【高校野球】元メジャー右腕も感心する金足農・吉田の野球脳 「高校生離れしている」

【高校野球】大阪桐蔭、済美、日大三、金足農が4強 金足農・吉田輝星に藪恵壹氏感嘆

記事まとめ

  • 全国高等学校野球選手権記念大会の準々決勝で大阪桐蔭、済美、日大三、金足農が勝った
  • 金足農が近江に劇的な逆転サヨナラ勝ちを収め、元阪神の藪恵壹氏は驚嘆の声を上げた
  • 金足農は20日に日大三と準決勝を戦うが、藪氏は吉田の“投げ過ぎ”について心配する

【高校野球】元メジャー右腕も感心する金足農・吉田の野球脳 「高校生離れしている」

【高校野球】元メジャー右腕も感心する金足農・吉田の野球脳 「高校生離れしている」

元阪神でメジャーでもプレーした藪恵壹氏【写真:岩本健吾】

4試合で合計615球「将来がある投手だからこそ、無理がないように」

 第100回全国高等学校野球選手権記念大会第14日は、準々決勝4試合が行われた。第1試合こそ大阪桐蔭(北大阪)が浦和学院(南埼玉)を11-2の大差で下したが、残り3試合はすべて3-2のスコアで勝敗が決定。済美(愛媛)、日大三(西東京)、金足農(秋田)がベスト4に駒を進めた。

 第4試合では、金足農が敗戦色濃厚だった9回裏に無死満塁から2ランスクイズを決め、近江(滋賀)に劇的な逆転サヨナラ勝ちを収めた。3回戦の横浜戦に続くミラクル勝利に、元阪神でメジャー右腕の藪恵壹氏は「今日はさすがにやられた、と思いましたけどね」と驚嘆の声を上げた。

 3回戦まで3戦連続150球超えだった吉田輝星投手が、この日も力投を見せた。藪氏は3試合通算で475球を投げ、この日連投となった右腕について懸念していたが、「1試合を1人で投げきらなければいけないと自覚しているのでしょう。序盤から変化球を多めに投げながら、上手く調整していましたね」と感心。この一戦は「4番・北村(恵吾)君との対決が見応えがありましたね」と振り返る。

 一番の見どころは、6回表、1死三塁で迎えた北村の第3打席だ。ファウルと見逃しで早々に追い込んだ吉田だが、2度のファウルなどで粘られた6球目140キロ速球を三遊間を破る左翼へのタイムリーとされた。この日まで3試合で11打点を挙げていた北村に対し、吉田は一歩も譲らぬ真っ向勝負で挑んだ。見る者を惹きつける全4打席の攻防だったが、藪氏はこの日を通じて北村有利だったと見る。

「今日は北村君がいい振りをしていました。あのタイムリーは見事でしたね。2打席目のライトフライもいい当たりだったし、吉田君が投げ勝ったのは8回に投手ゴロに打ち取った4打席目だけだった感じがしました」

 だが、最後に笑ったのは吉田だった。最終的には9回裏の2ランスクイズが勝敗を決したが、勝機を呼び込んだのは、どんな状況でもマウンド上で冷静さを失わなかった「吉田君の高校生離れした落ち着きですね」と指摘する。

「吉田君はバント処理も上手いし、走者を背負った場面も決して舞い上がることがない。例えば、8回無死一、二塁の場面で近江の土田君はバスターで打ってきましたが、打球を捕った吉田君は慌てず三塁ベースカバーに入るのを見てアウトにした。6回に1点を勝ち越された後も、1死一塁で打ち上がったバントをわざと落としてゲッツーに仕留めてみせました。甲子園という舞台で、あれだけ落ち着いていられるのはすごいですよ。

 ピッチングもチェンジアップとフォークを上手く使っていましたね。北村君の第4打席、2球目に内角へフォークを投げた。あの1球があったから、3球目の外角スライダーを振らせてゴロに打ち取れましたから。右バッターの懐にあの球を投げられるのは見事です」

17年ぶり4強入りを逃した近江は「9回によそいきの野球になっていた」

 17年ぶり4強入りが目前まで迫りながらも、惜しくも敗れた近江について「紙一重でしたね。2年生のキャッチャー有馬君とレフト住谷君、1年生のショート土田君と来年以降も面白そうです」と期待を寄せる。その一方で「9回に攻守にわたって少しよそいきの野球になっていたような気がします」と指摘する。

「9回表、無死一、二塁の場面で、なぜ送りバントをしなかったのか。送って1死二、三塁にすれば、マウンド上の吉田君にプレッシャーがかかったはずです。投手心理として、試合終盤に得点圏に走者を置くのは嫌ですから。あそこで1点ダメ押しできていれば、勝てる確率は上がっていたでしょう。

 9回裏もいつもだったら、背番号1の金城君を投入していたはず。2年生の林君も非常にいい投手ですが、あそこで普段と同じ継投策を獲らなかったのはなぜか。事情があったのかもしれませんが、少し普段とは違っていましたね」

 金足農は1日オフをはさみ、20日に日大三と準決勝を戦う。ここまで615球を投げた吉田が甲子園で5戦目の先発マウンドに上がることは、ほぼ確実。準々決勝での投球を見て「高校生の若さだと一晩寝るとあんなに回復するのかと思いました」と話す藪氏だが、吉田の“投げ過ぎ”について心配する気持ちは変わらない。これまで自身の周りでも故障が原因で選手生命を短く終えた投手を見てきたからこそ、警鐘を鳴らし続ける。

「いくら好投しても、投げ過ぎであることには変わりません。将来がある投手だからこそ、無理がないように大人がしっかり管理しないといけないと思います。特に日程が詰まるトーナメントでは、どうしても投手に負担がかかる。肘の靱帯や肩を怪我したら、なかなか復帰は厳しいですから」

 準決勝は「おそらく3、4点の攻防になるでしょう」と予測する。「強打の日大三高が3番の日置君を中心にどんなバッティングを見せるのか。勝敗の鍵を握るのは、送りバントだと思いますね」。

 悲願の優勝まであと2勝。両校の戦いに注目したい。(Full-Count編集部)

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