【侍J壮行試合】佐々木が大舞台“予行演習”で見せた衝撃の12球 「すごく楽しみながら」

【侍J壮行試合】佐々木が大舞台“予行演習”で見せた衝撃の12球 「すごく楽しみながら」

大学日本代表との壮行試合で先発した大船渡・佐々木朗希【写真:荒川祐史】

永田監督は先発の意図を説明「これからの大会に向けても、将来的にも非常に役立つ」

 どよめきが収まらない。うなり声のようなスタンドの喧騒は、むしろ1球ごとに増していった。夜風に秋の気配を感じる26日の神宮球場が、初回に最高潮を迎える。大学日本代表を相手に、U-18高校日本代表の先発を任された大船渡・佐々木朗希投手。来るべき大舞台を見据えて課された重圧のマウンドで、わずか12球で球場全体を引き込んだ。

 マウンド、電光掲示板、マウンド、電光掲示板…。2万8000人超の観客が、まるでテニスのラリーを見ているように首を振った。表示される球速も152、155、156と更新されていく。1回裏、佐々木は先頭打者を左翼のファインプレーにも助けられて左飛に打ち取ると、そこから2者連続で空振り三振を奪った。

 記者から問われ、自賛したのは最後の12球目。「しっかりキャッチャーの構えたところに、いい高さでいいコースにいったと思います」。慶大・柳町達内野手に対してフルカウントから外角低めいっぱいに152キロの直球を投げ込んだ。

 ほんの数分で、球場全体の空気が一変したのは明らかだった。「大学生は『何とかなるんじゃないか』という気持ちがあったと思う」と敵将である生田勉監督が言ったように、格上として臨んでいた大学日本代表を大きく揺さぶったことは確かだった。直後の2回表には、大学側に守備でミスが出て先制点を献上。“佐々木ショック”が結果的に想像以上の苦戦を生んだ。

 佐々木にとっては、ひとつのテーマを持った先発起用でもあった。「こういう大観衆の中で、まず先発で放ってみることが、これからの大会に向けても、将来的にも非常に役立つ」と永田裕治監督が意図を説明。世界一をかけた厳しい戦いに向け、重圧という“負荷”をかけたデモンストレーションでもあった。それを物ともせず、絶賛の嵐を呼んだ満点快投。佐々木自身は「(これまで)大勢の観客の中で投げることがなかったんですけど、すごく楽しみながら投げることができました」と涼しげに言ってみせた。

 30日から韓国・機張(きじゃん)で開催される「第29回 WBSC U-18ベースボールワールドカップ」。これまで超高校級の選手たちが挑みながら、頂点には届かなかった。国際舞台独特の緊張感や慣れない環境の中で、チームが劣勢に立たされる瞬間は少なからずやってくる。その苦境を一瞬で打開する力の片鱗を、佐々木は12球で見せた。「世界には強いチームがたくさんいるので、簡単には勝たせてもらえない」と覚悟はできている。きっと、マウンドを託されるのはここぞという場面。剛球で世界に衝撃を与えた分だけ、悲願は近づく。(小西亮 / Ryo Konishi)

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