日米の野球場で女性イベントに大きな差はなし では、現場の女性進出は?

日米で女性にリーチするための取り組み

 パ・リーグ各球団は女性ファンを増やそうと試行錯誤を続け、さまざまな企画やSNSでの取り組みを行っている。

 各球団が企画する女性ファンをターゲットにしたイベントを見てみると、オリックスでは女性来場者全員にピンクのチェック柄ユニホームが配布される「オリ姫デー」、埼玉西武では女性を対象にリアルな野球体験が楽しめる「やきゅウーマンナイト」、北海道日本ハムは「Fighters for Girls Days」などそれぞれの年代に特化したイベントを開催している。

 福岡ソフトバンクは女性入場者にユニホームを無料で配布する「タカガールデー」、千葉ロッテは試合直前のグラウンドで女性ファン対象のヨガ体験イベントを開いた。東北楽天では「EAGLES GIRLS DAY」を開催し、女性ファンには先着でユニホームやポーチをプレゼント。また、カップケーキブームの火付け役となったニューヨーク発祥の「マグノリアベーカリー」と日本球界初となるコラボを実現させ、女性限定グルメを販売した。

 各球団の努力に見られるように女性ファンを増やすため、近年はさまざまな仕掛けが企画されている。一方でメジャーリーグではどのような仕掛けで女性ファンを巻き込んでいるのだろうか。全てに触れるのは難しいが、世界的な経済誌である「フォーブス」ネット版でも昨年特集された女性をターゲットにした取り組みをいくつかピックアップしたいと思う。

 フォーブス誌で掲載された記事内では、各プロリーグのファン層の35%は女性であるという2014年ニールセンの統計結果が紹介された。実際にSNS上での女性の声はどんどん大きくなってきている。

 女性ファンへリーチする取り組みとして、SNS上で女性の声が多いエンゼルスでは、選手だけでなくその家族も巻き込んだイベントの情報発信などを行っている。

 さらにエンゼルスでは、すでに千葉ロッテが開催した女性ファン対象のヨガ体験イベントを本拠地で10月2日に開催する予定。この日は午後12時5分から試合開始予定で、その前の午前9時からエンゼル・スタジアムのグラウンドで50分間のヨガ体験イベントが実施される。試合のチケット、エコバッグ、ヨガマットなどをパッケージ化して販売。今ではこのような女性をターゲットにしたヨガ体験イベントが日米で多く開催されている。

米国では女性審判や女性解説者も誕生

 SNS上で一番女性ファンが多いと分析データが出ているレンジャースは、女性をターゲットにしたイベントをいくつか企画している。そのうちの1つが「フィールド・オブ・ファッション」。主に母の日をターゲットに行われるイベントだ。参加者はファッションショーやワインテイスティングを楽しみ、選手を支える奥さんたちへの質疑応答の時間が設けられる。その他にも、男性ファンも含めたイベントとして、野球知識を楽しく学ぶ機会となる「ベースボール101」の授業やスコアの付け方を学ぶ「スコアキーピング」なども開催している。

 印象としては、女性を巻き込んだ日米の企画にそれほど大きな差は見られなくなったのではないだろうか。だが、野球の現場での女性進出に関しては、まだまだ米国に遅れている印象はある。

 メジャーリーグの舞台にはまだ到達していないが、マイナーリーグでは今夏、2007年以来となる7人目の女性審判が誕生した。2012年にはドジャースが四大スポーツでは初となる女性ヘッドトレーナーを雇用。さらに昨年、アスレチックスが教育リーグ期間中だけではあったが、女性コーチを雇用した初のメジャーリーグ球団となった。フロント側での女性の活躍は目覚ましいが、少しずつ現場レベルでもその存在は増えつつある。

 そして、メディア側でも変化はある。ESPNでは、今季から日曜夜に中継される全米放送の「サンデーナイト・ベースボール」のアナリスト解説を元女子ソフトボール選手のジェシカ・メンドーサが務めている。日本のスポーツ中継では、放送席から試合を語る役割を持つ女性の存在はほぼいないのでないだろうか。

 日本各地、さまざまな分野で女性の活躍が目覚ましいが、それでもスポーツの現場ではまだまだ少ないのが現状である。女性ファンを対象にしたイベントや企画は各地で開催されているが、今後は球団やリーグ、そしてスポーツ界全体で、本当の意味でも女性に平等な環境を作り出していくことが新たな一歩となるのではないだろうか。

(記事提供:パ・リーグ インサイト)

新川諒●文

関連記事(外部サイト)