不死鳥の如く復活を果たした日ハム浦野 難病を乗り越えた右腕が掴んだ大役

不死鳥の如く復活を果たした日ハム浦野 難病を乗り越えた右腕が掴んだ大役

日本ハム・浦野博司【写真:石川加奈子】

浦野はルーキーイヤーに7勝4敗の成績を残した

「怪我の功名」という言葉がこれほど似合うケースも、そう多くはないのではなかろうか。シーズン途中にクローザーへと配置転換された北海道日本ハムの浦野博司投手が、新たな持ち場で安定感抜群のピッチングを見せている。難病を克服し、不死鳥のようによみがえった浦野投手の復活は、やがて多くの人々に勇気を与えるようなものとなるかもしれない。

 浜松工業高校、愛知学院大学、セガサミーを経て2013年のドラフト2位で日本ハムから指名を受けた浦野は、いきなり背番号「17」を与えられるなど球団からの期待も高く、即戦力としての活躍が見込まれていた。そしてプロに入ってからも前評判通りのピッチングを披露し、ルーキーイヤーの2014年には先発投手として活躍。20試合に登板して7勝4敗という成績を残し、最終的にはクライマックスシリーズ・ファイナルステージ初戦の先発マウンドを託されるほどの信頼を得る存在となっていた。

 プロ野球選手として上々の滑り出しに成功した浦野だったが、2年目以降に待ち受けていたのは苦難の道のりだった。2015年は3勝3敗、防御率4.81と不振に陥り、故障もあって先発ローテーションの座から外れてしまう。だが、それ以上に浦野投手を苦しめる重大な事態が存在したことが、翌年になって明らかとなる。

 浦野は2016年にインピンジメント症候群を発症しているという診断を受け、血行障害によって利き腕である右肩の骨が壊死するという重症に見舞われてしまう。浦野は保存療法を選択したが、この影響で2016年のシーズンを丸々棒に振ることになってしまった。

 懸命のリハビリを経て、一時は引退も考えたという深刻な事態を乗り越え、2017年の5月5日に1軍の舞台に戻ってきた。この日に行われたオリックス戦では6回途中無失点という投球内容で、実に695日ぶりとなる1軍での白星を手にしている。

 この年は初登板から3連勝を記録したが、その後は打ち込まれる試合が目立ち、7試合で3勝3敗、防御率4.36という成績に終わって先発ローテーションへの復帰はならず。それでも、浦野にとっては難病を乗り越え、復活への第一歩を踏み出す1年となった。

勝負の今季、4月末からアピールを続け勝ち取った守護神の座

 そして迎えた今シーズン、浦野は4月末に1軍に昇格すると、中継ぎとして8試合にわたって自責点0(失点1)というほぼ完ぺきなピッチングを披露する。6月2日に訪れた今季唯一の先発登板の機会では4回3失点と試合を作り切れなかったが、その後は再び中継ぎとして安定感抜群の投球を見せていった。

 今季の日本ハムは、開幕時にはクローザーとして石川直也投手を起用していた。しかし、早い段階で新助っ人のマイケル・トンキン投手が抑えに配置転換されることに。その後、再び石川直がクローザーに復帰する形となるなど、なかなかクローザーを固定することができていなかった。

 そんな中、石川直が肉離れで戦線を離脱する事態となり、チームはクローザー不在の状態に。ここで栗山監督が代役として白羽の矢を立てたのは、中継ぎとして安定したピッチングを続けていた浦野だった。

 突然の抜擢にも動じることなく、試合の最後を締める重要な局面でもこれまで同様の好投を続けていく。今季は22試合に登板して2勝1敗1ホールド6セーブ、防御率1.53という数字を残しているが。1度の先発機会を除いたリリーフとしての数字は、21試合25.1回で自責点2、防御率0.71と、まさに圧倒的と形容できるものとなっている。

 優れた数字を弾き出しているのは防御率だけではない。9イニングスを投げた場合にどれだけ三振を奪えるかを示す指標である奪三振率は10.43となっており、イニング数を上回る三振数を計算できる数字となっている。また、四球1つに対して何個の三振が奪えるかを示す指標であるK/BBは4.25と、一般的に優秀とされる「3.50」を上回る値に。三振を奪う能力が高いことに加えて、四球で不用意なランナーを許すことも少ないという傾向がうかがえるところだ。

 抑え投手にはここぞという場面で空振りを奪えるボールと、四球などによってランナーを貯めない能力が求められる。その点、浦野は総じてクローザーとして必要な多くの資質を持ち合わせている存在と言えそうだ。リリーフ陣の軸の一人となりつつあった石川直の離脱はチームにとって大きな痛手には違いないが、浦野が新たな持ち場で適正をフルに発揮できるようになったことは、文字通りの「怪我の功名」と表現できるかもしれない。

 治療に1年以上を費やした大病を乗り越え、1軍の舞台に舞い戻り、そして、今やチームに欠かせない存在へ。紆余曲折という単純な言葉で形容するにはあまりにもドラマチックな浦野の復活劇が、チームの劇的な逆転優勝という形で完結を見る可能性も十分に残されているはずだ。(「パ・リーグ インサイト」望月遼太)

(記事提供:パ・リーグ インサイト)

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