ヤンキース田中将大は飛ぶボール極秘導入の最大の被害者

ヤンキース田中将大は飛ぶボール極秘導入の最大の被害者

メジャーで最も本塁打を浴びている田中将大(C)AP

コラム【メジャーリーグ通信】

 今シーズン、メジャーリーグの日本人投手は本塁打を打たれまくっている。3年前の2014年、日本人投手は9イニング当たり0.95本打たれていたが、今季は1.44本。3年前より52%も一発を食う確率が高くなっていることになる。

 だが、これは日本人投手に限ったことではない。メジャーリーグ全体で見ても、本塁打が出る頻度は3年前に比べて48%も増えているのだ。

■原因

 本塁打数が急増したのは秘密裏に飛ぶボールが導入されたからだ。この飛ぶボールは、今年から一気に導入されたのではなく、一昨年のシーズン後半から一部で導入、昨年それが拡大され、今季からすべての球場で使用されるようになったようだ。これは「9イニング当たりの本塁打数」の変遷にも表れていて14年に0.86本だったものが、15年は1.02本、16年は1.17本、今季は1.28本と右肩上がりで増えている。

■ニューボールの正体

 米国ではすでに、スポーツ科学の研究者らが以前のボールと現在の使用球を比較・調査する実験を行っている。重量面では以前のボールが規定(141.7〜148.8グラム)の上限に近かったのに対し、ニューボールは規定の下限に近いこと、縫い目が以前より低くなっていること、硬度が以前より増し反発係数が高くなっていることなどが判明している。

 それにより、ニューボールは以前より2メートル前後飛ぶようになり、フライが本塁打になる比率は14年の9.5%から今季は13.8%にアップしている。ちなみにこの比率が今季メジャーで一番高いのがヤンキースの田中将大で、フライ打球の23%が本塁打になっている。田中は被本塁打数(27本)もメジャー最多だが、それは失投が多いだけでなく、大きな外野フライがスタンドに入るようになったことも原因だ。

■コミッショナーの真意

 MLBのマンフレッド・コミッショナーは、科学的データが出ているにもかかわらず、飛ぶボールの導入を強く否定している。コミッショナーが、このような行動をとることは十分、予想されていた。同コミッショナーは日頃から「お客さんを球場に引き付けるのはホームランがたくさん出る野球だ」と公言。

 コミッショナー就任後、それを実現させるべく、秘密裏に飛ぶボールの導入を開始した。しかし、それを認めてしまうと、選手会(特に投手たち)から強い反発が出るので、否定し続けているのだ。

(友成那智/スポーツライター)

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