1番得した球団は? 安倍昌彦氏に聞く2019年ドラフト「3つの謎」

1番得した球団は? 安倍昌彦氏に聞く2019年ドラフト「3つの謎」

阪神は1位の西ら甲子園のスターを次々と指名(C)共同通信社

【1】阪神高卒5人指名はギャンブルじゃないの?

 少し言葉は悪いですが、これまで一貫性のないドラフトを続けていた阪神にしては、正直、びっくりしました。ドラフト時にネット中継の解説をしていて、思わず「もっと高卒選手で押せ!」と声を張り上げたほどです。

 1位の西(創志学園)はもちろん、4位の遠藤(東海大相模)も目の前のプレーに100%でぶつかるみずみずしさと泥くささは、阪神向き。3位の及川(横浜)は高校時代は伸び悩みましたが、厳しい環境になっても十分にやれる投手です。

 井上(履正社)は夏優勝校の4番とはいえ、インサイドアウトの打撃を身につける必要がある。2位指名は少し冒険だなとは思いつつも、これだけ甲子園のスターを揃えた姿勢は好感が持てます。5年後の、彼らがどんな姿を見せているか。育成手腕が問われますが、楽しみです。

【2】一番得した球団はどこ?

 今回、佐々木(大船渡)、奥川(星稜)、森下(明大)を指名した球団は文句なしに大成功。とくに、佐々木と奥川は球団史を塗り替える可能性がある存在です。

 今年のドラフトは、ほとんどの球団がうまくいったと思いますが、中でもヤクルトはトップクラスでしょう。

 チーム防御率が12球団ワーストの4・78という事情もあり、2位吉田(日体大)、3位杉山(創価大)、4位大西(大商大)の大卒3投手を指名。吉田は平均145キロ前後でチェンジアップ、フォークと打者のタイミングを外せる球種もある。いわゆる「賢い」投手で、先発、中継ぎどちらでもこなせます。杉山はまだ伸びしろがあり、大西は実戦力が素晴らしく、狙ったポイントに投げられる精度、技術が高い。弱点克服という明確な意図が見えた指名です。

【3】楽天は佐々木(大船渡)を外して小深田(大阪ガス)1位って地味ですよね?

 たしかに、一瞬えっと思いました(笑い)。昨年の阪神が藤原、辰己を外し、近本(大阪ガス)を外れ外れで1位指名。2位、3位で取れる選手じゃないか、という声も出ました。

 今回の楽天の小深田の1位は、そのときと状況が似ていると思います。

 楽天は二塁、三塁、遊撃が補強ポイントで、今季チーム48盗塁はリーグワーストタイ。走塁強化が課題です。名手の藤田が37歳と大ベテランの域に入った。1位は石川(東邦=中日1位)に行くかなと思っていた中で、腹をくくって地元の佐々木に入札したが、クジを外した。さらに、DeNAに遊撃手の森(桐蔭学園)を単独指名された。来年からすぐに二遊間で使える選手となると、彼しかいなかったんだと思います。

 ただ、小深田は盗塁への意欲と技術を持った選手。盗塁時の初速が速いところに特徴がある。三木新監督はベーラン技術を教える名手と聞いていますし、盗塁王になった“先輩”と同様、1年目から活躍する可能性を秘めた選手といっていいでしょう。(談)

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