【MLB】菊池雄星、直球で挑んだ理由「力めるフォームできた」

【MLB】菊池雄星、直球で挑んだ理由「力めるフォームできた」

本拠地初勝利をマークしたマリナーズ・菊池雄星【写真:AP】

6回3失点の力投で本拠地初勝利となる3勝目を挙げた

■マリナーズ 7-4 ツインズ(日本時間20日・シアトル)

 マリナーズの菊池雄星投手が本拠地シアトルのT-モバイル・パークで行われた19日(日本時間20日)のツインズ戦で、強力打線を相手に6回を5安打3失点と奮投。5度目となった地元での登板で初白星を手にし、今季3勝目(1敗)を挙げ今後に弾みを付けた。

 前日までの3戦で11本塁打を含む計45安打を叩き出したツインズ打線は速球に滅法強く、ここまで放った87本塁打のうち約44%の38本がそれを捉えたもの。登板前の3試合を一塁側の自軍ベンチから見つめ、快音を連発する脅威打線の破壊力を目の当たりにした菊池は、コーチ陣から出された翌日の指示に期するものを感じ取った。

「ストレートを投げないような指示が出るのかなと思ったら、逆にインコースに投げてくれっていう指示があったんで。それは意気に感じて。相手が狙っている中でいかに抑えれるかは今日のテーマでした」

 その意思がはっきりと見えたのは序盤の3回2死満塁の場面。今カード3本塁打を放っている3番のCJ・クロンを右打席に迎えると、初球にこの日最速の95マイル(約153キロ)直球を投げ込む。さらにそれを上回る96マイル(約154キロ)で臆することなく懐を突き、いずれも振り遅れのファールで追い込むと、最後は内角低めにショートバウンドするスライダーを曲げて3球で空振り三振を奪った。左手に拳を作り感情を表出してマウンドを降りた。

 ピンチで迎えた強打者を相手に菊池は力んだ。いや、正確には“正しく力んだ”。これを明解にするには春のキャンプに遡る。2月19日、打撃練習に初めて登板した菊池は指の掛かり具合が十分でない直球と力の入れ方についてこんな分析をしている。

「力むのは別に悪いことではないと思います。が、そのタイミングですよね。いい体の使い方をした中で力を入れるというのができてくればいいボールも行くのかなと思います」

根拠のある力みで力勝負、メジャーで生き残るため「その力を上回りたい」

 本拠地初勝利を決めた試合後の囲みが解けると、菊池は“力み”について淀みなく続けた。

「やっぱりあんな相手とやるのは嫌ですよ。でも囲みでも言ったように、ストレートで押せたっていうことはこれから僕がメジャーリーグで生き残るためにもすごく大事な日だった。あの場面、力みました。でも、“力めるフォーム”ができていたから力めた。ちょっと力むのが一瞬でも早くいと、ボールってそのままの軌道で行ってしまうので。今は(体の)軸がしっかりできているというかな」

 日本と違い固いマウンドで腕が遅れて出てしまい意図せずして高めにボールが行くことも多かったのが4月序盤だった。その頃は捕手方向に90度で向かって行く理想的な順回転を生む回転軸に微妙なズレが生じていた。しかし、菊池は動作の解析データとしっかりと向き合い咀嚼して、正しい体の回転を確認するにはうってつけの古典的な「遠投」でボールの軌道を確認するなど、左腕が横振りにならない工夫をいろいろな形で取り組んできた。

 球速だけにとらわれず、理想の軌道と回転数に支えられた直球に球速を追い求めて来た菊池。登板前日には今季からデータ分析と投球向上の指導役を担うブライアン・デル―ナスコーチから右肩の上げ方で意見交換する姿があった。

 テークバックを取った際に「右肘を高く上げることで肩のラインをマウンドの傾きと逆にし、左の軸足に体重がしっかり乗ることがスピードを生む」と、以前、同コーチが説いていたのを思い出す。

 今季11試合目の登板はこの先に向けた試金石になった。

「メジャーは力と力の勝負ができる相手がすごく多い。その中で、その力を上回りたい。そういう気持ちを持たないと、この世界では生き残っていけないと感じる」

 蒼天のシアトルで左腕は根拠のある自信をつかみ取った。(木崎英夫 / Hideo Kizaki)

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