メヒアら助っ人の活躍の裏にペタジーニあり 敏腕代理人が明かすエピソード

メヒアら助っ人の活躍の裏にペタジーニあり 敏腕代理人が明かすエピソード

外国人選手と日本球界をつなぎ、大成功を収めてきたピーター(左)とエドワード(右)のグリーンバーグ兄弟【写真:編集部】

メヒア、エスコバーら今季NPBに6選手を送り込むグリーンバーグ兄弟

 メジャーでプレーしたいという日本の野球選手がいるように、日本でプレーしたいという海外の野球選手もいる。おそよ20年にわたり、日本と世界の架け橋になっているのが、ピーター&エドワードのグリーンバーグ兄弟だ。マディソン・バムガーナー(ジャイアンツ)、カルロス・コレア(アストロズ)、クリス・アーチャー(レイズ)、マーカス・ストローマン(ブルージェイズ)ら、野球部門だけでも数百人の選手と代理人契約を結ぶ米国屈指の巨大スポーツエージェント会社・The Legacy Agency (TLA)で、主に中南米やアジアの選手を担当する敏腕代理人として、その名を知らしめている。

 2人は、メジャーではホセ・レイエス(メッツ)、アルシデス・エスコバー(ロイヤルズ)、マーティン・プラド(マーリンズ)、ロベルト・オスナ(ブルージェイズ)らスター選手を担当。1990年代後半からは、ロベルト・ペタジーニ(元ヤクルト)、アレックス・ラミレス(現DeNA監督)ら外国人選手と日本球界をつなぎ、大成功を収めてきた。

 今季もエルネスト・メヒア(西武)、エドウィン・エスコバー(日本ハム)、ディーン・グリーン(ヤクルト)、クリス・マレーロ(オリックス)、エルビス・アラウホ(中日)、ホルヘ・ロンドン(中日)ら、数多くのクライアントを抱える。独立リーグにも元ソフトバンクのバリオス(BCリーグ富山)ら3選手がプレー。「今季日本でプレーする外国人選手を一番多く抱えているのは、おそらく私たちだと思います」と自負するグリーンバーグ兄弟が、今月、担当選手の激励と日本球界の視察で訪日。忙しいスケジュールの合間を縫って、Full-Countの独占取材に応じてくれた。

 現在、担当選手の中で最も活躍しているのは、西武のメヒアだろう。ややスロースタートではあったが、交流戦が始まると調子は急上昇。交流戦では打率.306、4本塁打、15打点の成績で、10勝7敗1分と勝ち越しているチームに大きく貢献した。今季は体を絞って試合に臨む来日4年目野手に話が及ぶと、兄ピーター氏は「今年は少し違ったエルネストの姿を見せられると思います」と切り出した。

メヒアが来日直前にアドバイスを受けた憧れの選手とは…

「過去2年に比べると、本塁打数は減っているかもしれませんが、同時に三振数も減り、四球数が増えた。今年は選球眼がよくなり、打率と出塁率が上がっています。何よりも大きな違いは、体が絞れていること。私も驚いたくらいですよ。

 本人に聞いたら『太っているから動けないって言われるのはイヤだから絞った』と(笑)。相当のトレーニングを積んで栄養管理もしたようですが、パワーが落ちた感じはしないと言っていますから、今季は少し違った姿を見せられるのではないでしょうか」

 過去2年はシーズン平均で約150三振を喫していたが、今季は63試合出場時点で58三振と減少(平均131.6三振ペース)。併殺打の数も、過去2年はシーズン平均が約15併殺打だったのに対し、今季は63試合で4つと激減している。打率.279、出塁率.357は、いずれも昨季成績を上回る成績だ。昨季までやや大味になりがちだった打撃に、精度と機動力が加わった形と言えそうだ。

 来日以来、西武の主軸として欠かせぬ存在となったメヒアだが、その成功の礎となったのが、他でもないペタジーニのアドバイスだったという。日本でプレーすることになったメヒアに対し、親身にアドバイスを送ったペタジーニについて、弟のエドワード氏はこう振り返る。

「日本で野球をプレーする姿勢について、アメリカや中南米の野球との違いについて、熱心にアドバイスを送ってくれました。練習方法の違い、ピッチャーの違い、日本ならではのしきたり。こういったことは、実際に経験した人しか伝えられませんからね。何も知らずに飛び込むと、戸惑いも多いでしょう。

 もちろん野球で結果を出すことが大切ですが、ロベルトが特に強調していたのは、まずは良きチームメイトとしてチームに溶け込むことが大事だということです。日本の生活や文化に慣れて、気持ちよくプレーできれば自然とパフォーマンスも上がります。

 ペタジーニといえば、エルネストにとっては子供の頃にテレビで見ていた憧れの選手ですから、スッとアドバイスが腑に落ちたんでしょうね。ファンに愛され、活躍できるのは、ロベルトの教えが生きているからでしょう」

脈々と受け継がれるペタジーニの教え

 ペタジーニに助けられたのは、メヒアだけではない。グリーンバーグ兄弟もまた、ペタジーニの活躍をきっかけに日本をはじめとするアジアへの市場拡大に成功し、ペタジーニの懐の深さに心動かされた。NPBに6選手、独立リーグに3選手、韓国リーグに1選手を送り出すまでになったのも「すべてロベルトがNPBで活躍したからこそ、そして愛される選手だったからこそですね」と、エドワード氏は話す。隣でうなずくピーター氏は「ロベルトの人柄を表す、こんなエピソードがあるんですよ」と続けた。

「今では何度も来日していますが、ロベルトが来日1年目の時は、私たちもまだ日本に不慣れでした。そんな私たちが来日すると言うと、空港までの出迎えはもちろん、ホテルの手配、遠征の同行手続きなど、何から何まですべて面倒を見てくれました。余りの手厚さに恐縮していると『当たり前だよ、僕たちはファミリーなんだから』と。単なるビジネスパートナーとしてではなく、人とリスペクトを持って付き合ってくれたのことが、本当に感動的でしたね。

 エルネストへのアドバイスも、“ファミリー”だからこそ、我が事のように親身になってくれたんです。

 今でも私たちは新しいクライアントとして選手を迎える時、『Welcome to our family(我がファミリーへようこそ)』と言っています。ビジネスの前に、人としての信頼関係を築きたい。そういった取り組みが、親子2世代だったり、兄弟や従兄弟だったり、本当の家族がクライアントになってくれる所以かもしれませんね」

 ペタジーニの教えはメヒアに、そしてメヒアの教えは今後日本へやってくる選手達に――。ペタジーニから始まった“ファミリー”としてのつながりは、今後も途切れることなく受け継がれていくのだろう。

佐藤直子●文 text by Naoko Sato

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