悪夢の骨折が一転チャンスに…ロッテ三木が得た井口と過ごす大切な時間

悪夢の骨折が一転チャンスに…ロッテ三木が得た井口と過ごす大切な時間

ロッテ・三木亮【写真提供:千葉ロッテマリーンズ】

遊撃レギュラー獲り目前に右手親指と人差し指を骨折

 千葉市内の病院で行われた検査の結果は右手母指末節骨骨折、右手第二指中手指節関節剥離骨折だった。8月24日のイーグルス戦(ZOZOマリンスタジアム)で三木亮内野手は4回の打席で右手に死球を受けて骨折。全治3〜4週間と診断された。それまで85試合に出場をして打率.242、2本塁打、19打点。遊撃のレギュラーの座をつかみかけていた。だからこそ、もっとアピールすべく燃えた。そんな矢先の最悪のトラブル。頭は真っ白になった。

「ショックでした。スタメンで出させてもらう機会も増えて、ここからという時。最後までスタメンで出たかった。悔しい。ただ、割り切るしかないと思った。やってしまったものは、もうどんなに悩んでも変わらない。今、できることをしないといけないと」

 腫れはだいぶ引いたが、まだ利き腕の患部を固めた状態が続いている。私生活でも箸を右手で持つことができず、食事は左手で少しずつ食べるしかない。どうしても暗くなりそうな毎日の中で、なんとか前向きに日々を過ごそうと懸命になった。そんな矢先、今季限りで現役引退を表明した井口資仁内野手が8月27日のホークス戦(ヤフオクD)後に「若手にチャンスを与えてほしい」と首脳陣に願い出て、1軍登録を抹消になった。引退試合が行われる9月24日まで2軍の本拠地であるロッテ浦和球場で調整を行うことになったのだ。

「これを機に色々と話を聞いてみようと思いました。1軍の時は試合前も試合後も、なにかと準備があって気持ち的にもバタバタしていて、ゆっくりとは話を聞けない。今はチャンスだと思います。このチャンスにいろいろな事を根掘り葉掘りと聞こうと思っています」

2軍球場での時間を利用「一日、一つひとつ色々と聞こうと思っています」

 もちろん、これまで1軍でも色々とアドバイスをもらってきた。昨年からは食事にも何度も連れて行ってもらい、色々と話を聞けた。ただ、もっともっと深く細かく聞きたいという願望があった。リハビリ組としてロッテ浦和球場で取り組んでいる今こそ、同じこの球場で引退試合に向けた調整を行っている大ベテランに時間をかけてじっくりと話を聞く最大のチャンスと感じた。

「一日、一つひとつ色々と聞こうと思っています。昨日は『井口さんの中で打撃に関してどれくらいチェックポイントがありますか?』と聞きました。細かく色々と話をしてくれた。『ホークス時代に王(貞治)監督はこんな話をしていた』ということも教えてもらいました。正直、自分たちは王会長の話は聞けない。でも井口さんを通して聞くことができて、とても勉強になった」

 リハビリは、骨折をしていない左手でのノックや片手のティー打撃やウェート中心。残った時間は大先輩を探し、時間が空いているところを見計らって、質問を投げかける日々を過ごしている。今しかできない事。この時間を大切に有効利用している。

 三木には忘れられない思い出がある。ある時、首脳陣から若手選手たちが全体練習前に早めに球場入りしての特守を言い渡された。数日後、「明日はナシ」と通達された。そして翌日、全員が指示された全体練習に合わせて集合をした。この光景を見ていた1軍首脳陣は若手選手たちに苦言を呈した。その後、ロッカーに戻った時、井口からも声をかけられた。

ベテラン井口の言葉で目覚めた三木「何のために練習をするか」

「言われた意味はどういうことか分かっているよね? やらされているから、やる。やらされていないからやらない。それではただ、やらされて練習をしているだけ。何のために練習をするか、自分にはどんな練習が足りていないかと考えて、自分のためにどれだけ毎日の時間を有効利用して行うかだよ。この世界で生き残るのはそういう人。オレもメジャーも含めて色々なチームを見てきたけど、凄い人はみんな時間を自分のために有効利用をしていた」

 ハッとさせられた。そして自分の行いを悔いた。それ以降は自分自身としっかりと向き合い、時間を惜しみ、その日のできることはすべて行うという姿勢を貫いている。そして的確なアドバイスをくれた背番号「6」の動きをチェックしてきた。

「井口さんはホームゲームでの練習時間でも若手と同じぐらいの時間にグラウンドに出てきて、若手と同じようなメニューを消化して体を動かしている。今年は代打の場面も多かったけど、ベンチで見ていてとても入念に準備をして備えていた。準備をする大切さを教わった」

 教わったことはあまりにも多い。そして今もロッテ浦和球場で沢山のことを聞いている。不思議と戦線離脱をしてクヨクヨしていた自分が、ポジティブに前を向くようになっていた。同じ内野手として憧れ、畏敬の念をもって過ごしてきた。背番号「6」の背中はどこまでも尊く、大きい。ただ、一緒に過ごした時間、聞いた言葉の数々を財産に1軍復帰した時には成長した姿を見せようと誓う。(マリーンズ球団広報 梶原紀章)

(記事提供:パ・リーグ インサイト)

関連記事(外部サイト)