歓喜の瞬間は誰に託される? 意外と少ない過去20年の「胴上げ投手」

歓喜の瞬間は誰に託される? 意外と少ない過去20年の「胴上げ投手」

2016年に完封勝利で胴上げ投手となった日本ハム・大谷翔平【写真:(C)PLM】

昨年は大谷が完封で胴上げ投手に、過去20年で優勝チームは「40」あるが…

 昨年の大谷翔平投手(北海道日本ハム)による125球完封劇は記憶に新しい。緊張、不安、恐怖、安堵…。あらゆる感情を歓喜に変え、リーグ優勝が決まった瞬間に爆発させるナインの様子は感慨深いものがある。

 毎年のように見られるシーンではあるが、過去20年でその瞬間を直接手繰り寄せた投手はパ・リーグとセ・リーグを合わせて21人のみ。サヨナラ勝ちやマジック対象チームの敗戦によるペナントレース覇者が決定することがあるため、40のリーグ優勝チームに対して、およそその半数しか「胴上げ投手」が誕生していない。

「胴上げ投手」の捉え方はさまざまだが、ここでは「リーグ首位のチームが自ら優勝を確定させた試合で勝利した瞬間に投げていた投手」に絞り、喜びの輪の中心にいた投手たちを紹介したい。

※パ・リーグの2004年、2005年はリーグ優勝を決めるプレーオフ最終戦の試合が対象

【パ・リーグ】
○1997年 森慎二氏(西武)
10月3日・福岡ダイエー戦(西武球場)
1回 9球 無失点 2-1

○1998年 橋本武広氏(西武)
10月7日 大阪近鉄戦(西武ドーム)
1回 8球 無失点 5-2

○1999年 ペドラザ氏(福岡ダイエー)
9月25日 日本ハム戦(福岡ドーム)
2/3回 10球 無失点 5-4

○2000年 ペドラザ氏(福岡ダイエー)
10月7日 オリックス戦(福岡ドーム)
1回 7球 無失点 1-0

○2004年 石井貴氏(西武)
10月11日※ ダイエー戦(福岡ドーム)
1回 11球 無失点 4-3

○2005年 小林雅英氏(千葉ロッテ)
10月17日※ 福岡ソフトバンク戦(ヤフードーム)
1回 13球 無失点 3-2

○2007年 MICHEAL氏(北海道日本ハム)
9月29日 千葉ロッテ戦(千葉マリン)
1回 22球 無失点 9-1

○2011年 馬原孝浩氏(福岡ソフトバンク)
10月1日 埼玉西武戦(西武ドーム)
1回 12球 無失点 3-0

○2013年 田中将大投手(東北楽天)
9月26日 埼玉西武戦(西武ドーム)
1回 19球 無失点 4-3

○2015年 サファテ投手(福岡ソフトバンク)
9月17日 埼玉西武戦(ヤフオクドーム)
1回 26球 無失点 5-3

○2016年 大谷翔平選手(北海道日本ハム)
9月28日 埼玉西武戦(西武プリンスドーム)
9回 125球 無失点 1-0

セ・リーグの「胴上げ投手」は?

【セ・リーグ】
○1997年 吉井理人氏(ヤクルト)
9月28日 阪神戦(神宮)
9回 106球 1失点 16-1

○1998年 佐々木主浩氏(横浜)
10月8日 阪神戦(甲子園)
2回 28球 無失点 4-3

○2001年 高津臣吾氏(ヤクルト)
10月6日 横浜戦(横浜)
1回 8球 無失点 6-4

○2005年 久保田智之氏(阪神)
9月29日 巨人戦(甲子園)
1回 16球 1失点 5-1

○2006年 岩瀬仁紀投手(中日)
10月10日 巨人戦(東京ドーム)
2回 26球 無失点 9-3

○2009年 クルーン氏(巨人)
9月23日 中日戦(東京ドーム)
1回 20球 無失点 5-3

○2011年 浅尾拓也投手(中日)
10月18日 横浜戦(横浜)
2回1/3 27球 無失点 3-3

○2012年 西村健太朗投手(巨人)
9月21日 東京ヤクルト戦(東京ドーム)
1回 17球 無失点 6-4

○2014年 マシソン投手(巨人)
9月26日 横浜DeNA戦(横浜)
1/3回 8球 無失点 6-3

○2016年 中崎翔太投手(広島)
9月10日 巨人戦(東京ドーム)
1回 22球 無失点 6-4

 投手の分業制が確立した近年を象徴するように、「胴上げ投手」には各チームのクローザーが多く名を連ねる。役割が細分化されるほど、1998年の佐々木氏や2006年の岩瀬のような複数イニングをまたいでのV投球は稀有になりそうだ。セ・リーグでは特にクローザーのゲームクロージングによるリーグ優勝決定が顕著で、8人がシーズンで25セーブ以上を挙げている。また、先発した投手を除く19人のうち16人が3点差以内での救援登板で、クローザーへの祝儀の色が濃い起用は少ない。

2013年の田中はリーグ優勝、CSファイナル、日本Sで「胴上げ投手」に

 過去20年の「胴上げ投手」はパ・リーグがいずれも無失点で、セ・リーグも2006年以降は点を取られていないのが特徴だ。前述の大谷のように、先発投手が最初から最後まで投げ切ったケースは特殊で、1997年の吉井氏まで遡る必要がある。

 先発投手をリリーフとして投入するパターンも見られる。2004年の石井貴氏(西武)はシーズン14登板とも先発で、プレーオフに突入しても第2ステージの初戦でまっさらなマウンドに立った。その際は4回1/4を投げて5失点で負け投手になったが、シリーズ勝ち抜けを決する第5戦ではチームが延長10回に勝ち越した直後に救援登板。大一番の試合を締めくくると、その後、日本シリーズで2先発して2勝、13イニングス無失点のピッチングでMVPを獲得した。

 2013年の田中将大投手(楽天)はリーグ優勝決定試合にとどまらず、クライマックスシリーズのファイナルステージ第4戦、日本シリーズ第7戦でも9回からリリーフして、自らの手で東北に3度の歓喜をもたらした。

 今年のパ・リーグは、マジックを1とした福岡ソフトバンクがメットライフドームへ乗り込んで、9月16日から2位の埼玉西武と3連戦を戦う。過去20年、埼玉西武の本拠地での胴上げ5回は、球場別では両リーグ最多タイと縁起がいい。舞台は整った。最高のクローザーを擁する福岡ソフトバンクが、半年にも及ぶペナントレースの幕を引く瞬間は近い。(「パ・リーグ インサイト」藤原彬)

(記事提供:パ・リーグ インサイト)

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