【福岡発 売り子名鑑2018】登録数約500人…ヤフオクDのエリカ様が語る売り子界の厳しさと競争とは…

【福岡発 売り子名鑑2018】登録数約500人…ヤフオクDのエリカ様が語る売り子界の厳しさと競争とは…

アサヒビールのエリカさん【写真:福谷佑介】

ヤフオクDの売り子登録数は約500人にものぼる

 ペナントレースも終盤戦に差し掛かり、熱い戦いが連日繰り広げられている2018年のプロ野球。そんな各球場を彩る“華”となっているのが、各ビールメーカーの売り子たち。一見華やかに見える世界だが、連日10キロを超えるビールのタンクを背負い、階段ばかりの球場内を歩き回る。肉体的な厳しさはもちろん、売り子の間での競争、売上を伸ばすための創意工夫など、トップ売り子たちは想像を遥かに超えるほどの苦労と努力を行っている。

 2年連続のリーグ優勝を狙う福岡ソフトバンクホークスが本拠地とするヤフオクドームでも、ビール売り子たちの熱き戦いが連日繰り広げられている。ヤフオクドームではアサヒビール、キリンビールの2社が展開しているが、その売り子さんたちは登録制となっており、登録者数は両メーカー合わせて500人近い数にも上る。

 球場内でビールを売るのは100人ほど。残りの400人は必然的に仕事は巡ってこない。そこは当然、競争社会。シフトの希望が被った場合は、売上の多い人間が優先的にシフトに入れるようになる。結果が出なければ、売り子も出番が減っていく。トップクラスの売り子となれば”常連さん”と呼ばれる固定客もいるが、それでも、球場内では売り子同士での顧客の奪い合いとなる。

 まさに弱肉強食。その厳しい競争を生き抜くビールの売り子たち。昨季からの人気企画となっていた売り子紹介企画をリニューアルし、「福岡発 売り子名鑑2018」として厳しい世界を勝ち抜くトップクラスの売り子たちの苦労と苦悩、努力する姿を紹介していく。

 第1回は、アサヒビールのエリカさん。

 弾けるような笑顔が印象的なエリカさん。「高校を卒業した時に一度、友達に誘われたんですけど、他のバイトをしようと思っていて断ったんです。でも、夏くらいにバイトの掛け持ちを始めたくて、別の友達に誘われたのがキッカケでした」。売り子歴は今季で3年目となった。

最高売上は200杯超「ただ売っているだけじゃ絶対に売れません」

 名札に記された名前は「エリカ様」。「チェッカーさん(指導係)に名札を作ってとお願いしたら、名前がエリカというだけで…」。ただ、これが予想外の効果を発揮した。「お客様に凄く覚えてもらえるんです。お客様からも呼んでもらえますし、そのままがいいと言ってもらえるので、恥ずかしいですけど、「エリカ様」のままにしています」。顔見知りとなったファンからは、スタンドで「エリカ様!」と呼ばれることもあるという。

 10キロを超えるタンクを背負ったまま、スタジアム中を動き回る売り子の仕事は見た目以上にハードだ。「最初はめちゃくちゃキツかったです。体力には自信がある方なんですが、あの重さを担いで、階段の登り降りをすることなんてないので、初めて入った次の日は全身筋肉痛でした」。だが、見た目や体力があるだけでは、決して売上が上がるものではないのだと、最高売上200杯超を誇るエリカさんは言う。

「ただ体力があるだけ、とか、ただ売っているだけでは絶対に売れません。周りを見なきゃいけなかったり、お客様が手を上げた瞬間を見逃さないようにしたりとか、ただただ売るだけじゃ売れない、頭を使う仕事なんです」。状況判断やその日の流れなどを動きながら見極め、自分の動き方を決めていく。トップクラスの売り子は、常に頭もフル回転させている。

 毎日、その日の売上杯数が掲示され、順位も出される。イヤでも周囲との競争意識は生まれる。「競争もあります。(年数が)上だから売れるというわけではないですけど、自分より後輩が売れるのは悔しいですし、負けたくないというのは常に思います。負けず嫌いの性格なので、誰にも負けないように頑張ろうと思いますよね」。

 そんな厳しい世界でありながら、続けられるのには、厳しさ以上にやりがいを感じるからだという。「お客さんとお話ししたときに『頑張って』とか『また来てね』と言ってもらえると頑張ろうと思えますし、そういうところがやりがいかなと思いますね。キツイですけど、その分終わった後の達成感もありますし、やっていて良かったと思います。他のバイトでは出来ないことだと思います」こう語って笑顔を浮かべたエリカさんは、三塁側内野席で今日もファンに笑顔で接している。(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)

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