OBの助言とは正反対 NPBは侍J強化を稲葉監督に丸投げ

侍ジャパン稲葉篤紀新監督を山本浩二氏らが激励 中畑清氏、大野豊氏らがコーチに言及

記事まとめ

  • 東京五輪で代表を率いる侍ジャパンの稲葉篤紀新監督がサントリードリームマッチに参加
  • 13年WBC監督である山本浩二氏、中畑清氏、大野豊氏も試合に参加した
  • 中畑氏は「コーチは気の合う仲間じゃない方がいい」と日刊ゲンダイ記者に語っている

OBの助言とは正反対 NPBは侍J強化を稲葉監督に丸投げ

OBの助言とは正反対 NPBは侍J強化を稲葉監督に丸投げ

山本浩二氏(右)と握手を交わす稲葉篤紀監督(C)日刊ゲンダイ

「いろいろな経験をされている方ばかり。アドバイスをいただけたらと思っています」

 7日に行われた「サントリードリームマッチ2017」に、2020年東京五輪で野球日本代表を率いる侍ジャパン稲葉篤紀新監督(45)が参加。試合前には法大の大先輩で、13年WBC監督である山本浩二氏にガッチリと手を握られて激励された。

 この日は山本氏のほか、04年アテネ五輪を監督代行として戦った中畑清氏、04年アテネと08年北京の五輪2大会で投手コーチを務めた大野豊氏も試合に参加した。

 この経験者3人が一様に口にしたのは、プロ球団での指導者経験がない稲葉監督を支える、コーチングスタッフの重要性だった。

■「気の合う仲間じゃダメ」

 星野監督を支えるコーチとして臨んだ08年北京五輪を振り返った山本氏は、「五輪のときは、少ないスタッフだし、ワシも大変だった。かなり制約がある。WBCよりも厳しいかもしれん」と話すと、「コーチの人選は本人が思うメンバーでやればいい」と法大の後輩をおもんぱかったが、中畑氏は日刊ゲンダイの直撃に、「(稲葉監督という)良い人材を見つけたと思うよ。あとは、スポンサーがどれだけついてくれるかだね」と、前置きしてこう言った。

「コーチは気の合う仲間じゃない方がいい。プロ意識というか、監督をサポートしてくれる人。指導経験なしというコーチでは困るんじゃないか。(五輪までに)一緒に育ってというんではね。経験豊富なベテランというか、自分にない部分を補ってくれる人じゃないとね。五輪はスタッフが少ないから苦労する。オレのときはミスターと相談して来てくれた(高木)豊や大野がカバーしてくれて本当に助かった」

 大野氏も日刊ゲンダイの記者にこう言った。

「コーチになる人は、ある程度の指導経験は必要でしょう。投手継投は後手後手になると厳しい。投手が危険信号を発した時にいかに先手を打ち、最少失点に抑えるか。そのための継投が大事になってくるからね。五輪はWBCとは同じ野球ではあるけれど、違うものだと考えた方がいい。審判はさまざまな国のアマの人たちがやる。ストライク、ボールの判定、牽制、クイックの(ボークの)取り方など、いろんな違いが出てくる。何があっても慌てず驚かないことが大事ですよね」

 今春のWBCメンバーの一人も「特に投手コーチは経験がある人じゃないとダメ。投手継投はただでさえバタバタしがちだから」と言っている。

■名ばかりの強化委員会

 しかし、ここまで稲葉ジャパンのコーチ候補として名前が挙がっているのは、日本ハム時代のいわゆる「仲良し」ばかりだ。ヘッドには日本ハム時代の同僚だった金子誠日ハム打撃コーチ、投手コーチはOBの建山義紀氏といった面々だが、建山氏にいたっては指導者経験ゼロ。そりゃ、OBも心配になるが、「いや、気心の知れた人間とやりたい、という稲葉監督の気持ちは分からないではない。監督というのはそもそもそういうもの。問題は、NPBがそれをコントロールできないことですよ」とは、あるセ球団の幹部だ。

 日刊ゲンダイは、かねて「侍ジャパンにGM制を導入すべき」と指摘してきた。小久保前監督の退任後、実は複数の球界関係者、OBからも同様の声が上がっていたが、「NPBは早々とGM制の導入を見送ることを決定。だったら、侍ジャパンの長期的なチームづくりを担う強化委員会がそれに代わるのかといったら、それもまったく期待できない」と、前出の球団幹部がこう続けるのだ。

「今回の稲葉監督を決定する過程でも強化委員会が機能したとは言い難かった。プロアマの代表者とOBの計12人の委員を集めながら、小久保前監督退任後の第1回の委員会でいきなり、NPBの事務局の人間が、『監督の人選については、委員長と副委員長の2人に一任して欲しい』と言い出し、候補者や交渉の過程も明らかにしないということになった。なぜ? と聞いた出席者に、強化委員会から次期監督の名前が外部やメディアに漏れては困るから、と言ったものだからみな目が点になったらしい。要するに、強化委員会とは名ばかりで、プロアマの知恵を結集して侍ジャパンを強化するという体制にはなっていないのです。これでは、指揮官が代わるたびにコーチは刷新、強化方針も監督次第ということになってしまう」

 小久保監督で臨んだ今年3月のWBCでは、日本ハム・大谷の招集を巡ってトラブルが勃発。NPBの対応と事後処理の不手際が露呈した。

 コーチ陣の組閣や代表選手の選考で奔走したのは小久保監督で、勝敗の責任を一身に背負ったのも小久保監督。今年のWBCで米国代表がジョー・トーリ元ヤンキース監督をGMに据え、選手選考を含めたチームづくりを一任して責任の所在を明らかにしたうえで、現場には野球に集中する環境を与えたのとは対照的だ。

 その反省を生かさず、またも稲葉監督に丸投げでは、2020年東京五輪での結果も推して知るべしではないか。


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