「先輩」のような強烈キャラでなくても…松本が誠実さで日ハムの希望になる

「先輩」のような強烈キャラでなくても…松本が誠実さで日ハムの希望になる

日本ハム・松本剛【写真:石川加奈子】

帝京高校では4番・キャプテンだった松本、今季の日ハムの希望の1つに

 名門高校の4番・キャプテンを務めながら、プロ入り後は5年間苦しみ抜いてきた24歳の若武者が、いよいよ開花の時を迎えようとしている。北海道日本ハムの松本剛が、外野の一角として今季レギュラーに定着した。打線のつなぎ役として、中島卓に次ぐ19犠打を記録しつつ、3割近い打率を残して存在感を発揮し、チームにとっては来季以降に向けた大きな希望の1つとなっている。

 帝京高校時代には1年時からレギュラーを務め、春夏通算で3度の甲子園に出場した経験を持つ松本。最終学年ではキャプテンとして名門校を引っ張り、甲子園でも後にチームメイトとなる大谷から決勝打を放つなど活躍した。しかし、2011年のドラフトで2位指名を受けて北海道日本ハムに入団後、攻守で大きな壁に直面してしまう。

 高校時代は遊撃手を務め、入団会見でも「走攻守すべてを生かし、金子誠さんのようにどんな場面でも安定感のあるプレーを心がけていきたいと思います」と、長年、北海道日本ハムを支えた守備の名手を目標に掲げていた松本。しかし、プロ1年目にはイースタン・リーグの遊撃手としてはリーグ最多となる28失策を喫し、守備面での大きな課題を露呈してしまう。2014年にも二塁手としてリーグ最多タイの12失策を記録するなど安定感を欠き、打撃面でもなかなか殻を破れず。2016年までの5年間で、1軍出場は25試合のみに終わってしまった。

 ところが今季、真摯に努力を続けていた松本へ、ついにチャンスがめぐってくる。開幕こそ2軍スタートとなったが、故障者が続出した影響もあり、外野手として1軍から声がかかる。そして、昇格2日後の4月25日の福岡ソフトバンク戦では、日本を代表する右腕の1人である千賀から2本塁打。首脳陣とファンに強烈なインパクトを残して、勢いそのまま1軍定着を果たした。

「森本さんや杉谷さんのような強烈キャラを目指すのは難しいでしょうが…」

 松本の打棒は交流戦に入ってからさらに磨きがかかり、規定打席到達者の中では、広島の丸に次いで2位、パ・リーグの選手としてはトップとなる打率.396という好成績を残して日本生命賞を受賞した。打線では2番を務めるなど首脳陣の信頼も厚くなっていき、9月7日終了時点で91試合304打数89安打4本塁打25打点、打率.293と好調を維持している。

 帝京高校から北海道日本ハム、といえば、森本稀哲氏や杉谷のように、明るくチームを盛り上げる選手たちの存在が思い出される。松本も入団会見では「(高校の先輩である)森本さんや杉谷さんのような強烈なキャラクターを目指すのは難しいでしょうが、少しでも近づけるよう自分なりのものを確立したいと思っています」と語っていた。

 しかし、持ち前の溌溂としたキャラクターで人気を博した先輩とは違い、プロ初打点を記録した試合でも一塁上でガッツポーズを見せず「ベンチが盛り上がっていたから、照れとうれしさがあって。控えめな性格なので」と振り返るほど、松本の性格は謙虚だ。常に挨拶を欠かさず、真面目に練習に取り組む姿勢が周囲から高評価を受ける。強烈なキャラクターはなくとも、その誠実な人柄こそが松本の魅力の1つだろう。

 現在は同じチームで戦っている松本と栗山監督だが、テレビ番組の取材を通して帝京高校1年時の頃から親交があったことでも知られる。松本がサヨナラ打を放った7月20日の試合後、栗山監督は「(松本は)自分の形が1軍で出せるようになってきた」と目を細めた。ついに1軍の舞台で才能を開花させ、優れた人柄とプレーでチームを引っ張る存在に成長しつつある松本。シーズンも残り僅かだが、これから若きリーダー候補生が見せるプレーの数々にも要注目だ。(「パ・リーグ インサイト」望月遼太)

(記事提供:パ・リーグ インサイト)

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