アマ球界がフェースガード着用を“改造行為”と禁止する疑問【用具のプロが鳴らす野球界への警鐘・上】

巨人の丸佳浩らが使用する「フェースガード」はアマ球界では禁止 用具のプロが警鐘

記事まとめ

  • プロ野球ではヤクルト青木宣親など内角を攻められやすい主力にフェースガードは浸透
  • 全日本野球協会はフェースガードの取り付け禁止を発表、改造行為としている
  • 昨年には死球による死亡事故が発生も、なぜ認められないかカシマヤ製作所社長が語った

アマ球界がフェースガード着用を“改造行為”と禁止する疑問【用具のプロが鳴らす野球界への警鐘・上】

アマ球界がフェースガード着用を“改造行為”と禁止する疑問【用具のプロが鳴らす野球界への警鐘・上】

カシマヤ製作所の西上茂社長(C)日刊ゲンダイ

【用具のプロが鳴らす野球界への警鐘】(上) 

 11月15日に明治神宮大会が開幕する。特に高校の部は「秋の甲子園」と呼ばれる注目度の高い大会だが、彼ら球児は誰一人「フェースガード」を装着していない。

 巨人の丸がかぶるヘルメットに外付けされ右頬を覆っているアレだ。プロ野球ではヤクルトの青木や広島の鈴木など内角を攻められやすい主力に浸透する一方、アマ球界では使用が禁じられている。

 昨年11月には死球による死亡事故が発生。熊本西の球児が練習試合で左側頭部に死球を受けて亡くなった。それでも全日本野球協会は今年3月、フェースガードの取り付け禁止をホームページで発表。「改造行為」と位置付けている。

 なぜ認められないのか。丸など多くの選手が使用するフェースガード「C―FLAP」(米マークワート社製)の輸入代理店を務めるカシマヤ製作所の西上茂社長に話を聞いた。

  ◇  ◇  ◇

■またケガ人、死者が出たら高野連はどう説明するのか

 今年3月、全日本野球協会が高野連や大学野球連盟に「打者用ヘルメットの改造を禁止する」と通達しました。書面の中には「安全性能が明確でない」「視野の確保についての懸念」(フェースガードに関する当委員会の見解という項目)などと書かれています……よくここまで書いたなと。選手を守るためのものが、アマチュア野球界では「改造行為」という位置付け。C―FLAPがあることでボールがよけられないとか、視野が狭くなって、見えなくなるという考えです。

 熊本西の選手は顔面付近に向かってくるボールに背を向ける形でよけ、側頭部に当たって亡くなってしまった。もしフェースガードがあれば、そういうよけ方はしなかったんじゃないか。

 高野連としては「全員平等じゃないといけない」という考えがあるんだと思います。あるチームは着けているのに対戦相手は着けていないのはどうか、というのが言い分なのでしょう。こちらが提案しても、まったく議論にのってこない。神奈川県の高野連さんに掛け合ったときも、結局は外付けだからダメだと。一体型で付けてこいという話でした。

 でも、付ける位置や角度は人によって違う。プロ野球選手にC―FLAPに付属された型紙を使って位置を決めるのに1人30〜50分と、非常に時間を費やす。ドリルで留めるのは一瞬でも、最後はドイツ製の工業用ボンドで付け、それが乾くのに約10時間かかります。

■野球規則委からは“門前払い”

 こんなこともありました。話を聞いてもらおうと、アマチュア野球規則委員会に連絡すると、電話で「来ても意味がない。話したところで何も変わらない」と言われ、“門前払い”でした。

 もう一回、高校野球でケガ人が出たら、高野連さんはどう説明するのかなと。死球によってケガをしたり、手術で顔にプレートを入れた選手の着用が特別に許されている場合はあるでしょうが、事故が起きてからでは遅い。そもそもはケガの予防で着けるべきものです。

 アマチュアと違い、プロは着けるものに関しては個人の責任という考えです。しかし、プロ野球でもほとんどフェースガードを着けていない球団があるんです。 (つづく)

(西上茂/カシマヤ製作所 社長)

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