【私が野球を好きになった日8】謎の解説者・お股ニキ氏が衝撃を受けた3チームとは

【私が野球を好きになった日8】謎の解説者・お股ニキ氏が衝撃を受けた3チームとは

インディアンスなどで活躍したアルバート・ベル氏【写真:Getty Images】

「巨人が全て」と思っていた小学生のお股氏を驚かせた1990年西武

 本来ならば大好きな野球にファンも選手も没頭しているはずだった。しかし、各カテゴリーで開幕の延期や大会の中止が相次ぎ、見られない日々が続く。Full-Countでは選手や文化人、タレントら野球を心から愛し、一日でも早く蔓延する新型コロナウイルス感染の事態の収束を願う方々を取材。野球愛、原点の思い出をファンの皆さんと共感してもらう企画をスタート。題して「私が野球を好きになった日」――。第8回はツイッターや著書などで野球の新たな視点を提案する“プロウト(プロの素人)”解説者・お股ニキ氏だ。

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 昨年刊行した「セイバーメトリクスの落とし穴 マネー・ボールを超える野球論」で野球界を大いに沸かせたお股ニキ氏。その後も「なぜ日本人メジャーリーガーにはパ出身者が多いのか」「ピッチングデザイン」と興味深い著書を世に発表し、ダルビッシュ有投手や千賀滉大投手らプロからも大きな支持を集めている。その正体は謎に包まれているお股氏だが、その野球愛の大きさは火を見るより明らかだ。そんなお股氏が野球に惹きつけられたきっかけは、何だったのか。

「子どもの頃、僕は巨人が好きで原(辰徳)とか駒田(徳広)とかが一番すごいのかなと思っていたんですよ。そしたら、90年の日本シリーズで西武に4連敗してしまった。これには衝撃を受けましたね。子どもながらに『あの秋山とかデストラーデとか、何だコイツらは!? やたらホームラン打つぞ』って(笑)」

 1990年の巨人は開幕当初から圧倒的な強さを誇り、最終的には2位の広島に22ゲーム差をつけて優勝。日本シリーズも戦前の予想では「巨人有利」の声が多かったが、蓋を開けたら、まさかの展開となった。中学で途中退部するまで野球をプレーしていたお股ニキ少年が驚愕するのも無理はない。

「あの年の巨人は超エリート集団で、先発は斎藤(雅樹)、桑田(真澄)を中心に130試合のうち70試合で完投していて、9月頭に優勝しちゃったんですよ。当時、子ども心に巨人が全てだと思っていたところで、西武の強さに衝撃を受けて、パ・リーグにはこんなすごいチームがあるんだって視野が広がっていったんです。

 近鉄やオリックスを見るうちに、イチローが出てきて『うわ、すごいな』と。95年にはイチロー擁するオリックスの『がんばろうKOBE』がありましたよね。95年には野茂(英雄)がメジャーに行って、僕はそこで初めてメジャー中継を見るわけなんですけど、『あ、こんなすごい選手がいっぱいいるのか』と、それまで見ていたのとは違う感じの野球がそこにあったんです」

お股氏が考える理想のチームとは「その年の完成度見たら…」

 この時、お股氏の興味をグンとメジャーに引き寄せたのが、インディアンスだったという。1995年のインディアンスは100勝44敗という圧倒的な成績でシーズンを終えると、リーグ優勝決定シリーズでマリナーズを下し、ワールドシリーズに進出。惜しくもブレーブスに敗れたが、スター揃いのチームだった。

「あの打線を見て、かなりビックリしましたね。8番のソレントでも25本ホームランを打っていたくらい(笑)。僕はアルバート・ベルが好きだったんですけど、ケニー・ロフトンもいて、エディ・マレーもいて、オマー・ビスケルもいて、ジム・トーミとかマニー・ラミレスが若かった。このチームを見た時、90年の西武と同じような衝撃を受けました。あとは(グレッグ・)マダックスですね。当時だとメジャーは体の大きい人が力で投げているイメージがあったのに、こんなに頭を使って緻密なピッチングをする人がいるんだっていうのも衝撃でした」

 そんなお股氏にとどめを刺すかのように現れたのが、1998年のヤンキースだった。この年、114勝48敗、実に勝率.704という成績で東地区を制すると、ワールドシリーズではパドレスに4連勝して優勝。「その年の完成度を見たら、メジャー史上でも最強クラスに強いチームだったと思うんですよ」と話す。

「ジーターが3年目で、バーニー・ウィリアムズ、ホルヘ・ポサダがいて、9番のスコット・ブロシャスでも3割19本塁打98打点だったんですよ。先発もみんな10勝以上していて、デビッド・ウェルズは完全試合もした。後ろも抑えにマリアーノ・リベラ、セットアッパーで左のマイク・スタントン、右のジェフ・ネルソンがいて、先発は6回まで投げれば大丈夫という感じだったんです。全部が完璧で、僕の中の理想のチームなんですよ」

 そんなお股氏は「今、大学生だったらフロント入りを目指して球団に入っていたかもしれませんね」と笑うが、現在は「究極のファンの立ち位置」を楽しんでいるという。

「僕はあくまでファンという立場で、プレーそのものを見るのが好きなんですよ。それが今、僕の声が選手に届いて、それを採用して試合で言っていた通りの球を投げてくれたり、活躍してくれたり。僕は本当に選手が好きだし、実際のプレーを見るとやっぱりすごい。選手がすごいから、僕の妄想や理想を本当に実現してくれる。ある意味、それを見るのがファンとして究極の喜びなんですよね」

 お股氏が次に受ける衝撃はどんなものなのか。もしかしたら、自身の声が衝撃を生むきっかけになることもあるかもしれない。

【お股ニキ情報】
3月に著書「ピッチングデザイン 2020年代を勝ち抜く一流投手の条件」(集英社)を刊行。オンラインサロン「NEOREBASE」にも参加している。(佐藤直子 / Naoko Sato)

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