【高校野球】2打席連発の鶴岡東・丸山は2試合でOPS2.63と圧巻 …データで楽しむ甲子園【9日目】

【高校野球】2打席連発の鶴岡東・丸山は2試合でOPS2.63と圧巻 …データで楽しむ甲子園【9日目】

大会9日目の結果一覧

仙台育英・大栄は外角に71.4%を集める丁寧なコントロールでゴロの山を築く

 2回戦が終わり、3回戦進出チームが出揃う夏の全国高等学校野球選手権大会第9日目。熱戦の3試合をセイバーメトリクスの指標で振り返ってみます。

 指標の説明は以下の通りとなっています。

OPS 出塁率+長打率 1を超えると優れている
wOBA 各プレーの得点価値を累積して算出した打撃指標
O−swing% ボールゾーンに来た球をスイングした割合
Z−swing% ストライクゾーンに来た球をスイングした割合
Swing% スイングした割合
O−contact% ボールゾーンに来た球をスイングした際にバットにボールが当たった割合
Z−contact% ストライクゾーンに来た球をスイングした際にバットにボールが当たった割合
Contact% スイングした際にバットにボールが当たった割合
Zone% ストライクゾーンを球が通過した割合
SwStr% 空振り率

WHIP 1イニングあたりに許したランナーの数
P/IP 1イニングあたりに投球した球の数
GB/FB フライに対するゴロの割合

仙台育英 8-5 鳴門

攻撃指標
【仙台育英】
打率.361 OPS.925 wOBA.463
O−swing% 31.2% Z−swing% 76.4% Swing% 53.0%
O−contact% 54.2% Z−contact% 94.5% Contact% 82.3%
Zone% 48.3% SwStr% 9.4%

【鳴門】
打率.286 OPS.667 wOBA.329
O−swing% 18.2% Z−swing% 69.9% Swing% 47.0%
O−contact% 41.7% Z−contact% 86.2% Contact% 78.6%
Zone% 55.7% SwStr% 10.1%

○仙台育英 投手の各指標

鈴木千寿
3回0/3 打者数14 投球数45
WHIP 1.33 P/IP 15.00 GB/FB 1.00
ストレート35.6% スライダー8.9% ツーシーム42.2% カーブ8.9%
Zone% 64.4% 空振り率 11.1%

大栄陽斗
3回 打者数14 投球数56
WHIP 1..7 P/IP 18.67 GB/FB 2.33
ストレート53.6% スライダー33.9% フォーク10.7%
Zone% 51.8% 空振り率 10.7%

笹倉世凪
3回 打者数12 投球数48
WHIP 1.33 P/IP 15.00 GB/FB 1.00
ストレート77.1% スライダー16.7% チェンジアップ6.3%
Zone% 52.3% 空振り率 8.3%

○鳴門 投手の各指標

西野知輝
8回 打者数40 投球数126
WHIP 2.00 P/IP 15.75 GB/FB 1.13
ストレート51.7% スライダー34.2% フォーク11.4%
Zone% 48.3% 空振り率 9.4%

竹内勇輝
1回 打者数4 投球数24
WHIP 1.00 P/IP 24.00 GB/FB 0.50
ストレート83.3% スライダー12.5%
Zone% 54.2% 空振り率 4.2%

 仙台育英はいきなり前戦を彷彿とさせる集中攻撃で初回に4点先制。4回表にも2点を追加し6点差をつけて試合の主導権を掌握します。しかし鳴門も前試合OPS.904の強打のチームとあって4回裏、エラー出塁を足がかりに5本のヒットを集中させ5点返し1点差にまで詰め寄ります。狙われたのはコントロールが甘くなったフォークボールでした。

 ただ5回以降は仙台育英の2番手、大栄投手が外角に71.4%を集める丁寧なコントロールで調子をつかみ出し、GB/FB 2.33とゴロで鳴門の反撃の芽を摘んでいきます。

 ここまで夏の大会を地方予選からすべて一人で投げ抜いてきた鳴門・西野投手でしたが、この試合では外角に61.6%の球を集めるなど集中した投球で8イニング投げきりました。最後の1イニングを任された竹内投手は140km/h台のストレートで仙台育英打線を無失点で抑え甲子園での初マウンドを無事に務めました。鳴門の守備陣は5つのエラーとなりましたが、それだけ仙台育英の打者から放たれる打球が強烈だったことの現れでしょう。

習志野・飯塚のチェンジアップは空振り奪取率46.3%、4者連続を含む7奪三振

鶴岡東 9-5 習志野

攻撃指標
【鶴岡東】
打率.316 OPS.916 wOBA.398
O−swing% 27.6% Z−swing% 60.0% Swing% 44.2%
O−contact% 42.9% Z−contact% 83.3% Contact% 71.0%
Zone% 51.3% SwStr% 12.8%

【習志野】
打率.273 OPS.706 wOBA.315
O−swing% 9.6% Z−swing% 68.3% Swing% 41.1%
O−contact% 80.0% Z−contact% 97.6% Contact% 95.7%
Zone% 53.6% SwStr% 1.8%

○鶴岡東 投手の各指標

影山雄貴
7回1/3 打者数32 投球数92
WHIP 1.50 P/IP 12.55 GB/FB 1.70
ストレート66.3% スライダー27.2% チェンジアップ6.5%
Zone% 52.5% 空振り率 2.2%

池田康平
1回2/3 打者数7 投球数22
WHIP 1.20 P/IP 13.20 GB/FB 1.00
ストレート68.2% スライダー13.6% チェンジアップ13.6%
Zone% 59.1% 空振り率 0.0%

○習志野 投手の各指標

山内翔太
1回2/3 打者数11 投球数45
WHIP 3.60 P/IP 27.00 GB/FB 1.14
ストレート51.9% スライダー28.8% チェンジアップ12.8%
Zone% 51.3% 空振り率 12.8%

飯塚脩人
7回1/3 打者数31 投球数111
WHIP 1.23 P/IP 15.14 GB/FB 1.00
ストレート55.0% スライダー23.4% チェンジアップ14.4%
Zone% 49.5% 空振り率 15.3%

 鶴岡東が初戦の9安打、OPS.847を上回る12安打、OPS.918の猛打で9得点し、学校初の甲子園2勝目を勝ち取りました。特に2回表は習志野先発・山内投手の変化球に照準を絞り、1四球6安打で5得点し先制に成功します。

“逆転の習志野”として反撃に乗り出す習志野は、O−swing% 9.6%とボール球に手を出さずしっかり見極めていきました。そしてこの試合での空振りはたったの1つ。空振り率1.8%と堅実に当てていくバッティングで徐々に得点を重ね、7回裏には2点差にまで詰め寄りました。

 習志野の2番手、エースナンバーの飯塚投手は、140km/h台のストレートで4者連続三振を含む7奪三振で調子を上げていきます。65%を外角に集める的確なコントロールと、空振り奪取率46.3%のチェンジアップをはじめとするキレのある変化球で3回以降7回まで鶴岡東に追加点を許さないピッチングで習志野逆転への礎を築こうとしていました。しかしその追撃に反攻したのが鶴岡東の5番・丸山選手。2打席連続で高めの球を振り抜きスタンドイン。念願の追加点を獲得しただけでなく、この試合で丸山選手は二塁打と2四球も含めて出塁率10割、OPS4.33、2試合通じてもOPS2.63の活躍で鶴岡東の勝利に貢献しました。

 なおこの試合、両チームともノーエラー。特に習志野外野手陣の守備範囲の広さが印象的でした。

ゴロの打球が目立つ試合、打力は互角も四球とエラー出塁の差が勝敗を分ける

関東一 6-5 熊本工

攻撃指標
【関東一】
打率.250 OPS.623 wOBA.346
O−swing% 17.4% Z−swing% 60.3% Swing% 39.4%
O−contact% 50.0% Z−contact% 93.2% Contact% 83.9%
Zone% 51.4% SwStr% 6.3%

【熊本工】
打率.219 OPS.515 wOBA.233
O−swing% 22.6% Z−swing% 69.2% Swing% 46.5%
O−contact% 42.9% Z−contact% 91.1% Contact% 79.7%
Zone% 51.2% SwStr% 9.4%

○関東一・土屋大和投手の各指標

9回 打者数35 投球数127
WHIP 1.00 P/IP 14.11 GB/FB 3.67
ストレート32.3% スライダー 24.4% チェンジアップ22.8% フォーク17.3%
Zone% 51.2% 空振り率 9.4%

○熊本工 投手の各指標

林彪太郎
5回 打者数27 投球数109
WHIP 2.40 P/IP 21.80 GB/FB 5.50
ストレート46.5% スライダー43.0% チェンジアップ7.7%
Zone% 51.4% 空振り率 6.3%

村上仁将
3回 打者数11 投球数33
WHIP 0.33 P/IP 11.00 GB/FB 3.50
ストレート51.5% スライダー24.2% チェンジアップ12.1% カーブ12.1%
Zone% 63.6% 空振り率 6.1%

 登板した3投手のGB/FBがすべて3以上という数値からもわかるようにゴロの打球が目立つ試合でした。熊本工のゴロ打球は22、関東一は29にもなりました。

 関東一の土屋投手は序盤から外角に集める丁寧なピッチング。その割合は66.1%とほぼ7割近く外角へ投じています。前試合ではスライダーで13%の空振りを取っていたのですがこの試合では3.2%とあまりキレはなかったようです。ただZone%71%とカウントを取りにいく球として使い、ストレートで17%の空振りをとって切り抜ける投球術でしのいでいきました。熊本工の両投手とも、ストレート主体のピッチングで、チェンジアップを武器に空振りやゴロを量産して打ち取るスタイルであることがわかります。

 打力はほぼ互角の数値ではありましたが、関東一は四球5、エラー出塁2が加わってます。OPSには四球の差、wOBAには四球とエラー出塁の差が反映されており、その差が1点差という形で現れました。鳥越規央 プロフィール
統計学者/江戸川大学客員教授
「セイバーメトリクス」(※野球等において、選手データを統計学的見地から客観的に分析し、評価や戦略を立てる際に活用する分析方法)の日本での第一人者。野球の他にも、サッカー、ゴルフなどスポーツ統計学全般の研究を行なっている。また、テレビ・ラジオ番組の監修などエンターテインメント業界でも活躍。JAPAN MENSAの会員。一般社団法人日本セイバーメトリクス協会会長。

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