「何だ、今の?」 ホークス千賀の代名詞「お化けフォーク」誕生の秘密

「何だ、今の?」 ホークス千賀の代名詞「お化けフォーク」誕生の秘密

ソフトバンク・千賀滉大【写真:荒川祐史】

千賀が明かす秘話、使い物にならなかったフォークが「お化け」に

 球宴がやってくる。プロ野球は12日に前半戦が終了し、14日にナゴヤドーム、15日にZOZOマリンスタジアムで「マイナビオールスターゲーム2017」が開催される。セ・パ両リーグの人気選手が一堂に会して戦う“お祭り”を楽しみにしているファンも多いだろう。

 そのオールスター。今季のパ・リーグ先発部門で、ファン投票1位で選出されたのが、ソフトバンクの千賀滉大投手。前半戦は左背部の張りを訴えての離脱があったが、他球団の好投手をおさえてのトップ選出に「パ・リーグの名だたるピッチャーを差し置いて、なぜ僕なんだろうとは思いますけど、光栄なことだと思ってしっかり投げたいと思います」と話していた。

 千賀のファン投票選出には、当然、今春のWBCでの活躍が加味されているだろう。侍ジャパンはベスト4での敗退となったが、千賀は先発、中継ぎとして大車輪の活躍を見せ、各国の打者相手に奪三振ショーを演じた。世界に衝撃を与え、侍ジャパンから唯一、大会ベストナインにも選ばれた。

 150キロ超のストレートも威力十分だが、やはり千賀の代名詞といえば、驚異の落差を誇る「お化けフォーク」。オールスター選出が決まった際に、右腕自身も「選ばれた理由の大半はフォークボールのイメージだと思うので、それをしっかり使える準備をしたいと思います」と自認し、球宴の舞台でフォークを存分に披露することを誓っていた。

当初はスライダーが武器、フォークは「全然変化しなかった」

「千賀=お化けフォーク」のイメージは、プロ野球ファンに完全に定着したが、このフォーク、元々は「使い物にならなかった」というから、驚きである。

 愛知の県立蒲郡高出身の千賀。愛知といえば、愛工大名電や中京大中京といった私学が甲子園出場の常連。千賀の蒲郡高も、県内でもそれほど名が通った高校ではない。プロ入りは2010年の育成ドラフト4巡目。当時の千賀は、スライダーを武器とする投手だった。

「高校のときから投げていましたけど、投げていたと言っても、ほとんど使い物にならないものでした。全然変化もしなかったですし」。高校時代から持ち球にフォークはあった。だが、今のような変化をするわけでもなく、それどころか、全くといっていいほど変化しない代物だったという。

 プロに入ってからも、しばらくはその変化には変わりがなかった。2012年にファームで結果を残し、4月23日に支配下登録をされたが、この時もフォークが武器ではない。転機が訪れたのは、プロ3年目の2013年。この年、千賀は中継ぎとして1軍に抜擢され、51試合に登板。1勝4敗17ホールド1セーブをマーク。初めてオールスターにも出場した。

“お化けフォーク”の誕生は、突然のことだったという。千賀が振り返る。

突然「劇的に」落ちたフォーク、同じ握り「あまりいないかも」

「中継ぎになるならば、真っすぐ以外にもう1個、信頼出来るボールが欲しいな、と。その中で、全然使えないフォークをどうにかしたいと思ったんです。12年と13年の間のオフに(中日の)吉見さんと自主トレしたときに、練習の仕方とかを教わりました。そこから、それを意識して練習していったら、ふと落ちるようになったんです。劇的に、です。投げていて、いきなりファッと落ちるようになった。『何だ、今の?』ってなりました」

 突然、見たこともない落差で落ちたフォーク。その感覚を忘れないように、意識しながら練習を積み重ねていった。「(変えていたのは)投げる意識とかですね。腕を振るのはもちろん、真っすぐよりも腕を振るイメージです」。

 様々な握りを試し、行き着いたのは、人差し指だけを縫い目にかけるというもの。現在チームメートの中田賢一も同じ握りだというが、それでも「あまりいないかもしれない」という握り方だという。

 完全に武器として定着した今も、投げる際にはストレートを投げる時よりも、腕を強く振ることを意識している。「それくらいじゃないと、誤魔化せないんです。あれだけ変化するので、打者も分かる人は分かってしまう。腕を振って、誤魔化しています」。

 もちろん努力の賜物ではあるものの、ある意味、突然変異で誕生した「お化けフォーク」。ファン投票1位に輝いた千賀は、14日の第1戦で先発する。世界を驚かせた落差を誇る武器で、セ・リーグの打者のバットに空を切らせる。そんな場面が数多く起きることを、ファンも楽しみにしている。(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)

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