育成から球界トップ盗塁阻止捕手へ…ソフトバンクの屋台骨支える甲斐拓也

育成から球界トップ盗塁阻止捕手へ…ソフトバンクの屋台骨支える甲斐拓也

ソフトバンク・甲斐拓也【写真:(C)PLM】

登録名をフルネームに変えた今季、2年ぶり開幕1軍から開花

 福岡ソフトバンクの正捕手争いに旋風が巻き起こっている。現在、チームの捕手の中で最多81試合に出場しているのは、両リーグトップの盗塁阻止率.379を誇る甲斐選手だ。長く続いた正捕手争いの中、すい星の如く現れたシンデレラボーイにフォーカスしてみたい。

 キャリアのスタートは、今にして思えば意外なところからだった。2010年育成ドラフト6巡目、つまりチームで最も遅く名前を呼ばれ、福岡ソフトバンクに入団した。同年のドラフト1位は高校生ナンバーワン捕手の呼び声が高かった斐紹選手。育成4巡目は、現在バッテリーを組んでいる千賀投手だった。

 2013年オフに支配下登録され、背番号も「130」から「62」へ変更となる。そして、2014年の春季キャンプでは、いきなりのA組スタート。その後もアピールを続け、開幕1軍の座をつかんだが、最終的な出場数は1試合に留まった。2015年も、鶴岡選手、細川選手(現・楽天)らによる正捕手争いに割って入ることはできなかった。

 転機は突然訪れる。登録名を名前の「拓也」からフルネームに変更した2017年。2年ぶりに開幕1軍入りを果たすと、4月2日の千葉ロッテ戦でプロ初の先発マスクを被る。東浜投手を好リードし、チームの開幕カード3連勝に貢献する活躍を見せた。その後、1軍での出場は増えていき、スタメンマスクを被る機会も一気に増加した。

 甲斐選手の最大の魅力は、なんといっても強肩だ。二塁への送球タイムは平均1.7秒台。これは12球団最速の数字で、5月28日の北海道日本ハム戦では、球界屈指の俊足を誇る西川選手を完璧な送球で刺し、盗塁を阻止した。さらにパンチ力も兼ね備え、本塁打は8月24日現在で5本。ここぞという場面での勝負強さには光るものがある。

育成同期入団の千賀と好バッテリー、育成出身史上初の2年連続2桁勝利支える

 5月2日の埼玉西武戦では、2点を先制されて迎えた2回裏、2死満塁で打席が回ると、高めの直球を引っ張った。打球はそのまま左翼席へ。プロ第1号が逆転満塁弾となった。さらに、7月19日の埼玉西武戦では、0-2とリードされた3回裏に第4号ソロで1点を返すと、続く4回裏の第2打席では2死一、二塁の状況で2打席連続となる第5号3ラン。4打点を挙げる活躍を見せ、乱打戦となったこの試合の勝利に大きく貢献した。

 甲斐選手は170センチ、75キロ。チームの捕手の中ではもっとも小柄で、千賀投手とは16センチもの差があり、隣に並ぶと体格差が際立つ。同じ年齢で同じ育成出身選手であること、その2人が1軍で先発バッテリーを組むのは、育成制度が導入されて以降初めてのことだ。

 それについて千賀投手は「特別な感情などはない」と語っていたが、育成出身選手としては史上初の2年連続2桁勝利を達成した8月12日のお立ち台では、「今年は拓也(甲斐選手)とずっと組んでますけども、本当に拓也も一生懸命考えてくれますし、良いバッテリー組めてるなと思います」とはにかんだ。

 長らく正捕手を固定できていなかった福岡ソフトバンク。ドラフトで捕手の有望株を獲得してはいるが、なかなか1軍に定着できずにいた。しかし今季、生え抜きの甲斐選手が頭角を現しつつある。ファン、首脳陣の大きな期待を背負いながら、甲斐選手はどのように成長していくのだろうか。熾烈を極める優勝争いの最中、福岡ソフトバンクの屋台骨を支えるこの男から目が離せない。(「パ・リーグ インサイト」編集部)

(記事提供:パ・リーグ インサイト)

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