“育成のソフトB”で着々と…2軍で存在感を示し始めた2人の高卒ルーキー

“育成のソフトB”で着々と…2軍で存在感を示し始めた2人の高卒ルーキー

ソフトバンク・九鬼隆平【写真:荒川祐史】

ドラ3九鬼&ドラ4三森、九鬼はパワー生かした打撃で2本塁打

 前半戦も残すところ、あと1カードとなったプロ野球界。パ・リーグは楽天とソフトバンクが首位を争い、抜きつ抜かれつのデットヒートを繰り広げている。両チームともに失速することなく、後半戦もしばらくは鷲と鷹が激しい攻防を繰り広げそうである。

 一度は今季初の単独首位に浮上したソフトバンク。今季は捕手の甲斐拓也が存在感を高め、正捕手の座に限りなく近づくまでに急成長を遂げている。外野手でも上林誠知が台頭し、定位置を掴みかけている。新戦力が今季のチームに欠かせない存在になっていると言えるだろう。

 視線をファームに送ってみる。そこには、プロの水に慣れ、徐々にではあるが、その存在感を示し始めているルーキーがいる。ドラフト3位ルーキーの九鬼隆平捕手、そして、ドラフト4位の三森大貴内野手。ともに高卒の1年目の野手である。

 熊本の秀岳館高校からソフトバンクに入った九鬼。高校、そしてU-18日本代表でも4番とキャプテンを務めた“打てる捕手”の好素材だ。戦国時代に九鬼水軍を率いた「九鬼嘉隆」の末裔であることは広く知られた話ではあるが、180センチ82キロの身体に秘められたパワーは、ルーキーイヤーから、その将来性を感じさせている。

 すでに、ウエスタンリーグで2本塁打。左足の上げの小さい、ほぼノーステップに近いところから力強い打球を飛ばす。高谷裕亮の負傷があり、2軍で主にマスクを被っていた栗原陵矢が1軍へ。それに伴って2軍での出場機会が増えた。打率.240と、まだ荒削りではあるものの、31打席という少ない打席数で2本のアーチをかけるパンチ力は相当なもの。25打数6安打で、安打数より多い7打点を挙げており、勝負強さもうかがえる。

打率3割超の三森「今は出来ることを少しでも出せれば」

「2軍はやっぱりレベルは高いです。ただ、最初は自分の力が出せないところがあったんですが、徐々に、それなりに出せるようにはなってきました」と話す九鬼。3軍で戦う投手と2軍の投手との違いを「やっぱり2軍になると、簡単には甘いところには来ない。3軍だと1打席に2、3球ある甘い球は、2軍だと1球あるかどうか。それを一発で仕留めないといけない」と感じている。

「やっぱり先輩とは大きな差を感じます。守る方は全然です。配球面、キャッチング、全てが足りない。まだまだ足りません。打つ方がまだやれるかな」。まだプロに入って半年が過ぎたところ。特に守備面では課題が山積だとは言うが、守備に比べて手応えを掴んでいる打撃面が九鬼の持ち味。今季、急成長を遂げた甲斐とは真逆のタイプだけに、チームの将来的な競争という意味でも楽しみな存在である。

 一方の三森は、青森山田高からソフトバンク入りした大型内野手。こちらも2軍で本多雄一や牧原大成が負傷したことで最近出番を増やしている。パンチ力が武器の九鬼とは対照的に、三森はアベレージヒッタータイプ。まだウエスタンリーグで16試合、35打席(33打数)しか立てていないものの、10安打を放ち、打率.303と3割を超えている。

「試合に出たり、たとえベンチで見ているだけでも、投手のボールや変化球のキレを感じることは出来ます。それが積み重なってきているのは感じます。前より、打席でびっくりすることは無くなりましたね。今は出来ることを少しでも出せればいいと思っています」という三森。184センチ70キロと、まだ細身だが、その武器はバットコントロールにある。

 現在、ソフトバンクのウエスタンリーグに出場しているメンバーで打率が3割を超えるのは、出場試合の少なさはあれど、三森ただ1人。ルーキーイヤーから、各球団の2軍の投手にある程度対応できている点から見ても、楽しみな素材であるだろう。

 1軍が首位を争う中で、ファームの若手も、少しずつではあるが、力をつけてきている。この2人が出てくるのは、3年後か、5年後か。彼らのような若い才能の成長を見守るのも、プロ野球の楽しみ方の1つだろう。(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)

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