【U-18W杯】ヒヤヒヤ発進の侍J 名将・渡辺元智氏が語る国際大会の「読めない」難しさ

【U-18W杯】ヒヤヒヤ発進の侍J 名将・渡辺元智氏が語る国際大会の「読めない」難しさ

初戦を4-2で勝利した侍ジャパンU-18代表【写真:荒川祐史】

初の世界一を目指す高校代表は初戦、スペイン代表に逆転勝ち

 30日に韓国・機帳(きじゃん)で開幕した「第29回 WBSC U-18ベースボールワールドカップ」(全試合テレビ朝日系列・BS朝日・AbemaTVで放送)。この大会で悲願の世界一を狙うのが、野球日本代表「侍ジャパン」高校代表だ。過去の大会では準優勝が最高成績。初めての世界の頂点に向けて、韓国の地で決戦に挑む。

 2004年に、このワールドカップの前身となる「AAA世界野球選手権大会」の高校日本代表を監督として率いたのが、元横浜高校監督の渡辺元智氏だ。春夏通算27回の甲子園出場を誇り、春3回、夏2回の全国制覇を成し遂げた名将。今大会の試合を中継するテレビ朝日の解説も務める渡辺氏がFull-Countのインタビューに応じた。

 大会初戦、高校日本代表は世界ランキング26位、オープニングラウンドのグループBで最下位のスペインに大苦戦を強いられた。8回までリードを許して追う展開に。不穏な空気が漂う中で土壇場の8回2死から韮澤、石川、遠藤の3連打で逆転し、辛くも勝利を掴んだ。格下相手に、あわや不覚を取りかねないヒヤヒヤの試合となった。

 慣れない国際舞台の難しさを、まざまざと見せつけられることとなった初戦。渡辺氏は戦前、国際大会で戦う上での難しさを語っていた。

 2004年、渡辺氏が監督を務めた「第21回AAA世界野球選手権」。ダルビッシュ有投手(カブス)や涌井秀章投手(ロッテ)らを擁して決勝進出を果たしたものの、決勝で敗れて準優勝に終わった。「やはり金メダルを取ってもらいたい。長い間の高校野球界の夢ですから」と今大会の高校代表への期待を口にした渡辺氏は国際大会の難しさをこう語っている。

世界一を狙う上で大事なポイントは「どうコンディションを整えていくか」

「やはり世界にも素晴らしい選手がいます。なかなか情報も得にくい。結局は読めないんです。アメリカはチーム力があると言っても、その中にどんな選手がいるか。おおよそは主力は分かるにしても、そこに伏兵が現れたり、思いがけない選手がたくさんいるんです。そういう選手に一発食らったりして負けたとか、そういうことがある」。どこのチームにも言えることではあるが、ほとんど情報がない中で戦う難しさが1番にあるという。この日スペイン代表で先発し、7回まで無失点に封じ込められたルナ投手などは、まさにこの「思いがけない選手」だったと言えるだろう。

 国際大会ではルールに関しても、日本とは違うことも多々ある。「こんなことがボークなのかとか、これはボークじゃないのかとか、色々あると思います。そういう中で戦っていくわけです」と渡辺氏。日本と異なる環境、そして、こういった“読めない相手”とどう戦っていくべきか。渡辺氏は「日本の野球をしっかりと、大事な大会で発揮できるか。あまりに相手を研究するがために自分たちの野球ができなくなるのは良くない。変わらないのが自分たちの基本的な野球ですから。その中で相手の弱点もゲームをしながら瞬時に把握し、対応していく野球をしないといけない」と語る。

 もう1つのポイントとして渡辺氏は「それと同時にコンディション調整が大事。いかに上手く持っていくか、でしょうね」とコンディション調整の大事さを挙げる。甲子園が終わってから、まだ約1週間ほど。準決勝や決勝、大会終盤まで勝ち上がっていた選手には、間違いなく疲労が残っているという。

 現に、準優勝した星稜の奥川はまだ疲労が残り、調整ペースは上がっていない。昨年のU-18アジア選手権では吉田輝(日本ハム)の疲労の色が明らかでコンディションが上がっていかなかった。渡辺氏も2004年大会を振り返り「ダルビッシュが甲子園の疲れから投げられなかった」という。さらに「それと同時にコンディションの維持、バイオリズムを作るのも難しい。どう選手のコンディションを整えていくかも大きな要素だと思います」と挙げた。

「スーパーラウンドまで日本のエース2人、佐々木と奥川をどうぶつけられるか。ただ、そこまでにもしたたかな相手はたくさんいるんです。そこを総合力で戦っていってもらいたい」と語った渡辺氏。苦しみながら、初戦で白星を掴んだ侍ジャパン高校代表。悲願の世界一に向けて、どのような戦いを見せるか注目だ。(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)

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