【MLB】菊池雄星、起伏に富んだ1年目の前半戦「打たれてよかったと言えるように…」

【MLB】菊池雄星、起伏に富んだ1年目の前半戦「打たれてよかったと言えるように…」

マリナーズ・菊池雄星【写真:Getty Images】

3登板連続で4回途中ノックアウト「成長をする機会だと捉えるようにした」

 マリナーズの菊池雄星投手が7日(日本時間8日)、今季から挑んだ米大リーグの前半戦を総括した。菊池は5日(同6日)のアアスレチックス戦で7回3失点の好投も報われず今季6敗目を喫し、4勝6敗、防御率4.94の成績で折り返す。

 ここまでの19戦を振り返る率直な思いは「あっという間でした」から始まった。直後に継いだ言葉は「やはりレベルの高さは日々感じますし、それに対応していく楽しさ、厳しさも感じながら、前半戦を怪我なく終えられたのが一番かなと思います」。

 初白星を手にした4月20日まで6試合を要し、3勝目を挙げた5月19日の登板以降6月8日までの3登板はいずれも4回途中でノックアウトされた。日本時代にない屈辱を味わった直後、危機感は一気に募り胸の内では「あ、ヤバイ」と焦慮した。菊池はその打開の緒を「成長をする機会だと捉えるようにした」と、考え方の転換に求めた。

「10試合を超えた辺りから、しばらく勝てなくて打たれるという時期もありましたけど、そういう中でいろいろと変えていかなきゃいけないことと、勉強することと沢山ありました」

 この間、本塁方向へ微妙にずれた体重移動の修正に取り組み、二段モーションをやめ右足の使い方を西武時代の動きに戻してブルペン投球を行うなど、自身の引き出しとコーチ陣の力添えを得てトンネル脱出に前進し続けた。

 6月23日のオリオールズ戦で約1か月ぶりの勝利を手にした菊池は、5月8日のヤンキース戦に次ぐチェンジアップを多投。8球を織り込み活路を見いだした。そして、7月5日の登板で今季最多の15球を駆使して、前回5月25日の対戦で10安打5失点と打ち込まれたアスレチックス打線を苦しめた。相手のメルビン監督は「まったく違った配球で挑んできた」と驚きを露にした。

第4の球種に強い決意「あ、チェンジアップがなければいけない」

 春のキャンプから習得に励みながらも今一つ自信が持てないでいた第4の球種、チェンジアップには、直球とスライダーを軸にしていた日本時代とは勝手が違うハイレベルのメジャーで生き残っていくための強い決意が反映されていた。

「こっちに来るまでは本気でチェンジアップを投げようとあんまり思うことがなかった。必要だと迫られる部分ってあんまりなかったんですけど、こっちに来て改めて、『あ、チェンジアップがなければいけない』という気持ちになりました」

 コーチ陣から促されていた「落ちる球」は、力で押せない日に粘投へと導く鍵になることをマウンドで実感した。

「真っ直ぐ、スライダー、カーブでいいやって思った自分もいましたけど、やっぱりシーズン戦う中で、それだけで勝負ができないときもある。いいときはいい、ダメなときはダメっていうピッチングにしかならないので。そこはやっぱりこっちに来てしかわからなかったとこですね」

 夢の大リーグ初舞台は、3月21日の東京ドームだった。少年時代からの憧れの存在だったイチロー氏(現マリナーズ会長付特別補佐兼インストラクター)と共に戦い、同氏の引退を見守る刺激的なデビュー戦を経験。それから10日後には、闘病中だった父・雄治氏を亡くした。起伏に富んだ大リーグ1年目の折り返しへの道のり。菊池はその歩みから得たものを2つ挙げた。

「心・技・体、中4日でいかにいい状態を保つか、自分の力を出せる状態に持っていくことがいかに大事かというところと、それの難しさを感じました。自分のものを出せれば、結果は付いてくる自信もあるので。その精度を高めていけば、絶対に、勝つ確率は増えるだろうと思いますね」

 言葉はもとより、異文化と時差のある移動を強いられた環境下で、中6日の日本時代と異なる中4日でローテーションを守り通した菊池は、12日(同13日)からの後半戦へ向けて、気組みを崩さない。

「この先もいろんなことが起きると思いますけど、やっぱり、あの打たれた時期があってよかったなと、シーズンが終わったときに言えるような、そういう数字を最後残してシーズンを終えたいなと思っています」

 終始肩の力を抜いて冷静に話を続けた左腕に、後半戦への自信がのぞいた。(木崎英夫 / Hideo Kizaki)

関連記事(外部サイト)