「MAEKEN」「ICHI」など愛称入り限定ユニで試合開催 MLB珍企画の意図は?

「MAEKEN」「ICHI」など愛称入り限定ユニで試合開催 MLB珍企画の意図は?

ミゲル・カブレラは「MIGGY」、ホセ・アブレイユは「MAL TIEMPO」【写真:Getty Images】

愛称ユニホームはネタ作りだけではない、使用後はオークションに

 大リーグ機構と選手会は、8月25日(日本時間26日)から27日(同28日)までの期間中で「プレイヤーズ・ウィークエンド」を開催する。この日はその初日となった。

 MLBの選手たちは通常の苗字ではなく、ニックネームや愛称を記し、少年野球を意識したカラフルなユニホームを着用して試合に出場。スパイク、バッティンググローブ、バットなども選手たち好みで、いつもとは異なる色合いに溢れた用具を使用することが可能となった。

 ファンにより近い距離で試合を楽しんでもらうのも目的の一つだが、それ以上にマンフレッドコミッショナーが就任時から掲げている次世代への野球普及も根底に置いた企画とも言えるだろう。

 選手たちの特別ユニホームにはメジャーリーガーになる上で最も重要だった人物やチーム名を明記するパッチも設けらた。そのパッチに記されているロゴの絵は少年野球からメジャーリーガーになるまでの過程を描いたもので“エボリューション(進化)”ロゴと命名されている。

ヤンキースは史上初めて名前入りユニホームに

 今回の企画で凄まじいのは、これまでチーム史上ユニホームに名前を明記しない伝統を誇っていたニューヨーク・ヤンキースも賛同していることでもある。全球団が同じ方向を向いて(通常の苗字で参加する選手はいるものの)、これからの野球についての取り組みに参加している。

 日本人選手の多くはあだ名や本名を短くしたものを使用(前田健太は「MAEKEN」、イチローは「ICHI」など)しているが、選手やスタッフの中には非常に意味深いものを活用しているものもある。ミルウォーキー・ブルワーズのカウンセル監督の背中には“THE CHICKEN(ザ・チキン)”と書かれる。直訳だけすると、全く意味が分からないだろう。だがこのニックネームにはあるコーチの壮絶なるストーリーが含まれている。ここでストーリーを綴るには、長くなってしまうため控えさせていただくが、今まで知らなかった選手や監督の一面を知る機会となるかもしれない。

 この「プレイヤーズ・ウィークエンド」開催の1週間ほど前に画期的な試合がメジャーリーグでは開催された。リトル・リーグの聖地といわれるウィリアムズポートでピッツバーグ・パイレーツとセントルイス・カーディナルズの一戦が開催された。

たった2596人の観客の中で行われた試合

 観客数はたったの2596人。少年野球が使用しているスタジアムでの開催のため、これだけの観客しか入ることができなかったが、1試合単位での売り上げを考えたら完全なる赤字だろう。それでも開催に踏み切るのは、野球界の将来のことを考えてのことだ。選手たちも自らの役割を理解した上で試合前にリトル・リーガーたちとの時間を過ごし、少年野球の試合をスタンドから観るなど、未来のための重要な時間を過ごした。

 シーズン終盤のネタ作りの要素だけでなく、しっかりと意味を持った企画作り。今回のイベントで選手たちが着用したユニホームはMLB公式サイトからオークションにかけられ、その売り上げはMLBとMLB選手会共同出資のユース・デベロップメントファウンデーション(青少年育成財団)へと寄付される。これは米国とカナダで次世代の野球とソフトボール普及をさらに行っていくために使われていく予定だ。

 パ・リーグでも形は違うが、「パ・リーグ 親子ヒーロープロジェクト」など多くの親子にプロ野球や球場の楽しさを体験してもらうための企画を形にしている。これを実現していくためにコロコロコミック、ウルトラマンシリーズ、仮面ライダーシリーズなどとタイアップしてリーチを広げている。それ以外にも、球団単位でしっかりと次世代を意識した企画が実施されている。

 日本では間違いなく少子化がやってくるため、次世代へ向けての取り組みを行うことが重要であることは間違いない。今回のメジャーリーグの事例もただのネタ作りではなく、その裏に隠された真意をより深く知ることで今後、参考になってくることも多いかもしれない。(「パ・リーグ インサイト」新川諒)

(記事提供:パ・リーグ インサイト)

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