トレード移籍から丸1年 ホークス西田が語る新天地での日々と川島慶三の存在感

トレード移籍から丸1年 ホークス西田が語る新天地での日々と川島慶三の存在感

ソフトバンク・西田哲朗【写真:藤浦一都】

「新たな選手が入ってきて立ち位置がなくなる。そんなチーム」

 パ・リーグ2位から“下克上”で2年連続日本一に輝いたソフトバンク。怪我人や外国人、ベテラン選手たちを除く選手たちは、激戦の疲れも癒えぬまま、宮崎秋季キャンプを行っている。そのキャンプも17日で打ち上げ。若手の多いキャンプの中で、ホークス移籍からちょうど1年を迎え、宮崎の地で精力的に練習に取り組んでいる男がいる。

 西田哲朗、その人である。

 昨年の11月15日、山下斐紹とのトレードで楽天から加入した西田はキャンプ地で移籍会見を行った。あれから丸1年。自身2度目の秋季キャンプでは20分近くもサインや記念撮影に応じるほど、ファンに認められる存在となった。西田はソフトバンクの一員として過ごした1年を振り返りこう語った。

「成長させてもらった1年でした。今まで楽天で8年やってきて楽天しか知らない状態でしたが、また新しいチームに来ていろんな選手を見て、ましてや、ホークスという常に勝つことを強いられるチームでやることによって、新しい発見が非常に多かったですね。『もっとやらなければいけない』と感じることも多かったし、どうやったら勝ちにつながるプレーができるのか、どうすれば常勝軍団の1つの駒になれるのかと考え続けた1年だったと思います」

 移籍して1年目のシーズンは、72試合に出場し、打率.211、4本塁打、16打点という成績を残した。今宮健太が不在となった7月に古巣の楽天戦で移籍後初本塁打を放つと、3試合連続本塁打を記録してパンチ力を見せつけた。さらに西武とのクライマックスシリーズファイナルステージでは、5試合中4試合にスタメン出場。12打数7安打2四球と見事なつなぎ役を果たして「ラッキーボーイ」として日本シリーズ進出に大きく貢献した。

 「去年、秋のキャンプで来た時は何もわからず、春のキャンプでも自信がなかったんですが、少しでもうまくなりたいとガムシャラにやった結果、日本シリーズでもスタメンで出ることができましたし、チームも日本一になれました。本当にいい経験をさせてもらったなと感じています。CSでラッキーボーイと言われたのも、シーズン終盤に自分なりの手応えを感じていたのが出たんだと思います。凡打でも納得できる打ち方ができていたので、自信はありました」

 充実した1年を過ごしたとはいえ「もっともっと意識を高く持っていかないと、また新たな選手が入ってきて立ち位置がなくなってしまう。そんなチームですからね」と、西田の胸の内から危機感が消えることはない。

特別な存在だった川島慶三「いつかは慶三さんのような存在に」

「守備の面で記録上のエラーがゼロで終われたことは自信になっていますが、目に見えないミスもしているし、もっともっと攻めていってアウトを取るプレーをやっていかないといけないと思っています。この秋のキャンプでも(年齢やキャリアが)上の方ですけど、若手に混じってもう一度イチからやっていかないと、成長していかないといけない立場なんで」

 その言葉どおり、この秋季キャンプでは若手とともに泥だらけになりながらも人一倍声を出してチームを引っ張っている。そこには、西田が感謝するとともに手本とするある選手の存在があるからだ。

「成長させてもらったことについて、一番感謝しているのはやはり球団です。使ってくれた監督、コーチ、そして受け入れてくれた選手たち。すべての人に感謝しているから、一言でいえば『球団』としか表現のしようがないんです。ただ、その中でも特別な存在だったのが川島慶三さんです」

 川島も西田と同じく他球団からの移籍組。移籍直後の西田の気持ちを誰よりも理解し「最初の頃はよく食事にも誘っていただきましたし、慶三さん自身も『移籍してきて人間的に変わった』という話をしてくださいました」と西田。さらに「選手としてプレーしやすい声掛けをしてくださるんです。『楽しんで行け』とか『ポストシーズンだから失うものは何もないぞ』とか『お祭りのような感覚で行こうぜ』とか、常にチームを鼓舞してくれる。選手としてすごく尊敬していますし、僕もいつか
は慶三さんのような存在になりたいと思っています」と語る。

 ソフトバンク移籍2年目の来季は、プロ10年目という節目でもある。川島のようにチームに絶対不可欠な存在となるべく、西田はさらなる成長を目指していく。(藤浦一都 / Kazuto Fujiura)

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