広陵・中井哲之監督が語る「指導歴35年」の秘訣と指導方針

広陵・中井哲之監督が語る「指導歴35年」の秘訣と指導方針

広陵の中井監督(C)日刊ゲンダイ

26日に登場する広陵(広島)の中井哲之監督(56)は1990年に就任。85年からのコーチ兼副部長時代を含めると、指導歴は35年目を迎える。社会科教諭ながら寮生活を送り、生徒と寝食を共にする中井監督に指導方針などを聞いた。

■高校野球で人生終わりじゃない

 ――監督を長く続ける秘訣は何ですか?

「監督になったとき、生徒と一生付き合える監督になろうと思った。(昨年3月に他界した)親父が就任当初からずっと、『他人の方から信頼されてお子さまを預かっているのだから、きちんと最後まで面倒を見ろ』と言ってくれていた。野球部は『家族』。常に真剣に本気で向き合ってきた。厳しいことも言う。人として当たり前のことを当たり前に伝えないと。子どもたちは高校野球で人生が終わるわけじゃない。その後の人生の役に立てる『野球道』でないといけない。そういう信頼関係のもとでやってきたから、僕の気持ちも子どもの気持ちも折ることもなく、ずっと続けられているのかなと思いますね」

 ――就任当初から?

「『若い時と今と、同じことを言っている』と教え子が言ってくれる。勝つためだけなら、高校の選択肢はたくさんある。今の子なら、自由気ままとまでは言わんでも、褒めてさすって、その気にさせとった方がよう動くでしょう。大人の世界は好き嫌いは関係なく付き合わないといけないが、好き嫌いで判断するのは子どもの“特権”なんです。なので、この人に怒られるならしょうがない、怖いじゃなく、信頼される存在でないと」

 ――そのためにどんな言葉を?

「入学を希望する中学生には『親が好きか?』と聞く。『一番大事な存在である親にきちんと挨拶せえよ、そしたら親は野球をさせてよかった、この学校に預けてよかったと思ってくれるんだぞ』と。高校に行って野球ができるということは、親御さんが何かを我慢している。何万円もする洋服を買わず量販店のにしたり。そういうことは中学生にはわからない。保護者とは? 年に1回の保護者会以外は接しない。利害関係があるから僕が勘違いされるし、子どももかわいそうです」

 ――勝利至上主義の学校とは一線を引いていると。

「そりゃ僕だって勝ちたい。子どもらも甲子園に行きたいと思って入ってくる。ただそれが一番になってはいけない。子どもに『俺が一回でもおまえに来てくれと言うたことがあるか? おまえが来たいと思って来たんだろ? なら本気で頑張れ』と言うことがある。人を集めて勝つことが職業になっている人がいるが、それでその子たちがうまくいけばいいけど、ちょっとでも失敗したら絶対に人のせいにする。ウチの子が小、中時代のチームに挨拶に行って、『本気で野球をやりたい、男とか人を学びたいやつは広陵が絶対にいい』と言っているという話を聞いたり、卒業生が『僕の子どもを預けるまで続けて下さい』と言われると非常にありがたいです」

 ――いつまで監督をやり続けますか?

「しがみついてまで監督をやり続けたいとは思わない。必要とされればやるし、そうでなければ潔く身を引く。子どもが卒業してからも、ちょっとつまずいたやつには、当たり前のことを伝えてやれる存在でありたい。そのためにも、今まで通り真っすぐ生きていきたいですね」

関連記事(外部サイト)