及川雅貴「叱った覚えがないくらい」リトルシニア監督が振り返る“元スーパー中学生”の人間性

及川雅貴「叱った覚えがないくらい」リトルシニア監督が振り返る“元スーパー中学生”の人間性

将来的には先発起用構想もある(C)共同通信社

【虎の「伏兵」身上調査】#4

 及川雅貴(2年目・投手・20歳)

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 2016年の中学3年時に140キロをマークし、「スーパー中学生」としてテレビ番組に出演したことがある。同年にはU15日本代表のエース格として、準優勝に貢献した。

 及川が所属していた千葉・匝瑳リトルシニアの越川康弘監督は、当時をこう振り返る。

「びっくりするくらい素直で、まったく手が掛かりませんでした。叱った覚えがないくらいです。U15に選ばれても、まったく調子に乗らないし、自慢することもない。練習では率先して声を出すし、こちらが指示を出さなくても自力で頑張れる子だった」

 華々しい投球を見せた一方で、忍耐の時期も経験している。

「中3の春まで成長痛に悩まされ、試合に出られないことが多かったんです(中3時で身長181センチ)。牽制やフィールディングは上手でしたが1、2年時はコントロールがイマイチで(笑い)。四球を気にしないよう、『最後に三振を取ればいいぞ』と声をかけるなど、のびのびやらせました。田舎だったから、できたことですね。そうしているうちに体がだんだんと出来上がっていきました」

 匝瑳市は人口約3.5万人。県北東部の海沿いにあり、日本最大級の砂浜海岸である九十九里浜が広がる。

 そんな及川のもとには50近い高校から声が掛かったが、9月ごろまで熟考した上で横浜を選んだ。

 1年春からベンチ入りすると、最速153キロをマークするまでに。1年夏、2年夏、3年春の計3回、甲子園に出場。U18合宿にも呼ばれ、佐々木朗希(ロッテ1位)、奥川恭伸(ヤクルト1位)、西純矢(阪神1位)らと共に「高校BIG4」といわれた。

 3年時に調子を落としたこともあり1位では指名されなかったが、3位で阪神へ入団。2年目の今季、5月28日の西武戦で一軍デビュー。七回1死からマウンドに上がり無失点に抑えると、同30日にはプロ初勝利を挙げた。以降、中継ぎとして35試合登板、2勝3敗9H、防御率3.67。勝ちパターンの救援投手が足りない中、「七回の男」を担った試合もある。

「予想以上の成長速度ですよ」とは阪神OB。

「一軍で主力になるには、少なくとも3年以上かかると思っていました。“異例”の環境がプラスになっていると思います。19年のドラフトは1位から5位まで高校生。お互いが刺激を受けるだろうし、シャイなところがあるので、同級生が多い分、慣れないプロの世界で心強いはず。同じ『高校BIG4』でドラ1の西純矢は今年5月、一足先に一軍デビューして先発でプロ初勝利。よきライバルとして、いい影響を受けているようです」

 同級生の奥川、宮城はすでにチームトップクラスの成績を残し、佐々木も西純も能力の高さを見せている。近年では「最強世代」と言っていい。プロ入りは3位だったが高校時代に肩を並べたドラ1たちに負けない活躍を見せたいところだ。

(次回は馬場皐輔投手)

▽及川雅貴(およかわ・まさき) 2001年4月18日、千葉県匝瑳市生まれ。中学時代に最速140キロを記録し、U15日本代表に選ばれた。横浜高時代は3度の甲子園を経験。19年ドラフト3位で阪神に入団。身長184センチ、体重78キロ。左投げ左打ち。

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