漫画の影響で女子野球選手に 全員18歳以下でアジア王者に輝いた日本の主将

漫画の影響で女子野球選手に 全員18歳以下でアジア王者に輝いた日本の主将

野球女子日本代表・吉井温愛主将【写真:Getty Images】

全員が18歳以下のメンバー構成で全勝優勝、初開催のアジアカップを制覇した日本

「第1回 BFA 女子野球アジアカップ」(香港)は6日、大会5日目が行われ、日本はインドに17-0の4回コールド勝ち。前日の香港戦に勝利し、優勝が決まっていたが、最終戦も快勝した。18歳以下の高校生年代で参戦し、無傷の5戦全勝で初代女王に。吉井温愛主将(履正社高)は「優勝できたのはとても嬉しいです」と声を弾ませた。

 チームは若手選手の育成と技術力向上を目指し、高校生で編成された。その中でキャプテンとしてチームをまとめた吉井主将は「いつもは敵で、ライバルでもあるので、最初はチームメイトとしてプレーするのに違和感がありました。それでも、段々と慣れてくると、その選手のいいところだったり、特徴だったりをつかめてきて、野球をやっていても楽しいし、日常生活も一緒にいて楽しかったです。元気があり、笑顔が絶えないチームでした」と振り返り、名残惜しそうだった。

 吉井主将は1戦目の韓国戦は途中出場だったが、2戦目のチャイニーズ・タイペイ戦から「2番・遊撃」で出場。堅実な守備と打線のつなぎ役としてチームに貢献した。特にチャイニーズ・タイペイ戦は0-1の6回、1死一、三塁でレフトに同点打を放った。

 福岡県出身の吉井主将は野球漫画『MAJOR』の影響を受け、小学1年の冬から野球を始めた。登場人物の女子選手を見て、「女の子も野球ができるんだと思ったようで、野球をしたいと言い出しました」と母・小織さん。1つ上の兄は妹を追って野球を始めた。小学2年の時には女子も高校まで野球を続けられると知り、ランニングや壁当て、素振りを毎日繰り返すようになった。

 中学までは男子に混ざって野球に打ち込み、いざ高校を選択する段階になった時、知人を通じて履正社高を見学。練習に参加し、今回の代表監督であり、履正社高女子硬式野球部を指導する橘田恵監督に女子プロ野球選手になりたいという夢を話した。すると、橘田監督からは「先にJAPANのユニホームを着てみないか」と言われた。

毎試合のスタンドあいさつで笑い誘う、「次はフル代表に選ばれて一緒にまたみんなと」

 地元・九州の女子硬式野球部がある高校を目指していたが、履正社高への進学を決意。母・小織さんは「橘田監督が日本代表を目指さないかと言ってくださり、本人の目標が変わりました。JAPANという世界があることを教えてくださったことで目の色も変わり、いつかユニホームを着たいと。ここに来るまでにいろんな方のサポートがあり、応援もしていただきました」と感謝する。

 目指してきた日の丸を背負い、戦い切った。それも、キャプテンとして。全ての試合前と後のスタンドあいさつでは、日本から応援に来ている家族らに向かって、一言を添えた。履正社高のスタイルだ。

 初戦の韓国戦前は「Welcome to Hong Kong!」から始まり、ドッと沸いた。チャイニーズ・タイペイ戦は「昨日よりも応援に来ている方が増えているので、その分を力に変えて、一生懸命、最後まで頑張りたいと思います。応援、よろしくお願いします」と話して挑み、0-1からの逆転勝ちに「心臓を止まらせてしまうような試合をしてしまい、申し訳ございませんでした」と“謝罪”。「応援よろしくお願いします」だけではなく、思わず笑みがこぼれる言葉がチームを和ませた。

 戦いを終え、吉井主将は「日本の日の丸を背負って、プレーしているんだなと思うと、試合中のピンチではいつもより重圧感がありました」と振り返った。ただ、その特別なプレッシャーが成長もさせてくれた。そして、また新たな目標もできた。

「日本に帰っても野球を続ける人が多いと思います。この大会は高校生で挑みましたが、次はフル代表に選ばれて、一緒にまたみんなとプレーしたいです。これで満足せず、お互いに頑張って、上の方でも一緒にできるように頑張っていきたいと思います」(高橋昌江 / Masae Takahashi)

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