「満塁ピンチ=嘉弥真投入」 ソフトBの新・左の中継ぎエース、6年目の進化

「満塁ピンチ=嘉弥真投入」 ソフトBの新・左の中継ぎエース、6年目の進化

ソフトバンク・嘉弥真新也【写真:荒川祐史】

「ポスト森福」がサイドスロー転向で活躍、26試合登板で防御率0.50

 かつて福岡ソフトバンクで、左打者キラーとしてワンポイントリリーフを担った森福投手(現巨人)。今季、その後を継いで、「ポスト森福」と呼ばれる左のサイドスローがいる。プロ6年目、沖縄県出身の嘉弥真投手である。

 嘉弥真は、八重山農林高校からビッグ開発ベースボールクラブ、JX-ENEOSを経て、2011年にドラフト5位で福岡ソフトバンクに入団。主に中継ぎとして起用され、昨季までの成績は、97試合、3勝3敗、6ホールド、防御率3.60だった。

 しかし、2013年の40試合をピークに年々登板数が減少し、防御率も悪化。昨季はわずか5試合の登板にとどまり、防御率は8.59と悔しいシーズンを過ごした。そこで嘉弥真は、大胆にもサイドスローへの変更を決意。2017年を自身の「勝負の年」と定め、昨秋のキャンプから急ピッチでフォーム改造に取り組んだ。

 むろん、繊細な感覚が必要になる投手のフォーム改造は、一朝一夕に完成するものではなく、試行錯誤を重ねているうちに年単位の時間が経過していることも珍しくない。だが、嘉弥真は努力に努力を重ね、驚くべきスピードで尊敬する森福と同じサイドスローのフォームを自分のものにする。

 オープン戦でまずまずの成績を残して開幕1軍入りを果たすと、4月4日の楽天戦で今季初登板。球数を要しながらも1回無失点に抑え、そこから4月29日まで11試合連続無失点という安定感を見せる。4月21日の楽天戦では、3点を追う6回途中から登板し、1回無失点で相手打線の攻撃を終わらせる投球。延長12回裏まで長引いたその試合で、チームがサヨナラ勝利を収める一助となった。

「満塁のピンチ=嘉弥真投入」がお決まりのパターンに

 5月4日の埼玉西武戦で今季初の失点。以降、左打者に安打を許す場面が目立ち、2軍での再調整を言い渡されるものの、1軍復帰後の6月18日の広島戦で7回裏から登板し、強力な広島打線を危なげなく3者凡退に抑え込む。その後も、先発投手が早い回で降板した場合や点差が開いた場合など、様々な状況下での起用に応えて結果を残し、時には回跨ぎや連投もこなし、首脳陣の信頼を勝ち取っていく。

 6月28日の北海道日本ハム戦では、同点で迎えた5回表、2死満塁の場面で登板。中島卓から空振り三振を奪って勝ち越しを阻止すると、チームは競り合いを制して1点差で勝利を収めた。翌29日の北海道日本ハム戦でも1点リードの6回表、2死満塁の場面で登板すると、代打・矢野を空振り三振に切って取り、連夜の満塁切りを披露。また、5日のオリックス戦でも5回2死満塁の場面で登板し、徹底的な外角攻めでT-岡田から空振り三振を奪取。「満塁のピンチ=嘉弥真投入」がお決まりのパターンとなりつつある。

 7月5日現在、嘉弥真の成績は、26試合1勝0敗、5ホールド、18回を投げて防御率は0.50。許した失点は未だに1点のみという、驚異的な安定感を誇る。昨秋サイドスローに転向したばかりとは思えない活躍ぶりで、今季から巨人でプレーしている森福の後釜として、左の中継ぎエースを務めている。

 得点圏や満塁の場面で登板し、要所を抑える嘉弥真のような存在は、チームがリードしている場合には守備陣に安心感を与え、ビハインドの場合には試合の流れを引き寄せて打撃陣を勢いづかせる。首位奪還を目指すチームにとって、紙一重の試合を一つでも多く拾っていくことが肝要だ。シーズンも70試合ほどを消化し、今後の順位争いはさらに激しさを増していく。投打の力が拮抗している楽天を追い落とすためには、ますます嘉弥真投手の力が必要になってくるだろう。

 投げるたびに安定感を増し、すっかり抜けた穴を埋めつつある嘉弥真投手の投球から今後も目が離せない。「パ・リーグ インサイト」馬塲呉葉

(記事提供:パ・リーグ インサイト)

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