オリ高卒新人が33回2/3で与四球「2」 田口2軍監督が「大切に育てたい」逸材

オリ高卒新人が33回2/3で与四球「2」 田口2軍監督が「大切に育てたい」逸材

オリックス・山本由伸【写真:(C)PLM】

高校時代は「九州BIG4」、2軍で好結果残すルーキー山本由伸

 現在、パ・リーグ4位のオリックスは、ウエスタン・リーグで最下位に沈んでいる。しかし、チーム防御率は阪神に次いでリーグ2位。いずれチームを背負う「投」の逸材が、虎視眈々と腕を磨いていることが窺える。

 その中でも大きな期待をかけられている高卒ルーキーを紹介したい。背番号「43」、山本由伸投手18歳だ。

「由伸」という名前は、大方の予想通り巨人の高橋監督にちなんでいるという。「ウルフ」と呼ばれ、卓越したバットコントロールを誇った現役時代の高橋監督とは異なり、山本は打棒ではなくその右腕で、自身のプロとして道を切り開こうとしている。

 生まれも育ちも岡山県だが、宮崎県の都城高校に進学した。当初は主に三塁手を務め、自ら希望して投手に専念したのは1年夏の大会後からだった。瞬く間に才能が開花し、2年春には球速147キロをマーク。同年夏に行われた第63回県高校新人野球大会では最速151キロと、早くも大台を突破する。決勝で9回12奪三振、無安打無得点という快投までをも披露して、チームを16年ぶりの優勝に導くとともに、一躍その名を全国に知らしめた。

 3年間を通して甲子園出場は叶わなかったが、れいめい高校の太田龍投手(JR東日本)、九産大九産高校の梅野投手(東京ヤクルト)、福岡大大濠高校の浜地投手(阪神)と並んで「九州BIG4」と称されるなど、プロからの評価は非常に高く、昨年のドラフトでオリックスから4位指名を受ける。担当スカウト評は「身体能力、投手としての能力もともに高く、下半身の使い方が良く腕のしなりもいい。コースの出し入れをしっかりとできるコントロールも魅力の投手」というものだった。

高卒ルーキーらしからぬマウンドさばき、目標は「球界を代表する投手」

 大多数の高卒ルーキーがそうであるように、山本の現在の主戦場はファームだ。7月19日の福岡ソフトバンク戦において、5回を投げて被安打3、奪三振3、与四球0、無失点という投球でプロ初白星を挙げると、8月3日にはウエスタン・リーグ1位の広島を相手に7回2/3を投げて被安打4、奪三振7、与四球0、無失点で2勝目。同12日の中日戦は勝敗はつかなかったものの、6回1安打1四球6奪三振無失点の好投を見せた。

 今季ここまでのファーム成績は、8試合2勝0敗28奪三振、防御率0.27。防御率の優秀さや奪三振能力の高さもさることながら、目を引くのは与四球数の少なさだ。計33回2/3を投げて、なんと与四球わずか「2」(与死球1)。高卒ルーキーらしからぬ落ち着いたマウンドさばきと、四隅を突くコントロールが光る。

 山本は、最速151キロの直球に加え、カーブ、スライダー、カットボール、シンカー、スプリット、チェンジアップなど、多彩な変化球を持つ。177センチ、77キロとプロの投手としては決して恵まれた体格ではないが、フィールディングや牽制も無難にこなすなど器用だ。ファームの試合では、強烈な投直をなんなくつかみ、自らを助けた場面も見られた。しなやかな投球フォームが、ドジャースの前田投手を彷彿とさせるという意見も聞かれる。

 目標は「球界を代表する投手になる」こと。まだ高校を卒業したばかりの18歳ということもあり、目先の結果は求められていない。田口2軍監督が「大切に育てたい」と目を細める逸材。チーム状況によっても、1年ごとにも、めまぐるしく立場が変わる厳しい世界であるだけに、今、試行錯誤が許される日々を大事にしてほしいところだ。奇しくもセ・リーグのスター選手の名を持つ山本が、チームを背負う投手となる日を、楽しみに待ちたい。「パ・リーグ インサイト」馬塲呉葉

(記事提供:パ・リーグ インサイト)

関連記事(外部サイト)