なぜ広島に「1円」も入らない? 交流戦に思う疑問

なぜ広島に「1円」も入らない? 交流戦に思う疑問

交流戦首位打者となった広島・丸佳浩【写真:荒川祐史】

ソフトBと広島が12勝6敗で並んだ交流戦、ソフトBが3年連続最高勝率に

 ソフトバンクの3年連続最高勝率という結果で、今季の交流戦は幕を閉じた。ソフトバンクが例年通りの好成績を残す一方で、巨人やヤクルトが大型連敗を喫し、広島はそのソフトバンクと並ぶ12勝6敗を記録。パ・リーグは56勝51敗1分けで8年連続12度目の勝ち越しとなったが、13勝差あった昨季よりもセ・リーグとの勝差は「8」縮まった。

 その交流戦。疑問を投げかけたいことがある。まず、その1つが、賞金のシステムだ。

 交流戦の賞金の規定は、このようになっている。最高勝率球団に500万円、そして、勝ち越しリーグの勝率1位球団に1000万円。そこから同2位500万円、同3位400万円、同4位300万円、同5位200万円、同6位100万円である。

 今季は、ソフトバンクが最高勝率と勝ち越しリーグ1位球団で1500万円を獲得。西武が500万円、楽天が400万円、オリックスが300万円、日本ハムが200万円、ロッテが100万円となり、12勝6敗でソフトバンクと並び、直接対決の結果で2位となった広島には1円も入らない。

 また、最終戦で広島が勝利していた場合でも、広島には500万円、2位となるソフトバンクには1000万円が入る。最も讃えられるべき最高勝率球団の方が、賞金額が安くなるという現象が起きる(ただし現行システムになってからは、勝ち越しリーグから最高勝率球団が出ており、これは起きていない)。

借金6のロッテ、同4の日本ハムにも賞金

 リーグ対抗戦の色合いを濃くしているため、このようなシステムになっているのだが、今季でいえば、交流戦で借金6のロッテや同じく借金4の日本ハムに賞金が入り、12球団最多タイの貯金6を積み上げた広島には何もないというのも、何とも、首を傾げたくなってしまう。

 リーグ対抗戦という点で、負け越しリーグに賞金がないのは致し方ないこととはいえ、勝ち越しリーグにはドラフトのウェーバー優先権も与えられるため、賞金が贈られるのは上位3球団ほどでもいいのではないだろうか。

 もう1点は順位決定の方法だ。交流戦の規定では、順位決定の方法を以下のように定めている。

○2球団が並んだ場合
1.勝数
2.直接対戦成績
3.交流戦18試合のTQB【※(得点/攻撃イニング)-(失点/守備イニング)】が大きいチーム
4.交流戦18試合のER-TQB【※(相手自責点による得点/攻撃イニング)-(自責点/守備イニング)】が大きいチーム
5.交流戦18試合のチーム打率
6.前年度交流戦の上位チーム

○3球団が並んだ場合
1.勝数
2.交流戦18試合のTQB【※(得点/攻撃イニング)-(失点/守備イニング)】が大きいチーム
3.交流戦18試合のER-TQB【※(相手自責点による得点/攻撃イニング)-(自責点/守備イニング)】が大きいチーム
4.交流戦18試合のチーム打率
5.前年度交流戦の上位チーム

 今季の交流戦は、残り2試合の段階まで、ソフトバンク、広島、西武、阪神の4球団に最高勝率の可能性が残されていた。ソフトバンクと広島が直接対決だったため、この2球団だけの決着であれば、規定の2にある直接対戦成績で順位が決まる。気になったのは、3球団が並んだ場合に出てくる「TQB」の存在である。

2011年から導入された「TQB」とは

 TQBとは「トータル・クオリティ・バランス」の略。野球は攻撃イニング数と守備イニング数が必ずしも同数とならないため、このTQB、つまり「得失点差率」として数字を出し、攻守の優劣をつけるという基準である。国際野球連盟でも採用され、国際大会でも広く使われている。交流戦でも2011年以降、順位決定の方法に採用されている。

 この基準自体が悪いとは言わないが、このTQBが順位決定に影響を及ぼすにも関わらず、この実数値が公式に表に出されていないことに疑問を覚えた。今季の交流戦で3球団以上が並ぶ状況が最終戦終了直後に生じた場合、どのチームが最高勝率に輝いたか、瞬時に分かる人間が、果たしてどれだけいただろうか。現に、球団の関係者も正確には把握していなかった。

 この少々複雑な順位決定方法を定めているのであれば、公式に、随時、このTQBの数値が示され、ファンに提供されてもいいのではないか。ファンにとっては大事な情報となるだろうし、「ウチの球団は何点取って、何点以内に抑えないと、上位のチームを抜けない」という、少しコアな楽しみ方も提供できるかもしれない。

 今年で13年目を迎えた交流戦。ホーム、ビジターが半々の3カードずつとなったために「優勝」とは言わず、「最高勝率球団」となっているのも、やや分かりにくいところではあるが、セ・パが各リーグの威信をかけて火花を散らす貴重なイベントだけに、今後、どのように変化を遂げていくのか注目したい。

福谷佑介●文 text by Yusuke Fukutani

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