【U-18W杯】選手構成には「不安」も… 名将・渡辺元智氏が感じた意図「変わらないものは何か」

【U-18W杯】選手構成には「不安」も… 名将・渡辺元智氏が感じた意図「変わらないものは何か」

初戦を4-2で勝利した侍ジャパンU-18代表【写真:荒川祐史】

本職の遊撃手が6人、二塁手は0人、外野手は2人の高校代表

 30日に韓国・機帳(きじゃん)で開幕した「第29回 WBSC U-18ベースボールワールドカップ」(全試合テレビ朝日系列・BS朝日・AbemaTVで放送)。この大会で悲願の世界一を狙うのが、野球日本代表「侍ジャパン」高校代表だ。過去の大会では準優勝が最高成績。初めての世界の頂点に向けて、韓国の地で決戦に挑む。

 2004年、このワールドカップの前身となる「AAA世界野球選手権大会」の高校日本代表を監督として率いたのが、元横浜高校監督の渡辺元智氏だ。今大会、試合を中継するテレビ朝日の解説も務める渡辺氏は、Full-Countのインタビューに応じ、今大会の展望や国際大会を戦う難しさなどを語った。

「やはり金メダルを取ってもらいたいですね。長い間の高校野球界の夢ですから」と、まず期待を口にした渡辺氏。大学日本代表との壮行試合もチェックした上で「この前の大学生との戦いを見ても、十分に戦える。当初考えていた佐々木投手、奥川投手、この2人がちょっとしたアクシデントで遅れていますから、この2人の選手にメドが立てば、十分に戦えると思います。その間のオープニングラウンドをどういう風な選手のやりくりで戦っていくか。永田監督の采配の妙も大事じゃないかなと思います」と展望した。

 20人の代表メンバーは投手9人、野手11人という顔ぶれになった。遊撃手を本職とする選手が6人いる一方で、本職を二塁手とする選手は0人。外野手は2人というメンバー構成になっている。渡辺氏は「内野が外野にいったり、ピッチャーが外野に行くというのは、守りの点ではこれはちょっと不安があります本人たちはトライはしていると思いますけども、難しいプレーになると、専門にやっていないと不安はあります。あとは投手が外野をやって怪我しないか。非常にハードなスケジュールですから、その点も心配です」という。

 その一方で、このメンバー構成から見える“狙い“も感じるという。「足が速い選手を揃えていますから、そういう面では監督の思惑通りに動いてくれるのではないか」とした渡辺氏。金属バットから木製のバットに変わり、打者が苦戦するのは、これまでの国際大会でも度々、課題として言われてきた。渡辺氏は「ずっとやってきたことを急に木のバットだから変えろと言っても難しい」と語り、一朝一夕で木製バットに適応するのは困難であるという。

 だからこその「機動力」だ。「変わらないものは何か、ということですね。やはり自分に身につけている個性です。その個性をどうチームに生かすか。同時にロースコアゲームになると、そう簡単に連打はなかなか出ないと思います。そこで足を絡めていく。壮行試合の大学代表との試合でやって引き分けたのは、凄く大きな収穫があったと思います。こういう野球をやってくれれば、明るい見通しが付いてくると思います」。日本のお家芸である“スモールベースボール”。甲子園などでは多くの本塁打が飛び出して長打力のある打者が注目を浴びるが、国際大会でそれをそのまま発揮することは難しい。足を絡め、少ない安打で点を取る野球が必要だとした。

 初戦でスペイン代表に苦戦を強いられた高校代表。世界ランキング26位のスペインはオープニングラウンド・グループBで最下位のチームだ。2戦目からはより手強い相手が待ち構えている。なれない木製バット、そして動くボール。打線爆発が難しい舞台で“機動力”を武器に、世界の頂点を目指すべきだと名伯楽は語っていた。(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)

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