【高校野球】広陵が攻撃指標では上回るも二松学舎大付に勝てず…データで見る甲子園

【高校野球】広陵が攻撃指標では上回るも二松学舎大付に勝てず…データで見る甲子園

セイバー目線で甲子園を分析

浦和学院の渡辺はスライダーで空振り率36%

 出場56校全てが出揃った大会8日目。この日初戦を迎えた4チームの試合の分析を行います。そして、まだ1試合だけではありますが、出場56校の指標をランキングでご紹介します。

○二松学舎大付(東東京)5-2広陵(広島)

○攻撃指標
OPS 出塁率+長打率
wOBA 1打席あたりにどれだけチームの得点に貢献したかを表す指標
O-swing% ボールゾーンのスイング率
Z-swing% ストライクゾーンのスイング率
Z-contact% ストライクゾーンのコンタクト率

【広陵】
打率.303 出塁率.378 長打率.455 盗塁1/2
OPS .833  wOBA 0.369
O-swing% 20.0%  
Z-swing% 52.4%   
Z-contact% 93.9% 

【二松学舎大付】
打率.286 出塁率.333 長打率.321 盗塁1/1
OPS .655  wOBA .333 
O-swing% 34.4%  
Z-swing% 52.4%   
Z-contact% 93.9%  

○投手指標
P/IP 1イニングあたりの投球数
WHIP 1イニングあたりで安打、四球でどれだけ走者を出したかの指標
GO/AO ゴロアウトの総数をフライアウトの総数で割って算出

【広陵】
森悠祐(右)
7回 投球数 115  P/IP 16.23  WHIP 1.29  GO/AO 2.5
河野佳(右) 
1回 投球数 12  P/IP 12.00  WHIP 1.00  GO/AO 0.0

【二松学舎大付】
海老原凪(左)
3回2/3 投球数 60  P/IP 16.23  WHIP 2.73  GO/AO 0.5
岸川海 (右) 
5回2/3 投球数 65  P/IP 11.47  WHIP 0.71  GO/AO 4.0

 攻撃指標では広陵が上回っている印象なのですが、得点は2-5と二松学舎大付に及びませんでした。特に2回表は1イニングに2本の二塁打を浴びせながら得点に結びつけることができないという、もどかしい展開。5回にソロホームランで同点に追いつくものの、6回以降は二松学舎大付の2番手・岸川投手に抑え込まれゴロの山を築きました。

 昨年夏準優勝の実績の片鱗を見せる打力は披露したのですが、得点に結びつけることができず初戦敗退となりました。

浦和学院は仙台育英を攻撃指標で圧倒

○浦和学院(南埼玉)9-0仙台育英(宮城)

○攻撃指標
【浦和学院】
打率.308 出塁率.341 長打率.564 盗塁2/2
OPS .906  wOBA .449
O-swing% 24.7%  
Z-swing% 73.9%   
Z-contact% 87.7%   

【仙台育英】
打率.129 出塁率.229 長打率.161 盗塁1/1
OPS 0.390  wOBA .227
O-swing% 33.9%  
Z-swing% 76.7%   
Z-contact% 82.6%   

○投手指標
【浦和学院】
渡辺勇太朗(右)
6回 投球数 90  P/IP 15.00  WHIP 1.17  GO/AO 4.5
永島竜弥(左)
2回 投球数 19  P/IP 9.50  WHIP 0.00  GO/AO ∞  
美又王寿(右)
0回1/3 投球数 2   P/IP 6.00  WHIP 0.00  GO/AO 0.0
河北将太(右)
0回2/3 投球数42  P/IP 18.00  WHIP 1.50  GO/AO ∞

【仙台育英】
田中星流(右)
2回2/3 投球数 68  P/IP 25.50  WHIP 1.88  GO/AO 1.0
大栄陽斗(右)
6回1/3 投球数 101  P/IP 15.95  WHIP 1.42  GO/AO 2.2

 浦和学院はOPS.906、対する仙台育英はOPS.390など、打撃指標は浦和学院が仙台育英を圧倒しました。浦和学院の先発・渡辺投手は変化球のキレが鋭く、スライダーで36%、シュートで25%の空振りを取ることができました。

 また仙台育英の先発・田中投手もカットボールで44%の空振りを奪取し、4者連続三振を好投は見せていました。しかし、3回に浦和学院の上位打線に対して投じた甘い球を見事に長打にされ、4失点で無念の降板となりました。

初戦突破したチームを打撃指標別にランキング

【打撃指標ランキング】

 出場56校すべてが初戦を終えました。ここで初戦を突破したチームの打撃指標をランキング形式で振り返ります。もちろん1試合だけの成績ですので、対戦相手の投手の球速、制球力、そしてそれに対するチーム打撃の意識などによって変動する指標であることは、ご承知おき願いたいところです。

 しかし、2戦目以降の指標が全試合とどれだけ変動したかによって、攻撃の意識がどのように変化したのかを探る手がかりとして活用していただければと思います。

○O-swing%ランキング
1常葉大菊川 6.8%
2日大三 6.9%
3木更津総合 15.2%
4大阪桐蔭 16.4%
5興南 17.3%
6創志学園 18.5%
7八戸学院光星 19.6%

 O-swing%はボールゾーンの球をスイングした割合で、少ないほど選球眼の良さがあると言える指標です。常葉大菊川と日大三高のO-swing%が突出しています。

○Z-swing%ランキング
1奈良大付属 84.3%
2興南 77.1%
3前橋育英 76.9%
4高岡商 75.8%
5沖学園 73.9%
6浦和学院 73.9%
7報徳学園 72.6%

 Z-swing%はストライクゾーンに来た球に対して振りにいった割合を示す指標です。奈良大付属はストライクゾーンに来た球に対して積極的に振りにいっている姿勢が伺えます。

○Z-contact%ランキング
1花咲徳栄 97.6%
2大阪桐蔭 97.4%
3日大三 97.0%
4八戸学院光星 96.8%
5高知商 96.2%
6木更津総合 94.5%
7日南学園 94.0%

 Z-contact%はストライクゾーンに来た球を振りにいってバットをボールに当てた割合を示しています。バットコントロールの良さを示していると考えられる指標ですが、やはり打撃に定評のあるチームが上位に名を連ねています。(鳥越規央 / Norio Torigoe)

鳥越規央 プロフィール
統計学者/江戸川大学客員教授
「セイバーメトリクス」(※野球等において、選手データを統計学的見地から客観的に分析し、評価や戦略を立てる際に活用する分析方法)の日本での第一人者。野球の他にも、サッカー、ゴルフなどスポーツ統計学全般の研究を行なっている。また、統計学をベースに、テレビ番組の監修や、「AKB48選抜じゃんけん大会」の組み合わせ(2012年、2013年)などエンターテインメント業界でも活躍。JAPAN MENSAの会員。一般社団法人日本セイバーメトリクス協会会長。
文化放送「ライオンズナイター(Lプロ)」出演
千葉ロッテマリーンズ「データで楽しむ野球観戦」イベント開催中
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