WBC閉幕から2か月…昨季同時期の成績比較から見た侍ジャパン野手の好不調

WBC閉幕から2か月…昨季同時期の成績比較から見た侍ジャパン野手の好不調

DeNA・筒香嘉智【写真:荒川祐史】

侍戦士の好不調はWBCの影響か否か…

 第4回WBCがアメリカ合衆国の優勝で閉幕してから2か月が経った。侍ジャパンのナインたちも、所属するチームに戻り、ペナントレースを戦っている。好調の選手あり、波に乗れない選手あり。現時点での野手の成績を、昨年の同時期と比較して、WBCの影響を見ていこう。

 3月にWBCが開始されたため、2017年ペナントレースは、2016年より1週間遅くスタートしている。消化試合数を見ると、昨年5月17日と今年5月23日が、ほぼ一致する。そこで両日の野手の打撃成績の比較してみた(MLBの青木宣親は割愛)。

〇捕手 3人
小林誠司(巨人)WBC7試合
 2016年 127打数24安打0本11打点0盗 .189
 2017年 120打数20安打0本6打点1盗 .167
炭谷銀仁朗(西武)WBC2試合
 2016年 105打数27安打0本5打点0盗 .257
 2017年 86打数19安打2本6打点0盗 .221
大野奨太(日本ハム)WBC1試合
 2016年 68打数17安打1本8打点0盗 .250
 2017年 57打数13安打3本6打点0盗 .228

 WBCでは、好守好打で一躍売り出した小林誠司。しかし、ペナントレースが始まると好調バットは影を潜め、いまだ打率は1割台に低迷。期待を裏切った形だが、昨年との比較ではそれほど大きく落ち込んでいない。ただ、昨年の小林は最終的に打率を.204まで上げている。打撃面でよほど頑張らないと、1982年に巨人の大先輩、山倉和博(.196)が記録して以来の「規定打席以上で1割台」という不名誉な記録を残しかねない。他の2捕手はWBCでは控えに回ったが、今季はやや成績を落としている。

内野手では菊池、山田が不調も、坂本、田中は好調

〇内野手 6人
菊池涼介(広島)WBC7試合
 2016年 180打数59安打4本25打点3盗 .328
 2017年 172打数46安打2本15打点2盗 .267
山田哲人(ヤクルト)WBC7試合
 2016年 156打数52安打12本27打点10盗 .333
 2017年 159打数39安打5本20打点8盗 .245
坂本勇人(巨人)WBC7試合
 2016年 131打数48安打9本26打点1盗 .366
 2017年 158打数53安打6本21打点7盗 .335
松田宣浩(ソフトバンク)WBC7試合
 2016年 153打数44安打6本24打点3盗 .288
 2017年 165打数42安打8本20打点1盗 .255
中田翔(日本ハム)WBC6試合
 2016年 164打数43安打5本31打点0盗 .262
 2017年 117打数28安打4本20打点0盗 .239
田中広輔(広島)WBC3試合
 2016年 175打数55安打2本9打点7盗 .314
 2017年 182打数56安打2本20打点10盗 .308

 いずれもチームの中心選手の菊池涼介と山田哲人が成績を大きく落としている。菊池は故障で4試合欠場。3年連続トリプル3の大記録がかかる山田は、すべての記録が昨年を下回っている。

 対照的に、坂本勇人は昨年同様、絶好調で、WBCの影響は見られない。松田宣浩は打率は低いが、昨年から大きな落ち込みはない。中田翔は故障で離脱したこともあり、チームの出遅れの一因となった。

 WBCではあまり出場機会がなかった田中広輔は、昨年同様、今年も3割をキープ。昨年から1番に固定されているが、打点が大きく伸びている。

平田を除く外野手は、昨季から打率を伸ばす

〇外野手 5人
筒香嘉智(DeNA)WBC7試合
 2016年 117打数32安打11本21打点0盗 .274
 2017年 140打数40安打4本21打点0盗 .286
内川聖一(ソフトバンク)WBC6試合
 2016年 156打数52安打6本27打点2盗 .333
 2017年 160打数56安打8本32打点0盗 .350
鈴木誠也(広島)WBC5試合
 2016年 104打数26安打4本21打点5盗 .250
 2017年 175打数53安打8本35打点5盗 .303
秋山翔吾(西武)WBC4試合
 2016年 164打数49安打3本19打点5盗 .299
 2017年 161打数53安打7本16打点7盗 .329
平田良介(中日)WBC2試合
 2016年 130打数35安打6本27打点1盗 .269
 2017年 158打数35安打4本20打点3盗 .222

 筒香嘉智の不振が話題になっているが、昨年も4月29日から5月8日まで故障で離脱していたため、本塁打を除いては昨年と今年では成績に大きな差はない。今年も股関節に違和感を訴えて3試合ラインナップから外れたが、23日の復帰戦での活躍を見れば、今後大いに期待できるのではないか。

 WBCでは脇役として渋い働きをした内川は、昨年を上回る好調ぶり。侍ジャパンの野手では青木宣親に次ぐ年長だったが、WBCの影響は感じられない。

 鈴木誠也は、昨年の同時期には確たるレギュラーではなく、エルドレッドの故障で空いた外野のポジションを松山竜平、下水流昂らと争っていた。昨年中盤から大活躍をして初めて規定打席に達し、侍ジャパンにも選出された。その勢いは、今シーズンも続いているようだ。

 秋山翔吾も好調だ。今年は長打も多く、スラッガーへと変わりつつある。平田良介は、チームが低迷していることもあってか、打率は上がっていない。

 オランダ代表の4番として侍ジャパンを苦しめたヤクルトのウラディミール・バレンティンの成績も見てみよう。

 2016年 131打数40安打12本33打点0盗 .305
 2017年 155打数46安打7本21打点0盗 .297

 長打こそ少ないが、まずまずの成績を上げている。

 こうして見ていくと、WBCの主力選手としてフル出場した選手に、成績不振の傾向が見られると言えそうだ。試合出場の疲労以上に「燃え尽き症候群」のようなメンタル面での影響が大きいのではないだろうか。

 しかし、残り試合は100試合近くもある。侍戦士たちのこれからの巻き返しに期待しよう。

広尾晃●文 text by Koh Hiroo

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