続々と新星誕生のホークス、「育てながら勝つ」を実践する凄さ

続々と新星誕生のホークス、「育てながら勝つ」を実践する凄さ

ソフトバンク・笠谷俊介【写真:藤浦一都】

今季ここまで9選手が1軍デビュー、「勝利」と「育成」を両立させる凄さ

 続々と新星が出現している。パ・リーグで独走態勢に入ったソフトバンクである。23日の西武戦(ヤフオクD)で、3年目の笠谷俊介投手がプロ初登板を飾ると、その翌日、24日の同戦では笠谷に代わって初めて出場選手登録された2年目の小澤怜史投手がプロ初登板。勝負の終盤戦で、2試合連続で期待の投手が1軍デビューの機会を得た。大きなゲーム差をつけたとはいえ、優勝へと突き進むこのタイミングで「勝利」と「育成」を並行させたことに恐れ入る。

 笠谷と小澤の1軍昇格は、何よりも来季以降を見据えた経験の意味合いが強い。27日のロッテ戦(ヤフオクD)で左肘の遊離軟骨除去手術で離脱していた和田毅投手が先発したが、その和田が入るまでの期間、選手の枠に1つ余裕が出来たのだ。そこで工藤公康監督は若手に1軍の場を経験する機会を与えた。1軍でのプレーの機会を与え、経験と刺激、課題を若手に感じさせ、それをファームに持ち帰って、成長の糧にさせる。これまでにも、指揮官がタイミングを見計らって行ってきた手法である。

 笠谷が登板翌日に登録を抹消されたのはもともと左肘の故障が多かったこともあって過度の登板を控えたのだろう。そこで、小澤に昇格のチャンスが巡ってきた。

 笠谷、小澤の2人はともに無失点のデビュー。笠谷は2イニングを投げて無安打3奪三振。小澤は1イニングを投げ、2安打されたものの、1つの三振を奪った。翌25日の試合では1イニングを投げて3失点したが、1軍での登板は貴重な経験となった。

 ただ、ソフトバンクで今季1軍デビューを飾ったのは、この2人だけにとどまらない。優勝を争う厳しい戦い中で、今季、プロ初昇格初出場を果たした選手が9選手もいる。以下がその面々だ。

今季1軍デビューを果たした選手たち

【投手】
〇石川柊太

 2013年に育成ドラフト1位で入団し、昨季途中に育成選手から支配下へと昇格した右腕。キャンプからA組に抜擢されると、アピールが実り、初の開幕1軍を勝ち取った。4月4日の楽天戦(Koboパーク)で中継ぎとしてプロ初登板。交流戦に入り、チームに負傷者が続出したことから先発ローテに入り、5勝をマークしている。

〇高橋純平

 2015年のドラフト1位右腕。県岐阜商高出身。石川同様、春のキャンプでA組に抜擢された。開幕1軍はならなかったが、4月12日に初めて1軍に昇格し、同14日のオリックス戦(ヤフオクD)でプロ初登板。3回を投げ、6安打4失点とほろ苦いデビュー戦となった。26日に再昇格した。

〇笠原大芽

 2012年のドラフト5位で、昨季のウエスタンリーグ最多勝の左腕。キャンプA組に抜擢されると、初の開幕1軍入り。だが、登板機会のないまま、出場選手登録を抹消され、5月23日に再昇格。5月24日のロッテ戦(ヤフオクD)でようやくプロ初のマウンドに立ち、その後は中継ぎで6試合に登板した。

〇笠谷俊介

 大分商高から2014年のドラフト4位で入団。今季は春季キャンプ終盤から左肘の痛みが出て、リハビリ組に。2軍戦に復帰したのは6月になってからだったが、そこから一気に状態を上げ、8月22日にプロ初の1軍昇格。23日の西武戦で大量リードを奪ったことから8回からプロ初のマウンドに上がり、2イニングを無安打無失点に抑えた。

〇小澤怜史

 高橋と同期入団の2015年ドラフト2位。日大三島高出身。キャンプスタート当初はB組だったが、終盤にA組に抜擢され、オープン戦でも1試合に登板。2軍が関西への遠征中だった23日夜に昇格が決まり、24日に帰福してチームに合流すると、早速その日のうちにデビュー。2安打を許したが、1イニングを無失点に封じた。

〇リバン・モイネロ

 キューバ人助っ人であり、例外ではあるが、5月の入団時は育成選手だった。ウエスタンリーグで3試合5回2/3を投げて8奪三振。6月16日に支配下登録され、そのまま1軍の昇格すると、一気にチームに不可欠な存在へと駆け上がった。ここまで23試合に投げ、3勝1敗8ホールド1セーブ、防御率1.61の好成績を残している。

正捕手の座をつかみつつある甲斐、上林も出場100試合超え

【野手】
〇栗原陵矢

 2014年のドラフト2位で入団した3年目の捕手。今季は2軍の主戦捕手の1人として、ウエスタンリーグでマスクを被る。高谷裕亮の負傷に伴い、6月11日に初の1軍昇格。6月13日の巨人戦(東京D)で代打でプロ初出場。捕手というポジション柄は出場機会は限られていたものの、代打で2試合に出場した。

〇真砂勇介

 2012年のドラフト4位で、昨秋の「第1回 WBSC U-23ワールドカップ」でMVPに輝いた大砲候補。今季の躍進が期待されていたものの、オープン戦で結果が出ずに、開幕1軍を逃した。その後も苦しいシーズンを送ってきたが、7月26日に初昇格。7月30日の日本ハム戦(ヤフオクD)で初先発初出場。8月3日のオリックス戦(京セラD)ではプロ初安打初本塁打を放った。

〇曽根海成

 2013年の育成ドラフト3位。今季は育成選手としてスタートしたものの、キャンプに1軍に抜擢されると、開幕直前に支配下登録される。開幕1軍は逃したものの、7月13日のフレッシュオールスターでMVPを獲得。7月27日にプロ初昇格を果たした。同日の楽天戦(Koboパーク)で代走で初出場を果たすと、同29日の日本ハム戦(ヤフオクD)では初スタメンで起用された。

 この9人に加え、昨季1軍で1試合にだけ登板していた松本裕樹や、同じく1試合に途中出場していた釜元豪も1軍での出場機会を得た。松本は一時先発ローテに入り、プロ初勝利を含む2勝を挙げている。昨季までの出場が計15試合の甲斐拓也は正捕手の座を掴みつつあり、昨季まで計29試合の出場だった上林誠知も今季は100試合を超えるなど、首位を走る強さを誇りながら若手の台頭も目立つシーズンとなっている。

 若手を積極的に1軍へと昇格させている工藤公康監督だが、上げた選手は必ずと言っていいほど、試合に使う。投手はほぼ確実に登板機会を得ているし、捕手はなかなか難しいものの、野手の真砂や曽根はそれぞれスタメンでも試合に起用されている。育てながら、勝つ。野球界において至難の業といえることを、今季のソフトバンクは実践している。(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)

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