田中将大、消えた「右肘不安」の声 信頼度上昇「米国の調整法に慣れてきた」

田中将大、消えた「右肘不安」の声 信頼度上昇「米国の調整法に慣れてきた」

ヤンキース・田中将大【写真:Getty Images】

驚異の貢献度、右肘不安払拭で高まるエースとしての期待感

 8月1日のトレード期限前に主力を続々と放出し、チーム再建に乗り出したことが注目されたニューヨーク・ヤンキース。それから1ヵ月。プレーオフ争いに絡む戦いを誰が想像できただろうか。予想を超えるスピードで好転するにつれて、ゲーリー・サンチェス捕手をはじめとする新人の台頭による戦力アップとともに、田中将大投手の活躍がクローズアップされるようになった。

 10日(日本時間11日)のレイズ戦では8回途中1失点、10三振を奪う力投で、チームを7連勝に導く今季13勝目(4敗)を挙げた。8月2日に黒星を喫して以後、6勝0敗、防御率1.94という抜群の安定感。この間、田中が投げた試合でチームは7勝0敗。チーム快進撃の立役者となっている。

 今季のヤンキースは先発陣に故障者や不振が相次ぎ、2桁勝利と防御率3点台は田中だけ。シーズン200投球回に届く可能性があるのも、田中以外に見当たらない苦しい台所事情となっている。孤軍奮闘を続ける右腕に対し、ジラルディ監督は「後半戦はとても良い投球をしている。投手陣を牽引してくれている。彼が投げる試合は安心できる」と絶賛するのも、社交辞令ではないだろう。

 開幕当初は好投しながらも勝敗がつかない試合が続き、勝ち星は伸びていないが、田中が投げた試合でチームは22勝7敗という好成績を残しており、ア・リーグのMVP候補に挙がるのも頷ける活躍だ。前半戦は中4日の登板間隔で良い結果が出ず、健康面を不安視する声も挙がっていた。だが、マイケル・ピネダ投手とともにローテーションを守っている右腕に対し、地元メディアから右肘に関する健康面を不安視する声は聞かれなくなった。むしろ、最近では昨年オフに右肘の骨棘除去手術をしたことで不安がなくなり、力強さが増したとの論調に変わりつつある。

二人三脚で歩んできた投手コーチは「3年目で米国の調整法に慣れてきた」

 中4日で登板した10日(日本時間11日)のレイズ戦では、93マイル(約150キロ)を計測した速球は球威十分。スプリットも90マイル(約145キロ)が出るなど春先に比べると力強さが増した印象がある。

 夏場以降は通常の登板間隔でも好結果が出ている。登板間の調整については、ブルペン入りの回数を増減させるなど、ロスチャイルド投手コーチと二人三脚で試行錯誤してきた。同コーチは「3年目で米国の調整法に慣れてきた部分もあるだろう」と見ている。

 目標に掲げた200投球回も視野に入り、エースとしての信頼感も増してきた。サイ・ヤング賞に関してはインディアンスで15勝を挙げているコーリー・クルーバー投手を軸に混戦模様。勝ち星でやや見劣りする田中だが、チームがプレーオフに進めば貢献度で本命候補に躍り出る可能性もなくはないだろう。

 チームが負けた直後の試合で6勝1敗、防御率1.70と好投し、田中が投げた試合でチームは9勝2敗。勝利への圧倒的な貢献度も見逃せない要素だ。勝利への貢献度を数値化したWARでも、クルーバー(6.3)、ホワイトソックスのクリス・セール(5.3)に続き、ア・リーグ投手で3位。米スポーツ局ESPNのダニー・ノブラー記者が「頼れるエースというべき存在に田中がなった」と評したように、地元メディアや周囲の信頼は増している。

 予定通りにいけば、登板はあと4試合。好調を維持してプレーオフに導くことができれば、10月の短期決戦は世代交代を進める新チームのエースとして脚光を浴びる舞台となるはずだ。

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