広陵・中村奨成は異色の“出たがり型” 流しのブルペン捕手が絶賛

広陵・中村奨成は異色の“出たがり型” 流しのブルペン捕手が絶賛

27日も積極的なプレーが目立った(C)日刊ゲンダイ

 28日、決戦の地であるカナダに出発したU18日本代表の中村奨成(広陵)が、日大との練習試合(26日)に「6番・DH」でスタメン出場したのは、首脳陣の反対を押し切ってのものだった。

「何しろチームに合流したのが前日(25日)の夕方ですからね。23日まで甲子園で戦い、広島に戻ったのは翌24日。激戦の疲れを癒やす時間もなかっただけに、代表の小枝監督は試合前に軽めのノックをする程度で、試合は休ませるつもりでいた。けれども、中村本人がどうしても試合に出たいと志願したために、それなら負担の少ないDHでということになったようです」(放送関係者)

 結果は適時打を含む4打数2安打だった。

 27日の城西国際大戦は「3番・捕手」で出場。3打数無安打1四球と打つ方はいまひとつながら、タイプの異なる4投手をリードし、「いろいろな投手を受けさせてもらってありがたい。あすからリードを勉強して(カナダでの本番に)生かしたい」と話していた。

「同じ捕手には福岡大大濠の古賀もいる。中村同様、強肩で、バッティングはパンチ力がある。古賀は進学希望ですけど、捕手としての能力はプロが高く評価している。小枝監督はカナダで、捕手は中村と古賀を併用したいと話していますが、プロ一本の中村は古賀に負けたくないという気持ちが強い。ウカウカしていたら古賀にポジションを奪われるという危機感も志願の強行出場につながった」(前出の関係者)

 先の甲子園では試合前のボール回しや試合中の一、二塁への牽制のたびに球場がどよめいた。在京球団の編成担当者に言わせると、「まるでネット裏の我々に肩の強さをアピールしているかのようだった」そうだ。

 流しのブルペン捕手として知られる、スポーツライターの安倍昌彦氏はこう言った。

「彼はサインを出してから、ミットを構える前にひと仕事する。スライダーのサインを出したら曲がり具合を計算、ミットでここからこう曲げてこいと示してから構えている。球種によって三塁手を前に出したり、二塁手を後ろに下げたり……投手が緊張していれば大きく輪をつくるポーズを取ってリラックスさせてから構えています。ピンチになるたびにベンチからの伝令を待つ捕手が多い中、自分から積極的に動ける選手です。取材をしてもこちらが質問して彼が答えている時間より、彼が質問してこちらが答えている時間の方が長いくらい。取材後にグラウンドから校門まで、徒歩で10分ほどかかる距離を見送りにきてくれたのですが、その間も歩きながらいろいろと聞いてくる。捕手が好きで好きで、仕方がないのでしょう。知りたがりというか、研究心、向上心はとにかく旺盛です」

■「黒子」とは正反対

 もっとも、捕手は「黒子」といわれる。目立たず、出しゃばらず、地味に試合を仕切り、「お山の大将」の投手を陰で支える。あくまでも受け身の女房役というイメージがある。

 しかし、中村は正反対。肩の強さを積極的にアピールし、ときに試合まで支配する。取材に来たスポーツライターを逆に質問攻めにしてしまうほど。黒子どころかオレがオレがの出たがりタイプという気もするが、捕手として性格面の問題はないか。

 現役時代に捕手だった評論家の河村健一郎氏はこう言った。

「捕手は受け身で、主役は投手という考え方は古いですよ。古田にしても城島にしても谷繁にしても、学生時代からスカウトに強肩をアピールする積極さを持ち合わせていた。いまの捕手は黒子どころか、投手をリードしてナインを引っ張るくらいでいい。中村は自分のプレーに自信を持っています。自信があるからこそスカウトに強肩をアピールできるわけで、その積極性はむしろ捕手に向いていると思う。目立ちたがりな部分も現代っ子らしくていいじゃないですか」

 前出の安倍氏も「試合を支配できるのは素晴らしい能力。主体的に動ける資質のある捕手は優れていると思う」と話す。中村の積極性はプロで勝負するうえでプラスに作用するに違いない。

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