プロ野球界も導入に温度差…「SGマーク」に対する誤認識 【用具のプロが鳴らす野球界への警鐘・中】

プロ野球界も導入に温度差…「SGマーク」に対する誤認識 【用具のプロが鳴らす野球界への警鐘・中】

ヤクルト山田もフェースガード使用前に頭部死球を経験(C)共同通信社

【用具のプロが鳴らす野球界への警鐘】(中)

 プロ3年目にして5度の頭部死球を受けた選手がいる。

 10月15日にフェニックスリーグで左耳上の側頭部に“被弾”した中日の石垣雅海(21)だ。1年目にも二軍戦で阪神の藤浪から頭部死球を食らい、フレッシュ球宴を辞退。18年秋のフェニックスリーグではロッテの岩下から死球を受けて病院へ救急搬送され、秋季キャンプに参加できなかった。これを受け、石垣は今季からヘルメットにフェースガードを装着することに。中日で初めての使用者となった。フェースガード「C―FLAP」(米マークワート社製)の輸入代理店を務めるカシマヤ製作所の西上茂社長はこう説明する。

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 一部の球団がフェースガード装着を拒む理由のひとつに、「SGマーク制度(※)」があります。

 野球のヘルメットに関するSGマークを検索してもらえば分かりますが、注意書きの部分に「プロ野球の選手が使用した場合は、SGマーク制度の対象外となります」と記されているんです(ミズノの野球・ソフトボール用ヘルメットの取扱説明書に記載)。

 つまり、プロ野球選手はSGマークに守られず、ケガをしても損害賠償の対象外で、自己責任になるということです。にもかかわらず、それを理解せず、フェースガードの使用を推奨しない球団があります。それはSGの誤認識が原因。SGマークに対する認識の差が激しいなと思いましたね。

 別の球団からは「その問題に関わりたくないから直接選手と相談してください」と言ってくる人もいました。楽天さんはケガの予防という観点で、用具担当じゃなくトレーナーさんが担当してくれています。巨人も導入が早かった。球団によってかなりの温度差を感じています。

 フェースガードの耐久性を証明するため、今年1月、「一般財団法人日本車両検査協会」へ検査をお願いしました。SGマークを付けるヘルメットとNPBの試合球の測定をやっている会社です。

 衝撃吸収性試験では、速度30メートル/秒(時速108キロ)と速度40メートル/秒(時速144キロ)の2種類でテストを実施。硬式ボールを人頭模型に装着したヘルメットに衝突させたときの最大衝撃加速度を測りました。いずれもC―FLAP「なし」の場合より「あり」の方が数値が下がり、破損もなかった。数値が下がるということは衝撃を吸収したことを示し、数値が低いほど強度が増しているということ。つまり、C―FLAPをつけたほうが強度が強かったという結論が数値として出ているんです。

 ヘルメットのSG基準は1974年に制定されましたが、硬式ボールを当てる速度の規定は変更されていない。投手の球速も速くなっているのに、こんなにも長い間、ルールが変わっていないのかと驚きました。 =つづく

(西上茂/カシマヤ製作所 社長)

※SGマーク制度…「安全な製品」の目印 「SGマークは当協会が定めた安全基準に適合していることを当協会が認証したことを示したマークです。また、SGマーク付き製品に万が一欠陥があって、人身損害が発生して、欠陥と人身損害の間に因果関係があると認められる場合には、最高1億円までの賠償措置を講じます」(一般財団法人製品安全協会から)

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