「首の皮一枚ですよ」―苦しみを経て再び1軍に、ソフトB内野手が求める結果

「首の皮一枚ですよ」―苦しみを経て再び1軍に、ソフトB内野手が求める結果

ソフトバンク・高田知季【写真:荒川祐史】

2年ぶりの猛打賞&2打点…昨年9月には手術で「あんなに長く野球しなかったのは初めて」

 苦しみを経て、1軍の舞台へと戻ってきた。ソフトバンクの高田知季内野手。左肩脱臼、そして左肩手術のリハビリを乗り越え、今、再び二塁手の定位置争いに名乗りを上げている。

 その姿が一際、目立ったのは、25日の西武戦(ヤフオクD)だ。2試合連続で先発起用され「9番・一塁」でスタメンに名を連ねた高田。3回の第1打席でウルフから左前安打を放つと、2点差で迎えた7回1死三塁では牧田から、1点差とする右前適時打。再び2点差となった8回2死一、三塁ではシュリッターから再び1点差に詰め寄る右前適時打を放った。

 2年ぶりの猛打賞となる3安打2打点。チームは9回2死一塁から福田の逆転2ランで劇的なサヨナラ勝ちを掴んだが、呼び込んだ1人がこの背番号0だった。

 昨季は開幕1軍を掴み、序盤からスタメンで起用される試合もあった。工藤公康監督はじめ首脳陣の期待は高かったが、打率.175と結果がなかなか出ず、7月6日に登録を抹消された。ファーム降格後には2軍戦で左肩を脱臼。脱臼は癖になりやすく、再発を防止するために、9月末には手術を受けた。復帰までは約6か月と診断された。

 術後は左腕を三角巾で吊るし、自由には動かせない。当然、トレーニングもほとんど出来ず、固定が取れた後も、可動域を徐々に取り戻すための地道なリハビリが続いた。「あんなに長く野球をしなかったのは、人生で初めてだったので、悔しさもあるけど、どう過ごしていいのか分からない」日々だった。

 悶々とする毎日だったが、「自分に足りないものだったり、そういうものを感じる、こうしたらいいんじゃないかと思ったことをやってみる時間にもなった」という。「明確な答えが出たわけじゃなかったですけど…」とは言うものの、自分と見つめ合う時間が貴重だった。

「守備ももちろん大事ですけど…」

 苦しかったリハビリ生活を終えて実戦に戻っても、しばらくはダイビングキャッチなどへの恐怖心は、なかなか拭えなかった。じっくりとファームでの試合出場を重ね、不安、恐怖心を拭い去り、徐々に状態を上げていった。そして、6月13日。ようやくお声がかかり、今季初めて出場選手登録された。

 ソフトバンクの二塁手争いは、どのポジションよりも熾烈と言っていい。現在、1軍には川崎宗則、明石健志、川島慶三、そして高田の4人の二塁手がいる(この4人は二塁だけでなく、一塁、遊撃、三塁、外野と複数ポジションもこなせる)。そして、ファームには実績のある本多雄一もいる。1軍に昇格しても、そこにはまた、厳しい競争が待ち受けていた。

「守備ももちろん大事ですけど、この中では打たないと生き残れないと感じています」。どの選手も守備のレベルは高い。競争を勝ち抜くため、ポジションを奪い取るためには、バッティングを含めたオフェンス面での結果が求められる。

 昇格後、3試合でスタメン起用され、その3試合全てで適時打を放った高田だが、「首の皮一枚ですよ」という。その争いは激しく、いつファーム行きを言い渡されるか分からない崖っぷちの状況にいると感じている。だからこそ、必死だ。「ようやく勝負出来るところに戻ってこられましたね」。1軍にいることがゴールじゃない。5年目の27歳。欲しいのは定位置の座。まだスタートラインに立ったばかりだ。

福谷佑介●文 text by Yusuke Fukutani

関連記事(外部サイト)