【U-18W杯】3連勝の日本、米国戦で「一番良かった投手」は? 専門家は世界一へ課題も指摘

【U-18W杯】3連勝の日本、米国戦で「一番良かった投手」は? 専門家は世界一へ課題も指摘

米国戦で5奪三振と好投した侍U-18代表の創志学園・西純矢【写真:荒川祐史】

野球解説者の野口寿浩氏が指摘、西は「韓国相手にもいい投球をするのではないか」

■日本 16-7 アメリカ(1日・機張)

 韓国・機張(きじゃん)で開催中の「第29回 WBSC U-18ベースボールワールドカップ」(全試合テレビ朝日系列・BS朝日・AbemaTVで放送)で、侍ジャパン高校代表は開幕から唯一の3連勝を飾った。1日には4連覇中の米国を相手に16-7で勝利。王者のW杯での連勝を「18」で止めた。

 相手投手陣が10四死球を出したこともあり、打線が12安打で16点を奪取。投手陣は、林(近江)、西(創志学園)、前(津田学園)、飯塚(習志野)、宮城(興南)とつなぎ、一時は10点差から4点差まで迫られながらも逃げ切りに成功した。ヤクルト、日本ハム、阪神、横浜の4球団で捕手としてプレーし、昨季までヤクルトで2年間バッテリーコーチを務めた野球解説者の野口寿浩氏は西、石川(東邦)らの活躍、各選手の木製バットへの対応を評価しつつ、世界一へ向けてミスを減らすことを求めた。

 初回に1点ずつを奪って迎えた3回、日本は相手の打順が一巡したところで先発・林から西にスイッチ。ドラフト1位候補と評される高校球界屈指の右腕は1死から左前打を浴びたものの、後続を断って無失点に抑えた。気迫のこもった投球に打線が応え、その裏に一挙5得点。さらに、西が4回を3者連続三振に抑えると、その裏に再び5点を奪い、大きなリードを奪った。

 西は3イニング目の5回に雨の影響などもあって2点を失ったが、3、4回は米国打線を圧倒。速球と鋭く落ちるフォーク、緩急をつけられるスライダーを交えて好投し、チームに流れを呼び込んだ。野口氏は西の能力を高く評価し、「あのピッチングスタイルが米国には通用する」と振り返った。

「球が速くて、落ちる球があって、適当に緩急がつけられる。メジャーリーグの世界でもそうですし、高校生のカテゴリーでもそうですが、米国にはああいうピッチングスタイルが通用するのだな、というのをあらためて感じました。ドラ1候補と言われだけのピッチャーなので、どこにでも通用するのでしょうが、米国に投げたピッチャーの中で一番良かった。フォークのいいピッチャーは対米国にはすごくいい。米国に近い野球をする韓国にもすごくいい投球をするのではないかと思います」

木製バットにも「アジャストできている」、一方で守備でのミスの多さも…

 さらに、打線では初回に右翼への適時二塁打を放つなど2安打3打点と結果を残した石川についても「初回のツーベースは、3ボールから狙いすましてライト線に運んでいました。いい打撃を持ってますね」と称賛。米国投手陣を打ち崩した打線についても「普通に打てていますね。強引にとか、無理矢理振っている感じは見られませんでした。アジャストできているように見えます」と話す。木製バットへの適応がしっかりと進んでいるという。

 一方で、課題も見えたという。野口氏は、守備については「芝には慣れてないし、雨も降っていたので難しかったのはあるでしょうけど……」と前置きした上で「ちょっとミスが多すぎましたね」と指摘。失策は2つだったが「記録がヒットになっているのも、これはエラーだろうというのがけっこうありましたよね」と続けた。

「ショートが前に突っ込んできてイレギュラーしてヒットになった当たりも、あんな守備をする必要はありませんでした。普通にさばいて投げればアウトでした。何でもない三ゴロで悪送球というのもありました。短期決戦はこういう隙を見せるとガタガタといってしまうところもある。昨日の試合も途中で怪しいのではないかな、と思ってしまうくらいでした。

 勝ち上がっていけばもう1度アメリカと当たるかもしれませんが、そのときは分からないよ、という試合になってしまった。これだけ点が入って、相手が四死球もくれましたし、ヒットもよく出たので点が取れましたが、次はこれだけ点が入るかは分からない。そこで『おかしい。おかしい』となったときに、今日みたいなミスがまたポンポンと出てきてしまうと怖いですよね。点差が開いたからちょっと集中力を欠いてしまったのなら、それはそれで問題です。もちろん、プロではないですし、全部が全部うまくいくことではないでしょうが、四死球を出して、それがエラーと同じイニングでまとめて出てしまったりとか、そのあたりがすごく気になりました」

バッテリーにも課題、「西の生かし方はすごく良かった」が…

 また、西がフォークを効果的に使って米国打線を抑えた一方で、走者を背負いながらも2回無失点で踏ん張った4番手の習志野・飯塚については、配球面が気になったという。捕手出身の野口氏はあえて厳しく指摘する。

「西の生かし方はすごく良かったですね。ただ、飯塚は甲子園で投げていたときはスライダーよりフォークの方が良かった。でも、昨日はフォークは1球もなかったと思います。急造バッテリーというのもあるでしょうが、ピッチャーの生かし方は早くつかまないといけません。いい球を投げるピッチャーが多いだけに、キャッチャーがしっかりすれば本当に負けないチームになるので、頑張ってほしいですね」

 もちろん、W杯18連勝中だった米国を撃破したことは大きな前進。悲願の世界一へ期待は高まる。しかも、日本はまだ163キロ右腕の大船渡・佐々木、今夏の甲子園でエースとして星稜を準優勝に導いた奥川という2人のドラ1候補が投げていない。コンディションは上がってきており、米国と再び対戦するときは大きな“上積み”になるかもしれない。

 野口氏は「佐々木、奥川クラスになれば、自分のピッチングスタイルを貫けば、いい投球ができると思います。例えば、スーパーラウンドの韓国戦にどちらかが投げて、球数もうまく抑えれば決勝戦も投げられます。調整のペースが上がっているとも聞きますし、投げられればかなり大きいですね」と話す。最大の敵・アメリカに勝ったからこそ、反省すべきところは反省し、再び気を引き締めて世界一への歩みを進めたいところだ。(Full-Count編集部)

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