【パ・リーグお仕事名鑑】ITを駆使して「野球事業の根幹」を支えるホークスのチケットセールス担当

【パ・リーグお仕事名鑑】ITを駆使して「野球事業の根幹」を支えるホークスのチケットセールス担当

ソフトバンクでチケットセールスを担当する川原さん【写真:(C)PLM】

好きなチームのために働くという選択「そこで仕事がしてみたい」

 グラウンドの上で輝く選手やチームを支えているのはどんな人たちなのか。
連載「パーソル パ・リーグTVお仕事名鑑」でパ・リーグに関わる仕事をしている人、そしてその仕事の魅力を紹介していく。

 現在、ソフトバンクでチケットセールスを担当する川原さん。福岡県出身で、小学生の頃にホークスの優勝で地元が盛り上がるのを目の当たりにし、松中信彦氏のファンになった。自身も小学2年から大学まで本気で白球を追いかけた野球人。ただ、野球に関わる仕事をしようというビジョンまでは描いていなかったという。

「もともと理系で大学は農学部。就職活動を始めた3年の冬、地元に帰省した時に、たまたま友達から『ホークスが新卒者を募集しているよ』と聞きました。スポーツ業界で仕事するという発想は、そこで初めて芽生えたものです。ただ、プロ野球球団に就職したいと思ったわけではありません。大好きなホークスだったからこそ、そこで仕事がしてみたいという気持ちになったのだと思います」

 ホークスの新卒採用は5年ぶりで、多数の応募があった。狭き門を突破したのは、川原さん含めわずか4人。面接では「ホークスに関わる仕事がしたい」という思いをストレートに伝えたほか、大学時代に所属した準硬式野球部で主務を経験し、選手の気持ちも支える側の気持ちも理解できることをアピールした。

 1か月の研修を経て、最初に配属されたのはIT戦略部。そこでは球団公式サイトの運営や、チケット購入ページ、イベント告知ページの制作ディレクションなどを担当。そのほかにも、公式アプリの企画、SNSでの配信といった業務を2年間に渡って経験した。

ITの知識を駆使してチケットセールスを改善、日本ハムの施策も参考に

 現在の「営業戦略部チケットセールス課」に配属されたのは1年ほど前。ミーティング以外の時間は新たな商品や施策を考えたり、チケットの購入導線などを分析したりするため、デスクワークがメインとなる。

「業務自体が試合に紐づいているわけではないので、試合終了まで必ず見届けなくてはいけないということはないのですが、観客動員が7回、8回あたりに発表されるので、それを確認してから帰宅することが多いです。イベントによっては、どのくらいスタンドが埋まっているか見るために試合前に球場内に入ることもあります」

 現在の部署でWEBマーケティングの経験があるのは、川原さんただ一人。そのため、IT担当だった頃に培ったノウハウを最大限に活用し、公式サイトでのチケットの購入導線を率先してリニューアルしたそうだ。

「細かい表示が多くてわかりづらかった画面を、使いやすい“スマホファースト”に改善しました。例えば、お客さんは試合日を選んでチケットを購入している傾向があることが分析でわかったので、『試合日から買う』のボタンをいちばん上に持ってくるなどの工夫をしています」

 すでにある程度改善が施されたが、さらにチケットを買いやすくするために、新たな機能を入れられないか考えているところだという。

「自分から情報を取りに来てくださるファンの方には届くのですが、ホークスが好きであっても情報収集となると受け身の方もいる。『そのイベントを知っていればチケットを買ったのに』という方も実際にいると思います。そうならないように、ITをもっと駆使して、全てのファンの方々にアプローチできるように注力したいと考えています」

 他球団や他競技におけるチケットセールスの動向も積極的にチェック。川原さんが最近特に気になっているのは、同じパ・リーグの日本ハムの施策だ。

「ファイターズさんはAmazon Payの導入などWEBマーケティングを積極的に進めている上、自社チャネルに一本化していて非常に効率的。参考にさせていただけそうな点もあると思い、時々お話を聞かせていただいたりもしています。あと、僕はバスケットボールやサッカーなどの他競技を観るのも好きなので、チケット購入の際には使ったことのないアプリを利用してみるなど、仕事に活かせるよう買い方も意識しています」

 チケットの売り上げは球団の事業収益にそのまま直結する。それにより、IT戦略部の頃とは違った責任感も芽生えてきた。チケットセールスという仕事は「野球事業の根幹である」と言われることも多く、川原さん自身もそれを実感している。 

「各部門の担当者も、いかにチケットを買ってもらうかを考えて動いています。僕たちは、それを受けてゴールに結びつけなくてはいけない立場。自分たちが直に数字を追いかけているので、大変ではある一方で同時に楽しさも感じています」

“開き直り”がやりがいにつながる「やる気、意欲は常に湧いてきます」

 もともと野球やホークスが好きだったこともあり、入社した頃はグラウンドに近い球団統括の仕事を強くイメージしたこともあったそうだが、ITやチケットセールスでの仕事を経て、今は少し違った感覚を抱いている。

「ITの部署でもチケットの部署でも、必ず野球が関連してきます。ホークスにいると、どこの部署にいても野球を感じることができるんです。自分の好きな野球に絡めながらITやチケットセールスの知識を深めていくことができるので、やる気、意欲は常に湧いてきます」

 野球というと上下関係が厳しいイメージを抱く人もいるかもしれないが、職場の雰囲気はいたってフランク。いい意味で、先輩後輩の壁が存在しない社風だ。

「休日には他部署の先輩社員とゴルフに行ったり、草野球やフットサルなどのアクティビティをしたりと、世代をこえて交流させてもらっています。他部署と連携する際には、そこでできたつながりが活かせているなぁと感じます。ビジネスライク過ぎず、気軽に相談できる雰囲気ですね。いわゆる“体育会系”という感じではありません」

 川原さんの代は5年ぶりの新卒採用だったが、それ以降は毎年のように新卒社員が入社しており、どの部署にも若い戦力が揃いつつある。現在、社員数は約230人。その人数で年間250万人前後の観客を球場に迎えていることにも、やりがいを感じると川原さんは言う。

「チケットセールスという収益に直結する部署に身を置いて、責任が重すぎると感じたこともありました。でも、『少ない人数でインパクトの大きいことができるんだ』と開き直ってからは、その責任こそがやりがいになっています。あとは、自分のまわりで僕が仕事を頑張っているからホークスを応援すると言ってくれる方も多くいるので、そうやって日常生活の中でもやりがいを感じられる瞬間があることが嬉しいですね。新たに入ってくる社員の方々にも、そんな魅力を伝えていけたらいいなと思います」(「パ・リーグ インサイト」岡田真理)

(記事提供:パ・リーグ インサイト)

関連記事(外部サイト)