陰の功労者ソフトバンク岩嵜、リーグ最多70試合登板、守護神サファテに繋ぐ

陰の功労者ソフトバンク岩嵜、リーグ最多70試合登板、守護神サファテに繋ぐ

ソフトバンク・岩嵜翔【写真:荒川祐史】

防御率は1点台の安定感、45ホールドポイントは2位以下を圧倒

 昨季の屈辱を晴らした。9月16日の西武戦(メットライフD)で、ソフトバンクは2年ぶりとなるリーグ制覇を決めた。選手たちの手で7度、工藤公康監督は宙を舞った。大逆転でのV逸を喫した昨季から1年。優勝監督インタビューで「この日のためにやってきました」と話す指揮官は声を震わせ、目から涙がこぼれ落ちた。

 2位の西武に14.5ゲーム差をつけてのぶっちぎりVを果たしたソフトバンク。22日現在、90勝44敗と、46個の貯金を生み出している今季の戦い方は、典型的な「先行逃げ切り型」だった。序盤にリードを奪うと、終盤は鉄壁のリリーフ陣で逃げ切る。6回終了時点でリードしていた試合は、優勝を決めた試合までで74勝1敗という驚異的な成績をマークした。

 今季のパ・リーグMVP最有力は、守護神のデニス・サファテ投手だろう。シーズンセーブ記録のプロ野球記録を更新し、前人未到の50セーブに到達。現在51セーブをマークしており、これは驚異的な数字だ。クローザーとして、この男がいたからこそ、この戦いができた。ただ、サファテにバトンを繋ぐまでに追いつかれていては元も子もない。サファテに繋ぐまでの過程、特に8回を担うセットアッパーの岩嵜翔の存在は大きかった。陰のMVPと言ってもいいほどの働きだった。

 既に、今季リーグ最多の70試合を投げている岩嵜。2010年に攝津正が記録したシーズン71試合登板の球団記録にあと1と迫り、ここまで5勝2敗40ホールド2セーブを上げ、防御率は1点台の1.92。45ホールドポイント(HP)は、2位で並ぶ西武シュリッター、チームメートの森唯斗の33HPを大きく上回り、最優秀中継ぎ投手の座も、ほぼ確実なものとしている(31HPの楽天ハーマンが残り15試合を残しているため確定はしていない)。シーズンを通してフル回転しながらも、大きな失速をすることなし。確かに、疲れの見える試合はあったものの、シーズンを通してのこの成績は賞賛に値する。

 接戦が多かった今季の中で喫した2敗は、いずれも同点の場面だった。5月21日の西武戦(メットライフD)での9回にサヨナラ負け。6月17日の広島戦(マツダ)では同点の8回に勝ち越された。だが、リードを奪った状況では、たとえ救援に失敗したとしても、勝ち越しは許さずに同点でとどめ、その後にチームに勝つチャンスを残した。優勝を決めた直後にリリーフ陣について問われた工藤監督は「絶対に勝ち越されない、リードをそのまま終わらせてくれたのが彼ら」と話していたが、まさに岩嵜のピッチングは、この言葉通りだった。

先発ローテ入りを目指すも定着できず、転機となった中継ぎ転向

 2007年の高校生ドラフト1巡目で市立船橋高校からソフトバンク入りし、今季ではや10年目。これまでは先発として毎年のように期待されながらも、2011年の6勝が最高だった。2013年に主に中継ぎで47試合に登板したが、その後も目立った活躍を見せられず。転機となったのは、昨季途中の中継ぎへの配置転換だった。

 昨季は開幕1軍を逃したが、5月中旬に昇格を果たすと、しばらくは主にロングリリーフでの起用となった。6月末から約2か月間は先発でも起用されたが、9月から再びリリーフになると、終盤には勝利の方程式に組み込まれるまでになった。150キロ超を誇るストレートとフォークを武器とする岩嵜にとって、1イニングを全力で投げるセットアッパーというポジションが見事にハマった。

 今季もキャンプまでは先発、リリーフ双方の可能性があったが、結果的にはリリーフに落ち着いた。開幕直前にはセットアッパーとして計算されていたスアレスがWBCで右肘を故障し、トミー・ジョン手術を受けて今季を棒に振ることに。このスアレスが入るはずだった8回を見事に担い切ったのが岩嵜だった。

 優勝を決めた試合では、点差が開きながらも、モイネロ、サファテとともにマウンドに上がった岩嵜。指揮官は「お礼の意味を込めて、今日は投げさせたいと思っていた。彼らがいなかったら、どうなっていたかわからないくらい」と感謝の思いを述べた。守護神サファテはもちろんだが、岩嵜もまた、優勝に多大な貢献をした1人だった。(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)

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