U18W杯に米スカウト集結 早実・清宮“掛け値なし”の評価と課題

U18W杯に米スカウト集結 早実・清宮“掛け値なし”の評価と課題

米国戦では4タコ(C)日刊ゲンダイ

「日本人では珍しいパワフルなスイングだ」

 メジャー東地区の某球団スカウトが清宮幸太郎(3年=早実)をこう評価する。

 U18W杯が行われるカナダには世界の逸材目当てにメジャー30球団が視察に訪れている。かねてメジャー挑戦を目標に掲げる日本の主将兼4番も視察対象の一人だ。前出のスカウトが言う。

「僕らが高校生の打者で主に見ているのはスイングスピードだ。こっちでプレーするなら、150キロを超えるスピードがあり、なおかつボールが動く投手と対戦しないといけない。対応するにはヘッドを利かせ、鋭く速いスイングができないと難しい。その点でキヨミヤは1年時も見ているが、体が鍛え上げられて、理想のスイングに近づいていると感じる。たとえば同じ左の3番(安田)と比較すると打球音が違う。3番は振り出しが早い分、バットコントロールで勝負するアベレージ型。ただし、これでは力負けしてしまう。キヨミヤはスイングスピードがあるから打球音が大きいんだ。基本に忠実で緻密な日本の野球で100本以上、本塁打を打っているわけだし、米国の高校生を上回るパワーがあるとは言わないが、他国の選手が持っていないスキルと経験はプラスになるはずだ」

 清宮の体重は101キロ。早実では運動部専任のトレーナーに面倒を見てもらい、ウエートなどの科学トレーニングに励んだ。日本球団のスカウトも「巨漢選手を除いてプロでも100キロ超はめったにいない。鍛え上げた体が力の源」と言う。

■マイナーの環境は日本の二軍の方が良い

 日本が完封負けを喫した2日(日本時間3日)の米国戦は米国投手にタイミングが合わず、無安打に終わったが、メジャーにも評価される清宮の打撃は、日本の高校生でトップクラスなのは間違いない。ただ、だからといって高校もしくは大学から日本のプロ野球を経験せずに渡米しても、実際に通用するかどうかとなると話は別だ。

 たとえば、二刀流として今ではメジャーが300億円の値をつけるほどまでになった日本ハムの大谷翔平(23)は、岩手・花巻東の3年時は即メジャー挑戦する意向だった。しかし、ドラフトで強行指名した日本ハムは、大渕スカウトが中心となって日本ハムの育成体制のほか、「大谷翔平君 夢への道しるべ」という資料を持参し、日本ハム入りへ翻意させた。

 このペーパーでは高卒メジャー選手が多い韓国の実例などを基に、「早期渡米と『長期活躍』は今のところ結びつきが確認できず、むしろ、NPB実績を挙げる中で『野球技術の確立』『人としての自立』を身につけることが、『MLB即戦力』『長期活躍』の可能性を高めている」などと記されている。

 日本のプロ野球を経ずにメジャー入りしても、ルーキーリーグを皮切りに3〜5年はマイナーで経験を積まなければならない。直接メジャー挑戦することが決して成功確率を高めるといえないからこそ、大谷もいきなりメジャー挑戦に躊躇した。日本ハムで経験を積み実績を残した今は、高校時代よりもはるかにメジャーから注目される選手になった。

 米球界関係者が言う。

「キヨミヤが米球界でいずれ迎えるだろう壁を乗り越えられるメンタルを持ち合わせているかは疑問が残る。実力はあっても、偉大な父のもとに生まれ、育ちの良さはピカイチで、ずっとスター扱いをされてきた。学校では進路はもちろん、監督でさえも直接指導が難しいと聞いている。主将としてもやりたいようにやらせてもらってきた。常に自分が中心に立ち、エリート街道を歩んできたが、こちらでは北米、中南米のメジャー予備軍と厳しい競争を強いられる。マイナーの生活環境は日本の二軍の方が良い。日本で実績をつくり、メジャーデビューできるくらいの力を蓄えてからの方が、キヨミヤは実力を発揮しやすいかもしれない」

 まずは日本で実績をつくった方がいいのか。

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