな具合か、日々トレーナーとコミュニケーションを図りながら、包み隠さず共有するようにしているし、時には針を打ったり電気治療も施すようにしている。肩肘に疲れが残らないように、できる限りのことに取り組んでいるんだ。21歳という年齢のおかげで、回復が早いっていうのもあるかもしれないけど(笑)」

――ヒューストン出身で子供の頃はアストロズファンだったとか。

「アストロズの大ファンだったよ。でも『だった』だからね。過去形。今は違うよ。『だった』ね(笑)。プロに入った瞬間から、競争の世界に足を踏み入れたんだ。今では、世界一になるために倒すべき相手だ。

 特に、誰に憧れていたっていう訳じゃないけど、やっぱりノーラン・ライアンは史上最高の投手。テキサスの野球少年は誰でも憧れると思うよ。剛速球を投げる、正真正銘のピッチャーだからね」

――今後、ファンは105マイルの剛球をより頻繁に目撃することを期待してもいいですか?

「それはどうかなぁ(笑)。普段は100マイル、101マイルを安定して投げられ、必要とあらば105マイルを投げられるような形が、今のところ理想だと思うんだ。数年後は変わっているかもしれないけどね」(佐藤直子 / Naoko Sato)

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