まさに「いぶし銀」、ますます存在感を高める西武・炭谷銀仁朗

まさに「いぶし銀」、ますます存在感を高める西武・炭谷銀仁朗

西武・炭谷銀仁朗【写真:編集部】

存在感放つ30歳・炭谷

 パ・リーグのペナントレースはここへきて異変が起こっている。故障者続出で失速した楽天に代わって西武が2位にのし上がった。この西武にあって渋い存在感を見せているのが捕手の炭谷銀仁朗だ。

 今季は炭谷の2歳下、28歳の岡田雅利が出場試合数を増やしている。正捕手炭谷の立場危うしというところだが、エース菊池雄星の相方はすべて炭谷、ベテランのウルフの捕手も炭谷。まだまだ首脳陣は、炭谷に信頼を寄せている。

 菊池は2段モーションにより反則投球を宣告され、シーズン中のフォームの改造を余儀なくされた。そんなエースをマスク越しに支えたのは12年目の炭谷だったのだ。今季は規定打席未達ながら打率は.254、OPSも.613とキャリアハイ。地味ながらもまだまだポジションを譲る気はない。

 名門・大阪桐蔭高から大阪ガスを経て2014年に入団した岡田雅利は、強肩が売りの捕手。しかし打撃では打率.202と苦戦している。

競争の歴史、西武の正捕手の系譜

「地味ながら存在感あり」――。これは、西武ライオンズの捕手の伝統だと言える。1979年、福岡から埼玉に移転し、西武ライオンズとなってから38年、この間、正捕手はわずか6人しかいない。

 以下が西武の正捕手(最多出場)の系譜だ。

1979年 野村克也
1980年 吉本博、大石友好
1981〜83年 大石友好
1984〜08年 伊東勤
2005〜08年 細川亨
2009年 銀仁朗
2010年 細川亨
2011年〜 銀仁朗(炭谷銀仁朗)

 西武ライオンズ初代正捕手は、レジェンド野村克也。以後、吉本博、大石友好を経て現ロッテ監督の伊東勤、さらに現楽天の細川亨、そして炭谷銀仁朗と続く。

 この系譜を見てもわかるように、正捕手の継承は、穏やかに行われたわけではない。野村の後釜を争った吉本博、大石友好、そして細川亨と炭谷銀仁朗、正位置を取ったり取り返されたり、激しい正捕手争いの果てに決まるのだ。2011年、炭谷との正捕手争いに決着がついて、細川亨はソフトバンクに移籍している。

 この38年間、西武ライオンズの正捕手で、3割を打った選手も20本塁打を打った選手もいない。端的に言えば「専守防衛」だが、ベストナインを合わせて12回、ゴールドグラブ(ダイヤモンドグラブ)を14回も獲得している。西武の捕手は正統派の「守備の要」だと言えよう。

 今季の捕手としての出場試合数は炭谷が92試合、岡田が54試合、ここ10試合は5試合ずつ。ポジション争いは激しさを増しているが、シーズン最終盤、そしてポストシーズンと、捕手の頭脳がモノを言う局面が増えてくる。この部分では炭谷に一日の長があるようだ。まさに「いぶし銀」の活躍に期待したい。(広尾晃 / Koh Hiroo)

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